大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- Q&A回答「高校留学の危険性」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

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( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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高校留学

人生・ライフスタイル 海外留学・外国文化 2012/01/26 22:29

子供の高校留学について教えてください。
現在中学3年生男の子が急に高校留学をしたいと言い出しました。
進学は私学の中高一貫なので決まっています。
進学手続きが2月上旬なので早急に進路を決める必要がありますが時間がありません。高校進学をせず中学卒で留学手続きできるかもしりません。
是非、御教示下さい。


●留学先は何処がよいか?英語圏
●留学費用はいくらか?(授業料のほか寮費等も含む) 
できるだけ負担が少ないところが良いです。
●手続きはどうすればよいか?
●今から間に合うか?
●どこに相談したらよいのか?

宜しくお願い致します。

七転八起の人生さん ( 神奈川県 / 男性 / 44歳 )

高校留学の危険性

2012/01/27 12:58
( 5 .0)

1994年から2007年まで、多くの高校生をカナダ留学に送りだした経験者としてアドバイスさせていただきます。

高校留学を成功させることはとてつもなく難しく、海を渡る子供のほとんどが、4年~5年在学しても高校卒業の資格単位を終了することが出来ず帰国します。

「留学します!」は威勢よく言えるのですが、「卒業出来ませんでした。」を声高に言うこともないので、惨憺たる現状は日本まで届かないままです。 まったく異なる教育制度(Critical Thinking を用い、論理的に自分の意見を言えるようにするのが目的)の中、受身一辺倒で育った日本の高校生が立ち往生してしまうのが現実です。

また日本の高校生は精神的にも非常に未熟です。 日本にいる時には偉そうに自分で何でも出来る気になり、反抗しても、周りには親や信頼できる大人がたくさんいます。 外国では、そんな大人もいなく、自分ひとりで自分を確立していかなければなりません。

そんな重圧と、さみしさの中で壊れてしまう高校生もずいぶん見て来ました。 余りにもひどい現実に、バンクーバー日本領事館とも深刻にお話ししたことがあります。 

ただ、いわゆる星の数ほどある「留学あっせん業者」は、ひとり送るとかなりのリベートが入る仕組みのビジネスですので、簡単に誰でも送り出してしまいます。 「卒業が出来ないかも。」とか「難しいですよ」とかは決して言いません。 「簡単ですよ~」「楽しいですよ~」に乗せられて、現地でとんでもない状況に陥る生徒が後を絶ちません。

さみしいし、英語も満足に使えないものですから、ホストファミリーとはいざこざを起こす。 日本人同士でこそこそパーティに明け暮れる。 ドラッグに手を出すなどは日常茶飯事です。 現地の斡旋業者オフィスではそんな後始末ばかりやっているようです。 (表には決してだしませんけどね。)

そんな現実を日本の心あるみなさんに知ってもらおうと2004年に「留学せん事」という本を出版しました。 カナダ人との共著です。 「留学とは何なのか」「失敗する原因はどこにあるのか」など日本には届かない現実をユーモアを交えて紹介しています。

補足

もちろん、成功例もあります。 私が2007年までお世話を続け、成功に導いたのは、下記のような生徒たちです。 

1)日本にいる間に十分英語の教育制度についていける準備をした
2)日本の学校である程度の実績は残している(学業面でも、社会面でも)
3)親が過保護でない (子供の独立性を尊重する)
4)英語圏の教育、常識を親も子供も前もって理解している
5)高校留学の目的がはっきりしている。(英語圏で大学進学する準備。 英語圏でしか勉強出来ない分野。 英語圏の高校生とのネットワークを作る。 など)

それでも、サポートする側としては悪戦苦闘。 一年に何度も日本とカナダを往復していました。

そんな経験から相談者のケースで気になることがあります。
急に子供さんが留学を希望している理由は何でしょう。

もちろん、上記1)~5)を十分満たした上で決心なさったのであれば、十分高校留学を考慮なさる価値はあると思います。
その際でも、必ず現地に信頼出来る大人が必要です。 親とも子供とも信頼関係を持てる大人なしの10代中盤の留学は、まるで高速道路に3歳児を一人で置き去りにするくらいの危険性をはらんでいますから。

具体的には

*留学先としてはカナダを勧めます。 
移民の権利が確立されている国で(外国人にも)、留学生にも自国民と同じ教育を保障しています。 
英語もアクセントが自然です。 
経済的にも伸びている国で、この国での教育は将来にプラスです。 
アメリカほど危険ではありません。

*費用はカナダの公立高校であれば、年間CA$25,000~$30,000(授業料、ホームステイ、サポート費など)程度です。

*手続きは書類さえ整えば今からでも十分間に合います。

最後に、くれぐれも「留学あっせん業者」の「バラ色の高校留学話」で子供さんの一生を決めないようにして下さいね。

こう考えて下さい。

お子さんは15歳でしょうか?
生まれた時から15歳まで、Critical thinking 教育を受けて来た英語母国語の高校生と方を並べ、同じレベルの勉強が出来るとはどう考えても無理ですよね。

それが高校留学の難しさです。

あと3年十分準備をなさって、大学から送り出すことが賢明だと感じます。

アドバイス、お役に立てれば幸いです。 

評価・お礼

七転八起の人生 さん

2012/01/27 19:54

経験者の貴重なアドバイス有難うございます。実情を認識してしっかりと子供と相談して考えたいと思います。

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