小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「石鹸は用途に応じて規制内容が違います」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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手作り石鹸について

法人・ビジネス 独立開業 2008/06/11 10:20

専業主婦ですが、趣味で石鹸を手作りしています。
石鹸を雑貨扱いとして販売する事が書いて売られている石鹸をよくみかけます。この場合は石鹸を販売する登録みたいなものをしていなくても問題はないのでしょうか?私も何の資格もないのですが、近所の雑貨店などに一回に数個から10個程度の石鹸を置いてもらって雑貨としての販売を書いて販売できたらと考えています。
その場合しなくてはいけない事など教えて下さい。

さえのみさん ( 大阪府 / 女性 / 33歳 )

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経営コンサルタント

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石鹸は用途に応じて規制内容が違います

2018/03/10 22:29

さえのみさん、こんにちは。今回頂きました「手作り石鹸の販売」に関するご相談について、これから回答しますね。ご質問では“雑貨”としての販売をお考えになっているということでしたが、用途は何でしょうか。例えば、台所用として使う石鹸をお考えなのでしょうか。あるいは香りを楽しむ石鹸や観賞用の石鹸をお考えなのでしょうか。まずは、そのあたりから回答していきますね。

1.石鹸の用途によって異なるルール
まず、石鹸と一口に言っても、肌や洗顔用のもの、台所用もの、洗濯用のもの、観賞用のものなど様々ありますが、それぞれ用途によって規制内容が少しづつ違います。画像1の表をご覧ください。

表を見て頂くとおわかり頂けると思いますが、さえのみさんがお考えになっている雑貨・雑品の石鹸の販売には、医薬品医療機器等法(旧薬事法で正式名称は“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律”)に基づく厚生労働省の許認可等は必要ありません。面倒な手続きがないことがメリットでありますが、販売できる石鹸は、「台所用」「洗濯用」などに限定されます。もし仮に、洗顔や体を洗うなど肌に直接使うための石鹸をお考えならば、化粧石鹸扱いとなり厚生労働省から化粧品製造販売認可必要となります。まず、この点についてご確認下さい。また、商品の表示方法についてもルールがあります。このことは、後述します。


2.もし、化粧品石鹸をお考えならば
 もしさえのみさんが「洗顔や体を洗うなど肌に直接使う」化粧品石鹸の販売をお考えになっているのであれば、化粧品製造販売業の許可が必要と前述しましたが、では具体的にその許可を受けるためにはどの様な要件が求められるか。その内容を詳述すると大変なので、ここではその一例のみをお示しします。
化粧品石鹸を製造販売するならば、体制として、総括製造販売責任者(医薬品医療機器等法(旧薬事法)施行規則第85条第2項)、品質保証責任者(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令(GQP省令)第17条)、安全管理責任者(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(GVP省令)第15条で準用する第13条第2項)の3つの責任者の配置が必要となります。また、それぞれに資格要件を満たす責任技術者でなければならないですし、品質管理面、安全管理面で国の定める基準以上の整備をとる必要があるため、それなりのコストもかかります。正直、お一人でこれら体制を整えていくことはなかなか難しいと言わざるを得ません。
よって、もし、さえのみさんが化粧品石鹸の製造販売をお考えの場合は、さえのみさんの企画やアイデアなどを受けて、受託製造を請け負ってくれるOEM(original equipment manufacturerの略)メーカーをパートナーに持って、事を進められることをお勧めします。法人だけでなく個人も対象に生産を請け負ってくれる会社がいくつかあるようですよ。ただし、OEMメーカーでは、最低ロット100個以上などの縛りがあるところもあります。その場合、ある程度の在庫リスクや製造費用の負担が発生するので注意が必要です。

石鹸のOEMが可能な会社の例
株式会社マスター(大阪府堺市)  http://www.mastersoap.co.jp/oem/index.html
株式会社LCR(大阪府堺市)     http://awanotoki.com/
石鹸家(福岡県糟屋郡宇美町)   http://sekkenya.net/about-oem/


3.雑品として石鹸を販売する際の広告可能表現について
 さて、話を雑品として石鹸を販売するケースに戻しましょう。石鹸を店舗などで販売するには広告が必要ですが、その際に注意すべきことが何点かあります。まず1点目は、これまで説明してきましたように雑品の石鹸は、「台所用」や「洗濯用」等の石鹸となりますので、肌や顔や体といった人体に使用する「化粧品石鹸」としての表現はできませんし、皮膚にうるおいやツヤを与えるといったような医薬品的な効果効能があるかのような表現も認められていません。違反すると医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反となる可能性があります。ご注意ください。次に2点目ですが、雑品の石鹸においては家庭用品品質表示法にもとづく表示義務もあります。家庭用品品質表示法は、消費者が購入するときに商品について分かりやすい品質表示をしなさいという目的で作られた法律ですが、石鹸について以下の内容を表示することが求められています。
1.品名
2.成分
3.液性 ※
4.用途 ※
5.正味量 ※
6.使用量の目安 ※
7.使用上の注意 ※
8.表示者名及び連絡先
(固形石けんについては、※印の項目の表示を省略することができます。)

画像2に表示例をお示ししておきます。この表示内容について更に詳しくお知りになりたい場合は、消費者庁のHPをご覧下さい。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_05.html


4.最後に
これまで石鹸の製造・販売に関するご質問に回答致しましたが、健康ブーム、環境ブームもあってか手作り石鹸を販売したいとお考えの方も数多くいらっしゃいます。一部の少数の方のようですが、なかには「台所用」「洗濯用」と称しておれば、身体に使うことを想定している石鹸の販売をしてもよいとの誤った見解をお持ちの方もおられるようですが、実際に肌荒れがでた、アレルギーが出たなどとトラブルに発展する事案もあります。保健所に通報されたり、製造物責任(PL)法による損害賠償を請求される可能性もございますので、細心の注意が必要です。お客さまとのトラブルを回避し、気持ちの良い取引きができるよう、そして、安全、安心の出来る石鹸を提供できる環境を整えて頂ければと思います。
また、さえのみさんは、既に趣味で石鹸作りをされているとのことなので、石鹸作りに関する知識も経験も豊富にお持ちだと思います。どういったニーズをお持ちの方々への石鹸とするのかを明確にして、こだわりの石鹸をつくることが成功の第一歩だと思います。お使い頂いたお客様の声を聞くなどして、改良を加えていくのもいいかもしれませんね。頑張ってください。

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