吉野 真人(医師)- Q&A回答「食物アレルギーと密接な関係あり・・腸内環境の向上がポイント」 - 専門家プロファイル

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リーキーガットシンドローム

心と体・医療健康 心と体の不調 2016/11/13 23:49

こんにちは。
以前目にしてからとても気になっているのですが、
リーキーガットシンドロームとは本当にあるものなのでしょうか?
私は物心ついた頃から、お腹が弱く、10代半ばからはずっと過敏性腸症候群に悩まされています。
他にも、腰の痛み、頭痛、胃痛、カンジダ腟炎、喘息(大人になってから)、その他数多くの症状が入れ替り立ち代わり現れます。精神科に行ったり、心療内科に行ったり、色々な事を試しながら、なんとか毎日を生きている感じです。何をするにも、体が辛く、予期不安にさいなまれ、現在仕事と育児をなんとかしている状態です。
そんななか、自分の症状が、ネットで見かけたリーキーガットシンドロームなのでは?と思ったのですが、具体的に医師の方が、リーキーガットシンドロームの事を記している記事を見掛けない事を不思議に思い、質問させて頂きました。
医学的にみて、リーキーガットシンドロームとはあるものなのでしょうか?治療できる病院などはあるのでしょうか?

補足

2016/11/13 23:50

体の病気については、胃カメラ、大腸内視鏡、腹部エコーなど、一通り検査は受けましたが、問題なしです。

鮎猫さん ( 栃木県 / 女性 / 34歳 )

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医師(精神科)

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食物アレルギーと密接な関係あり・・腸内環境の向上がポイント

2016/11/21 16:23

過敏性腸症候群、腰痛、頭痛、喘息、体の辛さ、不安感など、様々な体調およびメンタル面の不調に見舞われているご様子で、お見舞い申し上げます。過敏性腸症候群の症状として具体的には、下痢または軟便傾向、腹痛、腹部膨満感などがあるのでしょうか。

リーキーガットシンドロームに関してのご質問ですが、お話の経緯からは、その可能性が大なり小なり存在するものと考えられます。但しリーキーガットシンドロームだけで全ての説明がつくとは限らず、幾つかある原因の一つである、というスタンスで対応することが賢明かと存じます。
リーキーガットシンドロームLeaky Gut Syndrome(LGS・腸管壁浸漏症候群) とは、小腸の壁に微小な「穴」が開き、栄養素の吸収に支障が出る一方で、未消化のタンパク質が吸収されて血流内に入り込み、炎症を起こすことによって、様々な体調不良を引き起こす一連の健康障害です。
「穴」といっても目に見えない顕微鏡レベルの非常に小さな穴であり、胃や腸の内視鏡検査で判別できるような病変ではありません。タンパク質などの栄養素がやっと通れるような、極めて小さい穴です。この穴が何かの理由で数倍から10数倍の大きさに拡大すると、通常では通り抜けられないような「未消化」の大きな分子量のタンパク質が、腸管壁を通して体内に侵入し、様々な悪さをするのです。

食事から摂取したタンパク質は分子量が大き過ぎ、そのままでは吸収・利用できません。消化酵素で細かく分解し、ペプチドという小さな分子量のタンパク質まで細かくして初めて吸収・利用可能となるのです。体内に入ったペプチドは更にアミノ酸のレベルまで細分化され、体内に必要なタンパク質として再合成されます。
ところが消化酵素の量が少なく、また腸管壁に上記のような「穴」が開いている場合、大きいままのタンパク質が体内に容赦なく入り込んできます。図体の大きなタンパク質は利用困難なだけでなく、体内では「異物」と認識され、排除の対象となります。すなわち自前の抗体に捉えられて「免疫複合体」となり、各所で炎症を引き起こします。
この免疫複合体の分布によって症状も多彩であり、全身倦怠感、うつ症状、頭痛、不整脈、浮腫、頻尿、関節痛、不眠、下痢、消化不良など、それこそ枚挙に暇がありません。これは一般に「遅発型フードアレルギー」の症状として知られ、一見してアレルギーとは思えないような幅広い症状が並びます。但し一人の人間に全ての症状が現れる訳ではなく、症状のレパートリーはまさに十人十色といえます。

