医療費控除のやり直しについて
マネー 税金 2015/12/26 15:52初めまして。よろしくお願いしいたします。
私は正社員で、2014年11月に出産し現在は育児休業中のあきあかねと申します。
2014年度の医療費控除は私が確定申告しました。しかし、そもそも私の源泉徴収税額が0円だったため、当然ながら還付も無しでした。(源泉徴収票をよく見てから確定申告すれば良かったのですが、全くボーッとしておりました…)
いまさらですが、私ではなく夫(同じく会社員で、私より収入も多い)の方で確定申告をすれば良かったと悔やんでいます。もうやり直しは利かないでしょうか?
すでに私名義で確定申告済みのものを、夫名義で再度申告できるものなのか、ご教示いただければ有難いです。よろしくお願いいたします。
あきあかねさん ( 東京都 / 女性 / 31歳 )
家族間の医療費控除のやり直しは、かなり困難です。
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あきあかねさん、はじめまして
税理士の柴田博壽と申します。
お答えします。
(1)同一の支払理由に関する医療費について複数の人が医療費控除を受けることができません。
(2)これを解消する手段を検討してみます。
確定申告おいて明らかに誤りがあった場合、一般的論では、あきあかねさんが26年分の所得税の修正申告又は更正の請求(請求期限28年3月15日)によって所得から差し引かれる金額を減額し、あらたにご主人が所得控除を行って確定申告を行うことが考えられます。(繰り返しますが、明らかな誤りがあった場合です。)
(3)しかしながら、あきあかねさんの出産等に係る医療費をあきあかねさんが負担したものとして一旦、あきあかねさんの確定申告において「医療費控除」を受け、その後において、実はその医療費の負担者はご主人であったとしてご主人が確定申告において所得控除を受けることには、難しい点があります。例えば、医療費は、ご主人の名前で銀行振り込みを行っていたなどの客観的な事実が必要となるでしょう。
(4)さらに仮にそのような事実が証明できたとして、さらに大きな関門があるのです。
(2)で例示したあきあかねさんが修正申告を行うには要件として
・納税額が増加する効果。
・翌年への繰越欠損金が減少する効果。
がなければいけません。
(100円でも納税額発生すれば、修正申告書の提出はが可能となりますが・・・・)
(5)よって、所得から差し引く金額が減少する要素があったとしても、修正申告の要件に該当しません。その場合でも、「更正の請求書」の提出が考えられます。
(6)ところが、最終的にあきあかねさんの所得金額、そして課税される所得金額並びに納税額のいずれにも増減がないということになれば、「更正の請求」の要件にも当てはまりません。
(申請を行っても「請求の理由がない」ということで却下されるということになります。)
その時には、「医療費控除」のやり直しは、実質的にできないということになります。
※また、あきあかねさんの確定申告において、医療費にかかる「領収証」は証拠書類として税務署に提出されてはいませんか? 税務署に一旦、提出された書類は(国家機関の)「公文書」に該当しますから、税務署から返却されることはあり得ませんので、ご留意が必要です。
ご参考になれば幸いです。