沖田 将人(獣医)- Q&A回答「猫の黄疸について」 - 専門家プロファイル

沖田 将人
地域に密着したワンランク上のホームドクターを

沖田 将人

オキダ マサト
( 富山県 / 獣医 )
アレス動物医療センター センター長
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猫の黄疸の対応

人生・ライフスタイル ペットの医療・健康 2011/08/19 14:47

こんにちは。

先日、我が家の猫(11か月、オス)が食欲不振で遊ぶことも少なくなったため病院に連れて行きました。
血液検査をしたところ、黄疸が発覚し、点滴をするため入院となりました。
その時に、肝臓が悪いという診断を受けたのですが、頂いた血液検査の結果を見ながら自分でいろいろ調べているとよくわからない部分もあったので、質問させていただきたいと思います。


血液検査の結果
WBC 55 (正常値55~195)
RBC 546 (正常値500~1000)
HGB 8.6 (正常値8~15)
HCT 26.0 (正常値24~45)
MCV 47.6 (正常値39~55)
MCH 15.8 (正常値12.5~17.5)
MCHC 33.1 (正常値30~36)
PLT 4.6 (正常値30~80)

Glu 84 (正常値41~153)
T-Cho 110 (正常値<224)
BUN 10 (正常値12~41)
T-Bil 2.8 (正常値<0.4)
GOT 130 (正常値<45)
GPT 72 (正常値<86)
Cre 1.5 (正常値0.7~2.5)
ALP 130 (正常値<151)

これより、GOTは高いのですがGPTは正常値の範囲内にあることがわかります。
いろいろ調べていると、肝臓に異常が出た場合はGOTもGPTも両方高い数値になる、とあったので、
もしかしたら、肝臓ではないのでは、と疑問を持ってしまいました。
さらに調べていると、GOTのみ高い場合は溶血の可能性がある、とあったので、
黄疸も溶血からくるものかもしれないとも考えられます。

この血液検査の結果から、何かわかることがあればアドバイスお願い致します。
また、本当は溶血性であるのに、肝炎に対する治療をしていた場合、体調不良や命にかかわることはありますでしょうか?
3月には同じく肝臓を悪くしたと診断された猫(その時は既に重症でした)を亡くしているので、
同じことが起きるのではないかと不安です。
長文申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。


今回の場合は、我が猫は食欲はなく、走り回ることはないものの、少しは遊びましたし、自分のお気に入りの場所に移動することもよくありました。高い所にも上りました。

sho-tokuさん ( 和歌山県 / 女性 / 29歳 )

猫の黄疸について

2011/08/19 21:53
( 5 .0)

 はじめましてアレス動物医療センターの沖田と申します。

 さて、血液検査の内容を拝見してだけのお話ですので、あくまで一般論とお考えください。

 この血液検査の結果だけでは、肝臓から来る黄疸なのか、溶血性貧血から起こる黄疸なのかは判断がつかないと思われます。
 
 少なくとも肝臓疾患すべてがGPT、GOTが同時に高くなるとは限らず、GPTが正常なので完疾患ではないということにはならないです。
 両方同時に上がることが多いとは思いますが、それだけで肝疾患の可能性を否定するのは危険かと思われます。

 では溶血性の黄疸の可能性は0かというと、これも現時点では否定しきれません。
 ただ、これだけビリルビンが上がるほどの(黄疸がでるほどの)溶血をしていて、貧血を起こしていない(RBC、HCT、HGBが正常範囲内)というのは不自然ですので、しいてどちらの可能性が高いかと言われたら、肝疾患の可能性のほうが高い、ということになるかもしれません。

 これは、この一回の検査結果だけを基に評価するのは危険であり、もう一度血液検査をしてみたときに、貧血が起きてないか、T-Bilは下がっているのか、GOTは下がっているのかを見て、その変化で判断すべきかと思われます。

補足

 肝臓に使っている薬が何なのかはわかりませんが、一般的に使われる肝臓用の薬(強肝剤、抗生剤など)を溶血性黄疸に使って、悪化するといことはないと思います。

主治医の先生は血液検査だけでなく、おそらく猫さんの年齢や、一般検査、生活環境、食事内容、あるいはほかのレントゲンなどの検査結果などを含めて診断されたのだと思います。

またそれでもどちらの病気か判断できなかった場合は、どちらか一方(可能性の高いほう)の治療を実施してみて、それに反応するかどうかで診断することになると思います。
他の検査内容にもよるでしょうが、この血液検査だけでどちらか一方の治療をまず実施するとしたら、おそらく私も肝臓に対する治療を優先すると思います。

溶血性疾患の場合ステロイド剤という薬を使うことが多く、これは肝臓へのダメージを与える可能性が十分ありうる治療となります(肝疾患の一部のものではステロイドを使いますが)。

先ほどの肝臓の治療は溶血性疾患の治療に問題を起こさないと書かせていただきましたが、溶血性疾患の治療はもし肝疾患だった場合は悪化させてしまう可能性がありますので、両者の可能性がある場合は、やはり肝疾患の治療(副作用が起こりにくいほう)を先行せざるを得ないと思います。

評価・お礼

sho-toku さん

2011/08/19 23:49

早速のご回答ありがとうございました。
まずは現在の治療が猫に悪影響を与える可能性は低いとわかって安心しました。
猫が落ち着いたらエコー検査もしてもらえるということなので、その結果を基にこれからの治療計画など教えてもらおうと思います。
前の猫のこともあり、大きな不安に襲われていたのですが、とりあえずは経過観察していきます。

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