交通手段に見る差別化要素。

環の小坂です。

「御社のサービスは何が優れていますか？」
「その商品はどこが違うんでしょうか？」
ということは私も頻繁に言われますし、答えに窮するところです。。。

この特徴・差別化。

その1つのヒントになる業界。それは交通。

私は出張や旅行に行く際にどうやって行こうかなと考え実行するのが好きなのですが、
交通業界は差別化要素が満載です。

まず、飛行機・新幹線・寝台列車・夜行バス・昼間のバス等の種別での戦いがあります。
仮に「朝から晩まで仕事もしくは遊びの予定を現地で入れたい」とします。

・東京→名古屋

東京を起点に考えて名古屋に行く場合。
圧倒的に新幹線です。2時間かからないし。
夜行バスは価格面でメリットがありますが、
新幹線で22時に出てもその日につきますし、翌日6時台の新幹線に乗れば朝にはつきます。

・東京→大阪

これが東京から大阪になると変わってきます。
21時ごろには新幹線に乗らないとその日につかないですし、早朝に乗っても9時ぎりぎりです。
これが夜行バスなら23時ごろ乗っても翌朝8時前にはつきますし、出発場所も多い。
新幹線では出来ないことを夜行バスが出来るようになります。
新幹線だけではいけない、金沢なども同じ要素があります。
飛行機もありますが、関空が中心地に遠いのでそこが難点です。

・東京→岡山

東京から岡山になると、夜行バスは弱くなります。
乗っている時間が長く、睡眠時間を大きく超える乗車時間になるからです。
岡山になると飛行機も優位になってきます。
朝東京を出発するなら飛行機の方が早く着く。（ただ岡山は空港が中心地から遠い）
ここで登場するのが寝台車。
日本中でどんどん減っていく寝台車ですが、
東京から岡山を経由して、高松と出雲市に行くサンライズ瀬戸・出雲は高い人気を誇っています。
22時に東京を出ても6時過ぎには岡山につく。
新幹線で行こうと思うと、前日20時台の新幹線に乗るか、
当日始発に乗るかですが、始発に乗っても9時を過ぎます。
夜行バスより乗っている時間は短く、ホテル代を考えると、大変お得。
それがサンライズ瀬戸・出雲が人気を誇っている理由。

・東京→福岡

距離を一気に伸ばして福岡。
ここは飛行機が圧倒的に便利です。
2時間もかかりませんし、福岡空港は博多や天神等の中心地に近い。
新幹線だと朝出てもつくのは昼が近い時間、
夜行バスだと、着くのは昼。
寝台車も早い時間出発になるので、利便性が弱い。

忙しくて時間を無駄にしたくない人、朝から晩まで現地で仕事をしたい人。
仕事でなくても、フルに遊びたい人。
そういうニーズの場合、
名古屋は新幹線、大阪は夜行バス、岡山は寝台車、福岡は飛行機
が優越な地位になるんです。
チケットを取るのが困難なサンライズ瀬戸・出雲、
夜行バスが次々発車する東京ー大阪間、飛行機の大動脈東京ー福岡。

本来の
早い飛行機、便利な新幹線、安い夜行バス、楽しい寝台車という
くくりだけではないわけですよ。

まず、交通手段間の競争。
そしてその次にはその中での競争。
飛行機であれば、出発時間や価格、新幹線同士の競争はないですが、
夜行バスであれば、出発地・時間、価格、サービス等。
そこでも競争があります。
夜行バスなんて会社が変われば全然違います。
おもしろいです。

サービスの差別化を考えるには「ターゲット」をどう絞るかが重要ですが、
そのターゲット選定・セグメントにも役立つ話です。