沖田 将人(獣医)- Q&A回答「軟口蓋過長症の手術効果」 - 専門家プロファイル

沖田 将人
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沖田 将人

オキダ マサト
( 富山県 / 獣医 )
アレス動物医療センター センター長
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軟口蓋過長症について

人生・ライフスタイル ペットの医療・健康 2010/05/28 10:21

フレンチブルドッグ(オス・6歳)を飼っています。常に息がしずらく、特に暑い日などは苦しそうです。夜、寝ているときには無呼吸状態になったりもします。軟口蓋過長症の手術をうけさせようか考えているのですが、快く引き受けてくれる獣医さんが見つからず、また家族も不安であるために、ずるずると今日まできてしまいました。この手術の成功率や、なにか気をつけるべき点など教えていただければと思います。

おさんぽさん ( 栃木県 / 女性 / 29歳 )

軟口蓋過長症の手術効果

2010/05/28 11:50
( 5 .0)

 軟口蓋過長症の手術の是非についてですが、なかなか難しい問題です。

 軟口蓋過長症の手術自体に関しては、この手術になれた先生なら、手術によって大きなトラブルが起きるということは基本的にはあまりなく、この手術だけの成功率で言うとそんなに失敗することはないと思います。

 ただ、手術をして呼吸が改善するか、というとあまり変わらないことも多いです。

 それはそのフレンチブルドッグの子が、はたして軟口蓋過長症のせいだけで呼吸困難が起きているかどうか、にかかわっています。
 当院に通っているフレンチブルドッグの患者さんたちもやはり呼吸のトラブルは多く(これはパグやペキニーズなどの短頭種全般に、ですが)、この場合一つの原因だけで呼吸困難が起きていることはまれで、軟口蓋過長症だけでなく、鼻孔狭窄(鼻の穴が縦穴のように狭い形になっている)、気管虚脱(喉から肺までの空気の通り道が扁平化している)など複数の問題が併発している子が多いです。

 そうすると軟口蓋過長症の手術をしても、ほかの呼吸器のトラブルのせいで改善がないケースも珍しくありません。
 ですので手術をするかどうかを考えるときに、軟口蓋過長症以外の呼吸器の問題を他に持ってないかを十分調べておく必要があると思います。

 また、短頭種は全身麻酔に対する危険性も他の犬種よりは高いと考えるべきですので、軟口蓋過長症の手術の危険性がどうというより、麻酔手術自身の危険性は考慮すべきです。

 フレンチブルドッグの呼吸困難に関しては、ダイエットだけでかなり改善するケースも多いですし、もし手術をするにしてもベスト体重で臨むのが一番安全性が高くなります。
 以前同じ問題で困っていた6歳のパグさんで、ダイエットだけで「いつもなら春あたりから口を開いて呼吸をしていたのが、今年は夏でも鼻で呼吸できてます」ととても喜んでらっしゃった患者さんがいます。
 飼い主さん的にはベスト体重と思っても、実はぽっちゃりさんで、ということもよくありますので、それも含めて主治医の先生とよく話し合われてはいかがでしょう。

評価・お礼

おさんぽ さん

ありがとうございました。軟口蓋の問題だけではない可能性がたかいということが、はじめてわかりました。家族と相談して、犬の年齢をふくめてどのような処置をとっていくのがいいのか、かんがえていきたいとおもいます。

沖田 将人

 お返事ありがとうございます。
 当院に来る子たちも含め、フレンチブルさんはとても愛嬌あふれ、かわいい子たちが多いです。手術が必要になることも確かにあるのですが、その多くが冷房や、ダイエットなどの環境、体質改善で飛躍的に改善することが多いです。
 外科医がこんなことを言うのもなんですが、できるだけ手術しなくてもよい状態を目指してみて、それでもどうしてもというときの最後の手段として手術を考えてあげてください。

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