なお腸管壁の「穴」から侵入してくるのは、巨大なタンパク質だけではありません。食品添加物や薬品類などの各種化学物質、有毒重金属などの毒素、それに細菌などの病原体が、腸管壁の穴から容赦なく入り込んできます。そのために、これら有害物質や病原体による体調不良も加味され、複雑な病態となることも少なくありません。
一方でビタミンやミネラルなどの微量栄養素は、その吸収が阻害されがちです。というのは、腸管壁に穴が開き炎症が起こると、ビタミンやミネラルを取り入れる一種のゲートが損傷を受け、効率よく吸収されません。むしろ逆に、体内の栄養素が腸管内に漏出する事態も招きます。これらの結果、ビタミンCやビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの欠乏を引き起こし、さらに病状が深刻となります。

このように、腸管壁のトラブルはフードアレルギー、有害物質によるダメージ、それに栄養バランスの障害など、様々な側面を持つ健康障害を招きます。逆に言うと、全身倦怠感や憂うつ感、不眠、頭痛、過敏性腸症、関節痛など様々な体調不良は、その根本的な原因として、腸管壁を巡る複合的なトラブルが潜んでいる可能性があるのです。
従って、このような多岐にわたる体調不良に悩まされている人は、多くの場合その原因も複数に及びますが、共通の原因として大なり小なり「腸内環境」の悪化があるとみるべきです。ということは、個々の症状を緩和することも大切ですが、それと同時に腸内環境の乱れを評価し、その改善に努めることも重要と考えられます。

それでは具体的に、腸内環境の評価や改善を図るには、どのようにすれば良いのでしょうか。
先ず簡単に出来ることは、ビタミンB群や亜鉛、鉄などの微量栄養素、それにタンパク質の不足・欠乏の評価です。これら栄養素の欠乏は腸内環境の如何にかかわらず、全身倦怠感その他の様々な体調不良の原因となります。保険適応による通常の血液検査で分かりますが、可能ならば分子栄養療法に取り組んでいるクリニックで検査する方が、より詳しい説明を受けられるかと思います。
次に「遅発型フードアレルギー検査」が有用です。上述のようにリーキーガットシンドロームとフードアレルギーには密接な関係があり、表裏一体ともいえます。どのような食材にアレルギー反応を示すかをチェックする事で、避けるべき食材も判明しますし、腸内環境がどれだけ乱れているかも間接的に明らかとなります。ほんの2~3ml程度の血液で検査できますが、結果判明までに2~3週間ほどかかります。

次に腸内環境の改善に取り組みます。強度のアレルギー反応が出ている食材があれば、その食材を一定期間、忌避することが必要となります。比較的アレルギーが出やすい食材としては牛乳および乳製品、卵、小麦などが挙げられますが、これらの食材を少なくとも半年~1年ほど忌避することで、アレルギー反応は徐々に鈍化する可能性があります。また特定の食材に偏らず、メニューのローテーションを組むことも大切です。
それと並んで、腸内環境を積極的に向上させる取り組みも欠かせません。すなわち腸内細菌叢の再構築と消化酵素の充実、腸粘膜の修復、そして腸管に分布する自律神経の安定を図る一連の取り組みです。腸内環境を整えることにより、食物の消化・吸収機能が正常化し、フードアレルギーが解消に向かい、また栄養バランスの乱れも是正されていきます。そして各種体調不良も全体として改善へと向かうことが期待できます。

具体的な取り組みとしては以下のものが挙げられます。漬物や納豆など発酵食品を積極的に摂取するほか、高純度の乳酸菌サプリメントの服用が有用です。日常の食生活では野菜や果物をたくさん摂取し、各種ビタミンや抗酸化成分、食物繊維の補給に努めることが大切です。一方で砂糖など甘いもの、揚げ物などは控え、炭水化物や各種加工食品の摂取は少なめにすることも重要です。
医療的な取り組みとしては上記の乳酸菌製剤の他、プラセンタ注射やラドン温浴、高濃度ビタミンC点滴、アルファリポ酸点滴などが有効です。いずれも蒲田よしのクリニックに於いて受けることが可能です。また食事など各種のご相談に応じます。よろしければお問い合わせください。

蒲田よしのクリニック(内科)
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