不動産の事業的規模について
マネー 不動産投資・物件管理 2015/11/15 18:375棟10室以上の不動産投資をする場合、開業届をすることは義務なのでしょうか?就業規則に事業主になってはいけないという文言があるので開業届しないつもりなのですがどうでしょうか?
コウジ2014さん ( 東京都 / 男性 / 35歳 )
「開業届」の提出は義務化されていません。
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コウジ2014さん はじめまして
税理士・FPの柴田博壽と申します。
お答えします。
まず、所得税法上は、「不動産貸付業」は、どんなに規模が大きくても「事業所得」
ではなく、「不動産所得」に該当することになります。
しかし、貸付規模が大きくなれば、記帳のためにさく、手間も時間も多くなるでしょう。
そこで、「不動産貸付業」でも、一定の規模に達したら、青色申告における記帳の
恩典を与えてもいいのではないかと言う考えから、「事業的規模」よいう概念が生ま
れたものと考えられます。つまり、一戸建てで5棟、貸室で10室、さらに言えば、
駐車場経営で50台のいずれかに該当(俗に「5棟10室」といいます。)した場合、
青色申告において、「事業的規模」としていくつかの特典が付与されています。
その代表格が65万円の青色申告特別控除ではないかと思います。
税金の取り扱い上の基準として設けられたに過ぎない「事業的規模」です。
「不動産貸付業」を行っている方の中には、勤務しながら、親の世代から承継した
資産を貸し付けているという場合が決して少なくないと思われます。
そのような場合、勤務先に対し、あえて副業として申告することも稀有で、客観的
にも事業とは解されないこともあるでしょう。
そうしますと「開業届」の必要性もかなり、薄れることになります。
また、必ず、収入や所得も確定申告によって明らかにされる訳ですから、「開業届」
を提出しなかったことで弊害はないものと思いますし、罰則規定も存在しません。
ただ、税務当局とすれば、「青色申告承認申請書」の提出とともに「開業届」の提出
があることは、例えば、「事業的規模」の判定に関する有効な情報であることは間違
いないでしょう。
しかし、このような情報は、次に掲げる法律によって税務当局から部外に漏らすこと
が禁じられていますので、仮に「開業届」を提出したとしてもコウジ2014さんの勤務
先が知り得るとは考えられませんのでご安心を!
〇国家公務員法第100条(秘密を守る義務)、同法109条(罰則規定)
〇国税通則法第126条(国税職員の守秘義務、罰則規定)
そのうえ、「不動産賃貸」は、通常の勤務には、影響させずに勤務の休日を活用
した管理は十分可能で、コウジ2014さんのお勤め先においての規定も
〇「会社業務に専念する。」
〇「事業内容と競合することをしてはならない。」
とする趣旨が背景となっているとすれば、不動産賃貸は排斥されるのではない
でしょうか
ご参考になれば幸いです。
柴田博壽税理士事務所
e-mail : shibata-hirohisa@tkcnf.or.jp
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