八納 啓造
ヤノウ ケイゾウ高気密高断熱は誰のため?何のため?
住宅・不動産 住宅設計・構造 2011/03/10 23:17こんにちは。
現在、住宅の新築を検討中の者です。北東北在住です。
先日、ある住宅メーカーの強い進めもあり、モデルハウスへの体験宿泊をしてきました。全国的にそこそこ名の売れているメーカーで、外張断熱・オール電化の24時間蓄熱暖房でした。20年以上前に建築された集合住宅の4階に住んでいる私達(夫婦・子供0歳)にとっては、体験しなくても「快適」に決まっている、と思っていました。
しかし、いざ泊まってみると、子供は過乾燥のせいかノドが乾くらしく、しきりにミルクを欲しがって寝られず、私達もノドが乾くやら寝苦しいやらで、どうしようもなく夜中にモデルハウスから逃げ帰りました。その後、全員が風邪を引いてしまいました。モデルハウスなので、通常の生活状態より乾燥はしているのでしょうけど、それにしても予想以上に乾燥は辛いものでした。ハウスメーカーさんの話だと、モデルハウスは湿度30%程度で、生活すると40%前後になるということでした。
あと、慣れもあるのだとは思いますが、何ともいえない「無機質?」な感じもあり、このような家に住みたいとは思えませんでした。最初は、間取りもよく、内装も清潔感があり、不満はありませんでした。
今回のハウスメーカーに限らず、現在の主流となっている高気密高断熱の住宅は、今頃の季節だとほとんどは同様の状態だと思います。結露やカビの発生を無くし、長持ちする健全な住環境を整えるためには必要なことだとは思います。
でも、お金をかけて高気密高断熱にし、更に過乾燥対策で加湿器を何台も設置しなければならないような状況というのはどうなんだろう?何かおかしくはないだろうか?と悩みはじめてしまいました。
このような疑問を持ちはじめてしまった、当方へ何かアドバイスをいただけないでしょうか。非常に漠然とした質問で恐縮ではありますが、どのような視点からでも結構ですのでよろしくお願いします。
shinpeiさん ( 秋田県 / 男性 / 45歳 )
高気密高断熱の家にもいろいろありますよ
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大変な経験をされたようで心中お察しします。
また、高気密高断熱の家に対するインパクトも相当強かったことと思います。
私からお伝え出来るのは「高気密高断熱の家にも色々ある」ということと「昔ながらの気密性の低い家も気候風土や住われる方々の年齢や体質によっては十分あり」ということです。
ですので、shinpeiさんが書かれているように、疑問をもたれることも自然だと思います。
ただ、高気密高断熱の家でも、自然と調湿作用があり、今の季節でも50%程度を保つ家づくりは可能です。私の事務所で設計している家づくりはそれをベースにしています。
例えば、内部に無垢の木をふんだんに使ったり、壁に天然の土壁や呼吸する壁紙を使ったりするなどがその一例です。湿度が、これくらいあると喉が乾くこともほとんどありません。
高気密高断熱の家でもご期待に応えることができる家づくりは、秋田県でも十分可能だと思いますよ。
また、昔ながらの家づくりも一概に駄目とは思いません。というのも、高気密高断熱で湿度調整がしっかりした快適な環境に住むと、家の外に出た時に、その落差で体調を崩す可能性もあるからです。
この辺りは悩ましいところです。ただ、高気密高断熱の家は真冬に起きる時には、寒い家に較べてストレスがほとんどなく起きることが出来たり、自然に湿度調整が出来る仕上げの屋内空間の場合は、インフルエンザなど家族内感染も起きにくくなるなどのメリットはあります。
良かったら上記の内容を参考にしてみてください。
ステキな家が出来ればいいですね!
八納啓造
評価・お礼
shinpei さん
2011/03/13 22:40
建築を考え始めた頃から、漠然と「風を感じられるような家」、「開放感のある家」が良いなと思ってました。しかし、現在の高気密高断熱住宅を知れば知るほど相反するものなのでは、と少々方向性を見失いかけ、そして追い打ちをかけるように先日の宿泊体験でした。
八納さんのアドバイスにもありますとおり、家が快適な分、体の適応能力が退化するのでは?など、自分自身で相反することをやろうとして、同道めぐりをしてしまっているように思います。この度いただいたアドバイスで、高気密高断熱でも私たちが求める住環境は造れるという希望が沸いてきました。
この度は誠にありがとうございました。