働く個人の側に立ち、資格や学びを活用したキャリアづくりを提案
乾 喜一郎
イヌイ キイチロウ
(
キャリアカウンセラー
)
『稼げる資格』 資格専門誌『稼げる資格』編集長
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一番長持ちするモチベーションは、「当事者」とのかかわり~「…
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2012-11-19 13:13
男子学生や既卒者(高校新卒以外の、社会人経験者や大学卒業者のこと)が増えたためです。
『ヘルプマン』 9~10巻は、そんな男子学生の一人を主人公にした「介護福祉学生編」。
印象的だったのは、主人公の男の子が住む団地の自治会の寄り合いのシーン。
独居のお年寄りの「孤独死」を防ぐために何をするか、という話し合いの中で、
男の子(と、それを手助けする社会福祉士・仁)によって、
<「本人の意志」が存在していること>に皆が直面するくだりです。
出席している住民は、みな「善意」なのだけれど、
当事者であるお年寄りを慮るばかりで、実際に聞いてみようとはしません。
「失礼なのでは?」「こちらは善意だし」・・・
それを打ち破ったのが、主人公が直接相対している「蝶子さん」の悪態。
善意だからこそなかなか気づくことができない、「本人が何を望んでいるのか」。
ヘルプマンが素敵なのは、最初っから
必ずこの「本人の意志」を真ん中に据えていることだと思います。
とはいえ、コトバにすることは楽でも、実際に仕事をするとなると、いいことばかりではありません。
高齢者の状況はお一人おひとり違うから、どうケアするかもすべて個別。
「作業」の量は増えこそすれ、減ることはない。
でも福祉に関わる多くの方々のお話しを取り上げてきて、
長く続いてらっしゃるかたに共通しているなあ、と思うことは、こうした
当事者の方「ご本人の喜び」がモチベーションの源になっていること。
「ありがとう」の言葉とは少し違います。
それももちろんあるのですが、ケアをする自分との関係上での気持ちじゃなく、
当事者ご本人の満足を、目の当たりにすることで、
自分の仕事の価値を実感されているのだなあ、と思います。
もちろん、いつもいつもそんな実感が得られるわけじゃありません。
10巻でも、仁が最初の頃に担当した青木さんを訪ね、
直接のやりとりをしているシーンが出てきます。
青木さんは、仁の今の仕事のお客さんではありません。
例えば、何かやりきれないことがあった時でも、
そうやって直接お客様だった方とお会いすることで復活できる。
(仕事は違いますが、私も何度も、そうやって「昔のお客さん」に
助けていただいたことがあるので、余計にそんな風に思えるのかもしれません)
この作品、私が特に素敵だなあと思うところは、
生まれながらのモチベーションをもっていそうな百太郎よりも、
意志の強さの裏腹に、何度もうちのめされそうになる仁が、
そういうふうに当事者の高齢者から助けられて復活し、仕事を続けていけているところなんです。¥540Amazon.co.jp
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