吉野 真人(医師)- コラム「意外な病気にも威力を発揮!「漢方」は病める国・日本の救世主となるか?(1)」 - 専門家プロファイル

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( 東京都 / 医師 )
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意外な病気にも威力を発揮!「漢方」は病める国・日本の救世主となるか?(1)

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2013-03-01 15:16

最近、内科外来の診療に於いて、女性を中心に「漢方薬」の処方を希望される方が少しずつ増えてきています。例えば風邪をひいた場合には、一般的な感冒薬や解熱剤、鎮咳剤、抗アレルギー剤などの「西洋薬」と、葛根湯をはじめとする「漢方薬」という2つの選択肢が存在しますが、漢方薬を選んだ場合には、症状や体質に合わせて葛根湯や小青龍湯、麦門冬湯などが投与されます。また更年期障害の女性が漢方薬を選択する場合には、当帰芍薬散や加味逍遥散、桂枝茯苓丸などが処方の候補となります。

 

世の中には無数ともいえる種類の薬が存在しますが、現代日本では大きく分類して、各種薬効成分ごとに分類された「西洋薬」と、様々な生薬を配合した「漢方薬」の二系統に大別されます。西洋薬には鎮痛解熱剤、抗生剤、抗がん剤、降圧剤、胃潰瘍治療薬などがありますが、主として各々の病気や症状に効くとされる薬効成分を豊富に含んだ薬剤が投与され、該当する疾患や症状がどれだけ改善したかで効果判定されます。一般に西洋薬は効果が早くはっきりと現れる反面、「副作用」が強く出る傾向があります。

 

一方の漢方薬は、自然の生薬である甘草、桂枝、生姜、芍薬、柴胡、当帰、人参などのうち、いくつかの生薬を選んで配合したものです。例えば下半身の冷えや神経痛、排尿障害などに用いられる八味地黄丸は、地黄、山茱萸、山薬、茯苓、沢瀉、牡丹皮、桂枝、附子という8種の生薬が使用されています。漢方薬はこのように複数の生薬の混成であり、また個々の生薬自体が様々な作用をもつために、西洋薬に比べて幅広い効能を持つことが特徴です。反面で作用の発現が緩やか、かつ副作用の少ない傾向があります。

 

西洋薬というものは人体を「臓器別」に細分化し、肝臓ならば肝臓を治そうとします。また病気の原因を細菌やウイルスなど外来のものに求める傾向があり、それら「外敵」を退治しようとします。これに対して漢方薬は、人間の身体や心を「全体」として把握し、臓器に関しても個々を別々に捉えるのではなく、むしろ臓器間の「相互作用」に着目します。また個人の「体質」を重視し、体質と症状とを両にらみで漢方の処方を検討します。いわば「木」を見るのが西洋薬、「森」を見るのが漢方薬と言えそうです。

 

上記のように、風邪一つとってみても西洋薬と漢方薬という2つの大括りの選択肢があり、どちらを選ぶのが正解かは一概に言えないのですが、最近になって漢方薬を選択する人が増えてきているというのは、どのようなことを意味するのでしょうか。一昔前には漢方薬というと、効くかどうかはっきりしない、科学的根拠もあいまいで前近代的な治療法というイメージがあり、一部のマニアックな方々を除いて敬遠される傾向がありましたが、ここにきて漢方薬の持つイメージに変化が現れてきています・・(続く)

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