三森 敏明
ミツモリ トシアキ成年後見人
暮らしと法律 民事家事・生活トラブル 2008/02/04 18:43主人は三人兄弟で、姉、主人、妹です。姉は脳性小児麻痺で、現在公立の施設で生活し、妹一家は主人の実家で義母と同居しています。義父は他界しています。義母はこの姉の成年後見人として妹を指定しています。実家の相続権として、義母が亡き後では兄弟3人にあると思いますが、成年後見人の義妹は姉の分の相続権もあるのでしょうか。その場合、主人と義妹との分割協議になるのでしょうか。
また、主人の分として土地を相続しても、将来そこに住む予定がない場合、主人の分を義妹に買い取ってもらう、ということは可能なことでしょうか。その場合、市価との兼ね合いはどの程度と考えればよいのでしょうか。
現在、問題として起こっているわけではありませんが、知識として知っておきたいと思っています。よろしくお願いします。
レオンさん ( 東京都 / 女性 / 54歳 )
成年後見人に被後見人の相続権はありません。
レオンさん、こんにちは、弁護士の三森敏明です。
成年後見人は、被後見人のために身上監護、財産管理を行いますが、被相続人の相続権はありません(むしろ、相続が発生したときには、被後見人と政権後見人の利害関係が対立することになります)。
相続は、基本的には遺言が優先され、遺言がない場合には相続人間で遺産分割協議を行います。
姉も相続人の1人ですが、実際には遺産分割協議に参加して、自らの権利を主張することは実際には困難だと思います。
このような場合には、姉のために家庭裁判所から特別代理人が選任され(民法860条、826条)、姉のために権利行使をすることになると思われます(ただし、妹を監督する成年後見監督人が選任されている場合は別)。
遺産分割時に相続財産として土地があり、その土地に住みたい相続人がいる場合、土地に住みたい相続人からその他の相続人に対して、相続が不公平にならないように代償金を支払って土地を単独で相続することがよく行われます(実質的に、土地への相続権を買い取るということになる)。
レオンさんのケースは、たぶん、妹が夫(兄)に代償金を支払って、土地を単独所有することになるのでしょう。