茅野 分(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))- Q&A回答「持続性妄想性障害」 - 専門家プロファイル

茅野 分
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茅野 分

チノ ブン
( 東京都 / 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医) )
銀座泰明クリニック 院長
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嫉妬妄想なのか

心と体・医療健康 心の病気・カウンセリング 2008/01/28 14:39

68歳の母。40代後半の更年期の頃より、父の浮気を疑い始めました。父はその事実はないと言っていましたが、娘の私には本当の事はわからず、夫婦の問題なので、と必要以上に口を出さずにきました。以後20年間父はその女性と浮気をし続けている、と母はいっていました。父が通院のため家を空けると、彼女にあっている、というのですが、それはひと月に一度の事です。父は、母となんとなく仲直りしては、なじられ、口をきかなくなる、という状態を繰り返し得てきました。そして、母は最近になって、父が別の自分の知り合いの女性と浮気をしている、と言い出し、今度こそ離婚すると弁護士を頼みだしました。
父の以前の浮気の時も、そうしてる、というばかりで、きちんとした証拠もなく、また進んで証拠を集めようとはせず、ただただ、私にはわかっている、と攻め続けるばかり。証拠はある、といいながら、見せてもらった事はありません。姉によると興信所も頼んだそうですが、証拠は得られなかったそうです。今回も香水が匂ったとか、その相手とされる方が、用事で家に来たときに父の様子がおかしかったというばかりで、証拠はありません。普段の母は、ちょっと怒りっぽかったり、気分屋である事をのぞけば、全く変わった様子はありません。ただ、多動性障害的な行動は多々ありましたが、そういう性格なのだ、とかんがえてきました。すこし人目を気にしすぎる傾向はあります。父に暴力を振るうという事はありませんが、現在、悔しくて何をするかわからない、とは自分で言っています。20年前、メニエール氏病、ホットフラッシュなどの更年期障害に苦しんでいましたが、治療は受けていません。先日足首が痛くなり、高脂血症が原因と言われました。更年期障害から高脂血症がおきると聞いた事があります。
更年期障害が発端の嫉妬妄想と疑うのは気にし過ぎでしょうか。

ギルさん ( 埼玉県 / 女性 / 35歳 )

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茅野 分
医師(精神科)

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持続性妄想性障害

2008/01/28 17:39

20年前からお母様がお父様の浮気を疑い不穏になるとのこと、心よりお見舞い申し上げます。

ご指摘の症状は''持続性妄想性障害'' (ICD-10, F22)に相当すると考えられます。いわゆるパラノイア paranoia とも言われる病気で、色情型、誇大型、''嫉妬型''、被害型、身体型、混合型などに分類されます。妄想性人格障害であった方の妄想が発展する形で生じることが少なくありません。女性の場合は''閉経後''のいわゆる更年期に好発します。統合失調症にみられるような症状、例えば、顕著な幻覚、感情の平板化、思考障害などは生じません。

治療としてはやはり、''精神科''を受診して抗精神病薬をはじめとした向精神薬を用いながら、''現実検討''を促がす対応を行います。しかし妄想は遷延することもありますので、日常生活が障害されない限り、ご本人の気持ちを尊重しながら''支持的''な対応を原則とします。精神科を受診すること自体もご本人の同意を得られるか定かでありませんから、場合によっては''ご家族のみ''で先にご相談へ行くのも一つです。どうぞ宜しくお願い致します。

茅野 分(銀座泰明クリニック)

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