畔柳 美知子(建築家)- Q&A回答「傾いた建物を引き渡されないこと」 - 専門家プロファイル

畔柳 美知子
時の変化を受け入れる揺るがない空間を

畔柳 美知子

クロヤナギ ミチコ
( 東京都 / 建築家 )
スタジオドゥカ建築設計室 管理建築士
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傾きによる瑕疵担保責任による修補の請求

住宅・不動産 住宅・不動産トラブル 2018/06/19 21:10

先日、契約して引き渡し待ちの物件に傾きが見つかりました。

基礎で2.7/1000、1階壁面で8.8/1000傾き。それによって2階も全体的に6/1000~8/1000程傾きがあります。全て同じ方角へに傾いております。
 よって売主は地盤沈下によるもの、地盤は瑕疵責任を負わないので修補の義務はないとの言い分です(契約書の瑕疵担保責任に適用に関しては建物基礎、土台、構造躯体、雨水の浸入を防止する部分、シロアリ被害にのみ瑕疵担保責任を負うとあります)
 
 しかしその地盤特性、強度に基づいた杭の長さや施行、設計不良から瑕疵を追求する事も出来ると考えます。 またログハウスなので傾きは通常あるものっと言われたのですが、それであるなら契約前の告知義務違反を問えるとも考えてます。
 専門家の検知からアドバイス頂けますでしょうか?

補足

2018/06/20 19:49

補足
 物件は築14年の中古のログハウスです。売主(現所有者)はこの建物の建築会社です。(宅建業者ではない)

 契約条項の瑕疵部分には
  「建物基礎、土台、構造躯体、雨水の浸入を防止する部分、シロアリ被害にのみ瑕疵担保責任を負う」とあります。
  よって地盤は対象外で、建物で最大に傾いている値から地盤による傾きと考えられる基礎、床の数値を引けば瑕疵とはギリギリ言えない数値になるっという返答です。それでも6/1000前後ありますが。

 また特約で下記の様にあります。
 「対象不動産に将来建築物を建築する際、建物の構造や重量により地盤などの補強が必要となる事があります。その際は買主の負担となる事とします」
この文言をもって地盤による問題は買主負担との見解をされましたが、文言の書き出しを見ると将来~っという書き方なので現状建っている建物は関係ない話では?と聞いた所、この業界では現状の建物も含め地盤の瑕疵免責の根拠となるっと言われました。果たして本当でしょうか?一消費者としてはどう捉えてもそういう意味では捉えられない文章です。
 
・また、瑕疵でなく債務不履行でも責任を問う事も出来るのでしょうか?

ZZTZZTSさん ( 東京都 / 男性 / 39歳 )

傾いた建物を引き渡されないこと

2018/06/20 17:29
( 5 .0)

スタジオドゥカの畔柳です。

この文章だけでは、この契約が、新築建売物件の売買なのか、中古物件の売買契約なのか、あるいは、契約は工事契約で新築物件を建築しての引き渡しを受けるところなのかなどがわかりません。なので、契約の条項に何が書かれているのかもわからないままのお返事となります。その点ご了承ください。

もし建物が基礎から傾いているのならば、受け取ることを拒否した方が良いでしょう。

ログハウスですと、壁の傾きは構造体の傾きになります。構造体などの6/1000以上の傾きは、瑕疵と言えると思います。

その原因が地盤沈下であろうとなかろうと、建物が傾いているままに引渡しを受けてはいけません。

その傾きの修正、あるいは、補修のお金を、どこから出すかを購買者であるZZTZZTSさんがお考えになる必要はなく、するべきことは、構造的に問題のない建物以外の引き渡しを受けない、ことです。

補足

まず、中古物件の瑕疵担保保険に関しては、大きく2種類に分けられると思います。

宅建業者が仲介をしている場合と、個人間の直接の売買の場合、保険が異なると思います。

ここでは個人間(ZZTZZTSさんと建設会社)の取引ということのようですので、
http://search-kashihoken.jp/insurance/kizonbaibaikojin/index.html
にその内容が紹介されています。

しかし、何よりも、これは引き渡しを受けた後で瑕疵が見つかった場合にその補修をするための保険であって、その場合に購入者を保護するために設置された保険制度です。

今現在、物件が健全でないことが判明しているのでしたら、それを受け取ることは、ある意味自殺行為になるのではないでしょうか?

また、売主である建設会社は、地盤沈下が今現在あるということを認識しているのですね。っで、そのまま、売却を行おうとしているということでしょうか?

ZZTZZTSさんは、瑕疵のある建物を購入するつもりだったのでしょうか?

構造体における6/1000以上の傾きは、今年4月から実施された、既存住宅状況調査制度において、その調査マニュアルの中で、「施工精度を考慮した上でも明らかに注意の必要である傾斜」であると明記され、構造上の観点から「劣化事象」として記載するべき傾斜とされています。

この既存住宅状況調査制度は今年の4月から実施されたもので、既存住宅の健全な商取引の促進をねらっており、この調査報告書は宅建業者が中古住宅の売買を行う際に、購入希望者に、契約に先立って行われる重要事項説明の説明資料として使用する、とされています。

ZZTZZTSさんの契約がそこに当てはまるか否かに関係なく、6/1000以上の構造体の傾きのある住宅は、「劣化」しているのです。

構造体に劣化のある建物を購入予定だったのでしょうか?

この引き渡し前に明らかになった建物の劣化状況が、その正当な理由となるかどうかは、専門的な意見が必要になると思います。法律の専門家とご相談なさって、損害が一番少ない形での契約破棄も1つの選択肢としてお考えになってみてはいかがでしょうか?

評価・お礼

ZZTZZTS さん

2018/06/22 18:24

 大変詳しく回答ありがとうございます。
こちらに書いていただいた内容も含めて白紙撤回交渉した所、売主も応じ契約白紙撤回、
手付金も全額返金になると連絡ありました。
とても助かりました、ありがとうございました。

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