沖田 将人(獣医)- Q&A回答「高齢犬の去勢手術に関し」 - 専門家プロファイル

沖田 将人
地域に密着したワンランク上のホームドクターを

沖田 将人

オキダ マサト
( 富山県 / 獣医 )
アレス動物医療センター センター長
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シニア犬の去勢手術

人生・ライフスタイル ペットの医療・健康 2012/04/10 14:51

お世話になります。
柴犬、雄 今年9歳になります。
今日病院の健康診断で、肛門から指いれての触診があったのですが、
それによると、前立腺肥大が始まってきているといわれました。

便がなかなか出ないとか、出にくそうにすることはないかって
聞かれ、思い当たることが最近あります。

今年9歳ですが、去勢手術を勧められました。

9歳というシニアでするのですかと聞いたら、何歳になってもできます。
やらないよりやったほうがいい、と言われました。

獣医さんによっては、「胃がんになるかもしれないからと
前もって胃を摘出する人がいますか?」とおっしゃるし、
それも最もだと思うし。でも前立腺が肥大傾向になる、って
言われたら、大事に至らないうちに去勢したほうがいいのかなとも
思ったりしています。

間隔はありますが、てんかん発作(だと思われる)症状もあるから、麻酔とか
健康なわんちゃんより負担がやリスクはどうなんでしょうか。
去勢手術を進める獣医さんは、大したことはないとおっしゃるですが、
術後失敗したと思われるような怖い話もちまたでよく聞きますし、
病気になる確立は未去勢だと高いということや、現に前立腺が
大きくなりはじめているのであれば、今からでも手術を受けるべきかとも
思いますが、まだどうしたらいいのか決めかねています。

また去勢手術だけでなく、一緒に歯石とりもしたら?とも勧められました。
去勢だけでもすごく心配なのに、麻酔ついでにと言われても、
どうしたものかと余計悩んでいます。

この8月で9歳。発作がたまにおきるし、ストレスも受け易く
吐いたりし易いし。でもやっぱり手術を受けるべきかどうか。
アドバイスをいただけたら大変有り難いです。
よろしくお願いします。

gomashibaさん ( 大阪府 / 女性 / 41歳 )

高齢犬の去勢手術に関し

2012/04/11 22:32
( 5 .0)

 はじめましてアレス動物医療センターの沖田と申します。

 さて、実際そちらのワンちゃんを診察したわけではないので、あくまで文面からの想像で書かせていただきます。

 獣医師によって、意見も分かれることもあるかもしれませんが、今のシチュエーションでというと、私も手術をお勧めします。

 9歳のワンちゃんの手術リスクは1歳未満の若いワンちゃんのリスクよりも確かに高いでしょうし、てんかん発作の経歴を持つワンちゃんの手術リスクもまったく病気を持っていないワンちゃんより少し高いと思います。
 ただ、すでに前立腺肥大が起こり始めているワンちゃんを治療せずに放置するリスクのほうがずっと高い、と考えます。

 柴犬となるとかなり長寿の子が多いですから、残りたとえば9年生きるとして、年々悪化する前立腺肥大を我慢し、排便のたびに痛みを伴う人生を送るリスク。
 さらに悪化し会陰ヘルニアなどの大手術が必要になったときの手術リスク。
 結局症状を感化できず、14歳などのさらに高齢で手術をしなければいけないリスク。
 これらのリスクと、今のリスクを客観的に比較する必要があるのではないでしょうか。

 確かに今手術するリスクも十分考えなければいけないとは思うのですが、そればかりに注視し、手術をしないリスクに眼を背けてはいけないのではと思います。

 胃がんのくだりに関しては、本当に獣医さんによりけりの表現だなとは思うのですが、冷静に考えると、ちょっと極論泣きがします。
 去勢をしていない男の子で、8歳を過ぎて前立腺肥大になる子は山のようにいます。
 しかし、数年に1度しかお目にかからないような、稀な胃がんを例に挙げて、「胃がんになるかもしれないから前もって意を摘出する人がいますか」というのはさすがにちょっと・・・という気がします(たぶんわかりやすく説明するためなのでしょうが)。

 生命維持に必要とされる、胃と睾丸の重要度も、それらが高齢になったときに病気になる発生度もぜんぜん違うわけで、それをたとえに持ち出すのはちょっとずるい気がします。

 去勢手術をしないという選択肢が必ずしも悪いとはもちろん思いませんが(前立腺肥大にならない可能性ももちろんあるわけですから)、前立腺肥大が始まってしまった以上はやらざるを得ないのではないでしょうか。

 胃がんだって、なってしまったら、手術せざるを得ないわけですし。

補足

 歯石に関しては、賛否両論あるのではないかと思います。
 高齢のワンちゃんをそれぞれの治療目的で、二度麻酔をかけるリスクを考えると、もし麻酔が安定していたら、一緒にやってしまうのが良いという獣医さんもいるかもしれませんし。
 歯石除去のように、雑菌が飛び散る手術とメスを入れるような手術を一緒にすべきでないという獣医さんもいるでしょう。

 これはさすがに、そのワンちゃんと、その麻酔状況によると思います。
 ちなみに私は、あまり歯石除去と他の手術を一緒にすることは好きではありません。

評価・お礼

gomashiba さん

2012/04/12 09:52

沖田先生
ご回答いただき大変ありがとうございました。
詳しく教えていただいて、心配性だと自分でもわかっているのですが
丁寧にわかりやすく教えていただき大変有り難くおもっています。
歯石除去のこと、そうですよね。ついでに行うべきことではないと
改めておもいました。本当にありがとうございます。

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