小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「主治医と前職の健保組合等に支給条件に該当するか相談しましょう」 - 専門家プロファイル

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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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傷病手当受給中の開業届け

法人・ビジネス 独立開業 2022/10/08 19:12

前職を鬱病と診断され休職後に退職しました。社会保険を任意継続しながら傷病手当を受給し8ヶ月目です。将来的な収入に不安を感じて独立を視野にネットショップの代理店として登録する為に必要だったので開業届を提出しました。が、これは不正受給に該当しますでしょうか?不正受給の場合3倍の返還金を請求されると聞いて不安になりました。開業はしたものの収入はまだ得ておらず、むしろマイナスの状態です。しかし、体調は相変わらず思わしくないのでクリニックにはまだ通っていて鬱病の診断と薬を処方して頂いております。
これから確定申告を控えこの事(不正受給に該当しないか)について不安になってきたので質問させて頂きました。どなたかご回答くださると助かります。よろしくお願い致します。

Sasumiさん ( 青森県 / 女性 / 50歳 )

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主治医と前職の健保組合等に支給条件に該当するか相談しましょう

2022/11/28 20:50

Sasumiさん、こんにちは。開業と傷病手当金の受給関係についてのご質問ですね。

結論から言えば、傷病手当金の継続の支給の条件に該当するかどうかは、仕事に就くことができない状態(労務不能)に該当するかどうか、ということが判断基準になります。
その判断は、医師の診断を参考に保険者(健康保険組合等)が行いますので、事前にご担当の医師及び前職の健康保険組合等に相談されることをおすすめいたします。
傷病手当金受給中の開業は可能ですが、傷病手当金の支給は労務不能な状態かどうかで判断されます。

まずご質問の前提として、傷病手当金の支給要件についてご説明します。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
支給要件は以下の4点で、所定の手続きを取ることで支給されます。
1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
2.仕事に就くことができないこと(労務不能であること)
3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4.休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。
退職等資格喪失後も継続して支給を受けることができます。
但し、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。
(全国健康保険協会HP 傷病手当金:
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/

Sasumiさんの状況に照らし合わせると、「会社を設立して報酬を受ける」ことが、「仕事に就くことができる状態」に該当するかどうか、ということを考える必要があるかと思います。
仕事に就くことができない状態(労務不能)というのは、被保険者が今まで従事していた業務ができない状態のことで、労務不能かどうかの判定は、医師の意見、被保険者の業務内容、その他の諸条件(報酬額等)を考慮して判断されます。すなわち、Sasumiさんの場合ですと、前職で従事していたような業務ができないが、代替的性格をもたない副業ないし内職等の軽微な労務であるネットショップの代理店として収入を得るというケースであれば、労務不能と判断されて傷病手当金が支給(働いて得た報酬を差し引いた差額分)されることも有りうるかと思います。一方、労務可能と判断されれば、傷病手当金は打ち切られます。

ご参考(厚生労働省通知 平成15年2月25日保保発第0225007号より抜粋)
「本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合には、通常なお労務不能に該当するものであること。」
(厚生労働省HP 規定の解釈運用:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1103&dataType=1&pageNo=1

すなわち、労務不能に該当するかどうかの認定は、医師の診断を参考に保険者(健康保険組合等)が行います。Sasumiさんの場合ですと、既にご退職されているということですので、前職の健康保険組合が該当するかと思います。
早めにご担当の医師及び前職の健康保険組合と相談されることをおすすめいたします。相談せずに継続して傷病手当金を受給したことで、万が一保険者から虚偽の申請をしたとして不正受給と判断されてしまった場合、不正の行為のあった日以降の支給停止のみならず、受給済みの傷病手当金の返納等を求められることも想定されます。
なお、開業が認められない場合は、税務署とご相談され、個人事業の廃止等届出書を提出し、傷病手当金の支給期間終了を待って開業等届出書を再度提出されるのも一案かと思います。
また、傷病手当金の確定申告に関しては、健康保険法に「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。」(第62条)と定められており、傷病手当金は非課税で傷病手当金の税務署への申告は不要です。

以上となります。Sasumiさんのご健康とご活躍を願っております。

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