小日向 るり子(心理カウンセラー)- コラム「「生きずらさ」を抱える人とあなたの周りの「変な人」」 - 専門家プロファイル

小日向 るり子
感情を否定せず、まず寄り添うこと、を理念としています。

小日向 るり子

コヒナタ ルリコ
( 東京都 / 心理カウンセラー )
フィールマインド 代表カウンセラー
Q&A回答への評価:
4.6/24件
サービス:1件
Q&A:44件
コラム:45件
写真:0件
お気軽にお問い合わせください
090-5606-6857
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。
印刷画面へ
専門家への個別相談、仕事の依頼、見積の請求などは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼

「生きずらさ」を抱える人とあなたの周りの「変な人」

- good

2015-04-23 17:46

職業柄か、最近「生きずらい」という言葉をよく目にします(耳にすることも時々)。
私は、こうした「生きずらさ」を抱えている方々の中には軽度の発達障害を持っている方が多いのではないかと感じています。
※なぜ「軽度の」なのかと言えば、高度の場合は幼少期より顕在化するため、特殊学校や障害レベルに応じた社会的採用などで救済されているからです。

発達障害、学習障害、注意欠陥・多動障害(ADHD)といった言葉は最近になって知られるようになりましたが、こうした障害そのものが最近発症したとうわけではなく、現代社会においてこの障害を持った方が孤立し、問題となってきたということに他なりません。
昔は、産業が農業、漁業、林業といった第一次産業や、いわゆる職人という職業が多くありました。

会社組織にあっても、電卓をたたく、伝票を起こす、同じような問い合わせに対応する、といったレベルで完結できるものが多かった。
いうなれば、この障害を持った方達でもストレスが少なく社会で生きていける「居場所」が昔は多くあったのです。

こうした社会構造の中では軽度の発達障害は顕在化しにくかった。

しかし、現代社会は一次産業に従事できる場所が少なくなり、ほとんどの仕事で臨機応変な対応や多数業務が発生するようになりました。
以前は簡単なバイトの代表であったコンビニバイトなど1つとっても同様です。
宅配便やゆうパックの集荷、揚げ物、珈琲、おでんなど店舗独自の食品・器具管理、おせち料理や恵方巻きなど食イベントの注文受付、ポスシステムレジ・・・
フリーター=簡単な業務
という図式はもはや成り立たない時代なのです。

軽度発達障害を持つ方は、独自の「やり方」に固執する側面があり、また人の感情や空気を読み取る力が不足している場合が多い。
そういう方にとって、この社会はどんな仕事も非常に高度に感じてしまう。

そして次第に社会との接触が苦痛になってくる。

そんな彼らが自分たちを表現する言葉が「生きずらさ」なのです。

幼い頃からの育ち方や人とのかかわり方を丁寧に聴取していくと、現在起こっている問題行動の背景に軽度の発達障害が絡んでいる可能性を見抜くことができると思うのですが、現代の医療制度・医療体制では1人1人の患者さんにそこまで時間をかけて深く向き合う時間がとれないのが現実です。
社会に適応できないストレスが不眠となって現れたら睡眠導入剤、社会生活からの離脱に不安が増大している場合は抗不安剤、といった対症療法で薬漬けのようになってしまい、薬の限界を知り、かえって薬不信に陥り症状を悪化させてしまっているケースも多くみられます。

あなたのまわりも見渡すと「なんか空気が読めないな」「仕事の覚えが悪いで片づけるにはちょっと違和感がある」「いつも職場で浮いてしまっている」という同僚や部下がいないでしょうか。
こうした人を『変な人』で片づけて排除し続けていくことは、日本のニート人口を増加させるだけだと私は非常に危惧を感じています。
カウンセリングを勧めてみる、本人からじっくり話を聞いて、場合によっては家族に協力を求める、等、社会全体で軽度発達障害の方を仲間として受け入れ、生きていくという意識改革が必要な時代がきています。

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム