藤森 哲也(不動産コンサルタント)- Q&A回答「中古住宅の諸問題について」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?

藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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中古住宅の諸問題

住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2013/10/17 13:29

今年1月に現金で購入しました。
H10年築の木造2階建て中古住宅、リフォーム済みで、業者からの購入です。
アフターサービス保証書がついております
すでに、トイレと建具の不具合を補修してもらっております。
購入後、下水道工事、都市ガス化工事を自費で行いました。

契約時に説明を受けた瑕疵はシロアリ歴のみで、
シロアリ対策の保証(5年間)がついております。

下記状態について、今自分が契約上、何かやれることは有りますでしょうか。
また、何かするとして、いつまでしないと取り返しがつかなくなるでしょうか。
ご教授をお願いできればと思っております。
できる限り、費用がかからない方法を望みます。

よろしくお願いいたします。


床の凹凸
・1Fリビング(呂の字型の10畳+6畳)、の床面中央部(それぞれ6畳程度、4畳半程度)が、
 台地上に盛り上がっています。すり足で歩くとはっきり分かり、ビー玉は勢い良く転がります。
・2Fの上記の上にあたる部分が、他の部分より、全体的に下がっているように思われます。
 入口付近で傾斜を感じます。ビー玉は勢い良く転がります。
 上記の状態に3月に気が付き、業者に相談しましたが、許容範囲と説明されましました。
 もし水を張ったら水たまりが出来るでしょうし、大きな家具を置いた場合傾いて、
 丸いものは置けないと思います。、
 床には隙間ができると思います。
 やや変化(拡大?)しているように思います。
 時折きしみがあり、微振動を伴うことも有ります。
 1f、2fともに、上記部分をあるくと、床がなります。

 床下を広範囲に這いまわって調べました。
 基礎は全面コンクリで、上記の台地上の基礎部分は、
 櫓の様な別体構造となっているようです。
 基礎コンクリに大きなヒビ、湿りは、3月の時点ではありませんでした。
 1本だけ、基礎の上に乗っている木にそりがありましたが、隙間が数ミリで、
 隙間の長さは1M程度でした。

 上記状態について、自分が気がつくまで一切の説明はありませんでした。
 下水道業者さんによると、1m掘ると水が沢山出るねえとのこと。
 ただし、地盤は砂利なども敷かれており、しっかり工事されたようだとのことですが・・・。

契約1年が迫っていることも有り、後悔のないようにしておきたいと思っております。
よろしくお願いいたします。

補足

2013/10/17 13:46

ビー玉が転がるのは、1Fの問題箇所はもちろんですが、
2Fについては、一箇所で顕著です。
階段を上がると、2畳ほどのスペースがあります。
そこから別れて3部屋になっており、上記部分の真上には二部屋あります。
そのうち1部屋への入り口付近が顕著で、壁にあたるまで勢いが止まりません。
部屋の中では、やや転がりますが、壁まで勢い良く行かずに止まる感じです。
階段を登り切った辺りが、尾根のようになっているようです。
(ただし、反対側ではあまり転がりません)
1Fの凹凸は、4つ脚のテーブルなどを置いた場合、問題になると思います。
脚が、5mm以上、もしかしたら、1センチ弱浮くかもしれません。

この家の状態は、保証を受けるのは不可能な程度の正常なのでしょうか。
自分で、もしくは、売り手の責任で、第三者などに検査してもらうことは出来ないのでしょうか。

外部の音か何かに震えやすいのか、日中、夜中に唸りのようなものも感じます。
上記の状態の影響で、振動しやすいのでしょうか?
いままでこの家以外で、こういった事を感じたことはありません。
周囲をかなり歩きまわりましたが、10軒以上離れて工場などはあるものの、
特に音が大きくなる場所は見つけておりません。

frさん ( 千葉県 / 男性 / 40歳 )

藤森 哲也 専門家

藤森 哲也
不動産コンサルタント

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中古住宅の諸問題について

2019/09/30 20:02

fr様
はじめまして、不動産コンサルティング会社、アドキャストの藤森と申します。
ご質問いただきました件ですが、地盤の強度に対して不適切な基礎の選定などが、
「建物の基礎の瑕疵」とされるケースがあります。

東京地裁で平成24年にあった判例では、中古建物の不同沈下による傾斜を、
基礎の瑕疵が原因としています。
そのうえで、補修することにより居住用として利用可能であるため契約の
解除はできないが、因果関係のある調査費用とジャッキアップによる
補修費用など2千万以上の賠償が命じられたというものです。

また、10年ほど前の判例では、約1000分の8の傾斜を「瑕疵」と判断し、
それ以下の1000分の5の傾斜であっても「瑕疵」と認定される可能性が
あるといえるような内容のものがあったと思います。


しかしながら、基礎の選定や改良工事の問題を指摘できない場合は、
単なる土地の瑕疵として扱われることが殆どです。
大きな地震によって沈下が生じた場合は、不可抗力そして瑕疵ではないと
考えられますし、小さな地震であっても、建物の基礎でなく土地の瑕疵と
言えますので、東日本大震災を含めた経年的な要因を主張する可能性は
高いと思われます。

2~3年前の裁判例でも、中古建物の傾斜について、建築会社に補修費用の
支払いは認めたものの、建物の瑕疵及び売主の瑕疵担保責任は否定された
という判例があったと記憶しています。

つまり、建物の傾きに関しては、その原因の究明と傾きの程度など、
個別に検証をした上で慎重な対応が必要ということです。

先に説明しました、補修費用など2千万以上の賠償が認められた裁判でも、
当初、傾斜の原因や補修方法の調査に100万以上をかけ、そのうえで
調査費用も実損として請求していたような流れだったはずです。


なお、これも10年ほど前の判例ですが、建物としての基本的な安全性を損なう
瑕疵がある場合には、設計・施工者等に瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を
請求することができるとあります。
「基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命・身体又は財産に対する
現実的な危険性を生じさせる瑕疵です。
軟弱地盤に起因することであっても、建物としての基本的な安全性を損なっている
可能性はあります。
これも原因や程度によって個別な判断が必要でしょうが、そういった原因追及を
売主へ請求できるものか弁護士等の専門家に判断してもらう動きは必要かと感じます。

弁護士等の法の専門家と言っても得意・不得意はあります。
ここで挙げました判例などは有名なものですので、相談先の力量の判定に、
最低限こういった判例の知識があってのアドバイスがあるかどうかなどを、
判断基準にしてみては如何でしょうか。


なお、賠償や補修が得られない場合を考え、賃貸に出しての運用や、
建替え用地としての売却など、物件の有効利用を模索していくことも、
単なるリスクヘッジでなくストレスの緩和といった、精神的な面で
良い効果が考えられます。

ストレスの多い日々で、ネガティブな感情にもなりやすい環境と察しますが、
fr様にとってベストな判断や交渉役立つアドバイスとなれば幸いです。
以上、ご参考になりましたでしょうか。

アドキャスト:http://ad-cast.co.jp/  藤森哲也

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