茅野 分(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))- Q&A回答「電気けいれん療法」 - 専門家プロファイル

茅野 分
東京・銀座の心療内科・精神科、夜間・土曜も診療しております。

茅野 分

チノ ブン
( 東京都 / 精神科医(精神保健指定医、精神科専門医) )
銀座泰明クリニック 院長
Q&A回答への評価:
4.7/334件
サービス:1件
Q&A:1,052件
コラム:218件
写真:0件
03-5537-3496
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ

mECTの成功率について

心と体・医療健康 心の病気・カウンセリング 2008/01/06 23:25

mECTの成功率ですがどのくらいの割合ですか?

そして、失敗したときはただ「鬱が良くならなかった」というだけでなく、何か弊害が起こるのでしょうか?例えば、脳が麻痺してしまったり、目が見えなくなったり、半身不随になるなど・・・

母が、(何の記事を読んだのか知りませんが、)成功しないと廃人のように引きこもってmECTをやる前より悪くなるというリポートを見たそうです。ただその記事が本当にmECTのことを言っているのかはわかりません(母は「電気系の何かの療法だった」としか覚えてないようです)

私は家事もなんとかこなせていて(ものすごい手抜きですが)、外出もできるので重度ではないと思います。でも自殺念慮もあるし、そのほかの症状も出ています。これくらいでも軽度に入るのかな?とおもいますが、それでも希望すればmECTは施術可能なのでしょうか?

よろしくお願いします。

wakka-さん ( 埼玉県 / 女性 / 32歳 )

茅野 分 専門家

茅野 分
医師(精神科)

3 good

電気けいれん療法

2008/01/07 01:17

うつ病に対する''電気けいれん療法 ECT, Electo-Convulsive Therapy''に関して国内の知見は以下が代表的なようです。

・中高齢期うつ病21例において、急性期ECTの''反応率は81%''であったが、反応例の6ヶ月''再燃率は47%''であった(Awata S, 2002)。

・初回うつ病の急性期ECT35例の寛解例のうち、1年間の薬物療法下の''再燃・再発率は34%''であった(Suzuki K, 2002)。

・急性期ECTで寛解した大うつ病43例において、''「継続薬物療法」対「継続ECT」''の6ヶ月再燃率は''47%対0%''であった(宇田川至, 2000)。

前2者は東北大学や仙台市立病院からの報告で高い再燃率とされていますが、後者は聖マリアンナ医科大学からの報告で非常に高い効果が報告されています。すなわち未だ十分なコンセンサスは得られていないのが実状と考えられます。

また有害事象に関しては、''健忘''などの認知機能障害、''高血圧・頻拍・不整脈''などの循環器症状が認められておりますが、''一過性で回復します''。稀に心肺停止、てんかん重積発作などの重篤な副作用も生じます。なお長期的な認知機能障害、いわゆる認知症や「廃人」などになることはありません。

いずれにしても上記の報告対象は主に自殺の危険が切迫しているような''重症・急性のうつ病''であり、軽度の方や回復の過程にある方へは行わないのが通例です。

悩みや迷いは尽きないようでしょうが、以上ご参考にして、''心穏やかに無理のない生活''をお過しいただければ幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

茅野 分(銀座泰明クリニック)

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム