沖田 将人(獣医)- Q&A回答「ネコさんの安楽死について」 - 専門家プロファイル

沖田 将人
地域に密着したワンランク上のホームドクターを

沖田 将人

オキダ マサト
( 富山県 / 獣医 )
アレス動物医療センター センター長
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安楽死を勧められています

人生・ライフスタイル ペットの医療・健康 2010/07/20 13:52

アメリカ在住、6歳メス猫です。タイトルの通りです。今現在は、食欲はあり、水も適宜飲みトイレも定期的に向かいますが、便秘気味。体重の減少で、クシャミをすると腰から下がふらつくようになりました。横になっている事が多いです。今苦しませているのか、まだ望みが残されているのか悩んでいます。

昨年末から体重が落ち始め、毛も抜けるようになりました。黄疸が出たので急いで病院に行き血液検査を受けた所、
MONO/EOS/BASO/PLT/TP/ALB/ALT/ALKP/TBIL/CHOL/Naの値が高い〜非常に高い結果がでました。ステロイドと抗生物質で様子を見る事になり、1ヶ月後に再度血液検査を受けた所安定したために薬の量を徐々に減らし、最終的には薬なしの生活に戻すよう指示を受けました。

それからも体重も余り増えず、抜け毛も若干良くなったようには見えましたが、もともと横になる事の多い子でしたが、行動範囲が徐々に狭くなり、食べ物の好き嫌いが増え始めた為に、自分で定期的に腹部をマッサージがてらに触ったりして異常が無いかを確認していたつもりでした。

6月に入ってからまた体重の減少が気になったのと、左腹部にしこりを感じたので、また急いで診察に連れて行った所、触診をしてくださった先生から、腫瘍が大きすぎる事、脱水症状を起こしている事、この状態ではこの子に取ってフェアーではないので今すぐにも安楽死を、と言われました。

非常に神経質な性格のため、病院では暴れ、噛み付き先生方にも手の負えない猫です。黄疸の時に連絡したクリニックからは、診察を拒否されました。診察の度に、触診とX線を試みたのですが、猫の暴れ方が尋常ではなく、どちらも出来ない状態でした。(シェルターから引き取りました。引き取る前は飼い主に虐待されていた猫です)

その時に安楽死を選択出来なかったのは、食欲があり、おしっこ、便は定期的に(多飲多尿とは違う)排泄出来ており、目にも活力があるのが確認出来ていたからです。

補足

2010/07/20 13:52

今は家族で意見が分かれており、私は、まだ何か方法が無いのかと毎日ネットで調べては高タンパクのオーガニックフードを与えてみたり、ビタミンBCEのサプリメントを少し足してみたりしています。

ただ、まだ死んで欲しくないという自分のワガママで引き延ばすのではなく、この子のQOLを一番に、たとえ命が尽きようとしているのだとしても、何よりも苦しみを可能な限り減らす手助けは出来ないものでしょうか?

nekonomammyさん ( 鹿児島県 / 女性 / 39歳 )

ネコさんの安楽死について

2010/07/20 15:29
( 5 .0)

 アメリカの動物病院で安楽死を勧められたということなのでしょうが、正直あまりに早い段階での安楽死の勧めで驚いております。
 文化の違いというものなのかもしれませんが、私の感覚では現時点での安楽死というのは考え難いお話です。

 実際に猫さんの状況を見たわけではありませんので、安楽死すべきでないと、単純にお答えすべきではないとは思いますが、少なくとも自分で食事を食べている子に対しての安楽死の勧めというのは、日本ではあまりないのではと思います。

 まだ6歳の猫さんで、左腹部に大きな腫瘍というお話ですが、これは明確な診断名が出ているのでしょうか。

 もし、はっきりとした病名、腫瘍は良性なのか悪性なのか、症状に本当に関与しているのか、どれくらいの寿命が期待できるのか、治療の手段は全くないのか、苦痛を伴う病気なのかなど、まず今の病状をはっきりさせることが重要なのではないでしょうか。
 もし明確な上記のインフォームドコンセント(特に病名)が受けられてないのなら、一度大学病院などの高度医療施設で(あるいは、それが無理なら近隣で評判の良い別の病院で)、きちんとした診断名を出してもらってはいかがでしょう。

 でなければ、のちに、「あの時もっと何かしてあげられたのでは」と、ずっと苦しむことになってしまうのではないでしょうか。

 どうしても安静に検査をさせてくれないネコさんの場合は、(麻酔をかけてでの検査というのも一つの手段かと思います。

 日ごろ診療をしておりますと、やはり安楽死について相談されることはあります。
 人により価値観も異なりますので、何が正解というのは難しいでしょうが、判断に悩む際は人間のご家族に置き換えて考えてみてはとアドバイスしております。

 6歳のネコさんですから、人間で言うと40歳くらい(私と同じくらいの年齢)の人が、腹部に腫瘍ができ、食欲にむらがあっても、一応食事ができているとします。
 食欲があるから、生きる意志があるという安直な話ではないでしょうが、そのような人が身近にいて、安楽死を進めるか、どうかと考えてみてはいかがでしょう。

 ご家族みなさんのそれぞれの価値観もあるとは思いますが、何だかわからないけど助けるのは難しいというあいまいな診断ではなく、やはり明確な診断をしてもらい、考えるのはそこからなのでは、という気がします。

評価・お礼

nekonomammy さん

沖田先生、丁寧なご回答をありがとうございました。心より、感謝申し上げます。
先生の回答を拝読し、もう一度診察を受けてみようと考えています。この子の為に出来る事は限られていますが、最期の時を向かえるまでは、この子と一緒に家族も精一杯の事をして、よく頑張ったね、お疲れさま、ゆっくりお休み、との思いで旅立たせる事が出来るように、家族をなんとか説得したいと思います。

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