小松 和弘(経営コンサルタント)- Q&A回答「お答えします」 - 専門家プロファイル

小松 和弘
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コマツ カズヒロ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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使用人兼務役員の責任

法人・ビジネス 独立開業 2012/01/10 23:44

以前、こちらの方で質問させていただいた者です。

以前、質問させていただきまして専門家の方々からわかりやすいご回答をいただき、これに勇気を持って会社の方と相談させていただきました。
その結果、私が「使用人兼務役員」であることがわかり、残業手当もつき、雇用保険の問題もない旨の説明を受けました。
しかしながら、こちらから1つ1つ聞かないと答えてくれないなど、まだまだ不透明な部分も多く不安な面もありますので、またこちらでご相談したく質問をさせていただきます。

1・私の勤める会社(A株式会社)の元親会社(A株式会社)に数億円の負債があることが新たにわかりました。B株式会社はプラスマイナス0のようです。
A・Bは約半年前に登記上は別会社となっておりますが、この場合、
A・Bはそれぞれ別会社となっていても、B株式会社にも負債を負わされる可能性はあるのでしょうか?

2・また、これから先、B株式会社の「使用人兼務役員(取締役)」でやっていくと仮定しまして、会社で何らかの問題が発生した場合(クライアントからの賠償請求問題・経営の悪化など)使用人兼務役員であっても、相当の責任を負わなければならないのでしょうか?責任を負わなければならない場合、どのような責任を負わされるのでしょうか?
この旨会社に確認しますと、「それは心配しなくても大丈夫だ」と何の根拠も証明もなく返答されるだけでかなり不安です。

半年前。そもそも「役員の重み」というものをわからずに簡単に承諾した自分が悪いのですが、以前の相談で1つの問題が解決できてよかったと思います。
また、新たな不安要素が解消できればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

pony77さん ( 大阪府 / 男性 / 32歳 )

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お答えします

2012/02/16 00:28

pony77さん、こんにちは。

質問は次の2項目ですね。
1.元親会社(A株式会社)の負債をB株式会社も負わされる可能性はあるのか?

2.B株式会社の「使用人兼務役員(取締役)」でやっていくと仮定して、会社で何らかの問題が発生した場合(クライアントからの賠償請求問題・経営の悪化など)使用人兼務役員であっても、相当の責任を負わなければならないのか?責任を負わなければならない場合、どのような責任を負わされるのか?

1.については、株式会社等の会社は、法人として、法律行為の主体となる人格を与えられています。
法人は独立した人格ですから、法人の取引で義務を負担するのは、当該法人のみとなります。登記上別法人になっていれば独立の人格であり、法人が異なる以上、人格も別で、義務を負うのは取引行為をした法人のみであるというのが原則です。従って今回の場合は、A会社が整理されるだけでB会社には影響はありません。

2.についてですが、使用人兼務役員とはいえ、役員としての義務や責任を負うという点では通常の役員と変わりません。役員は会社に対して「善管注意義務」及び「忠実義務」を負っています。「善管注意義務」とは「善良な管理者の注意を持って職務を遂行する義務」、「忠実義務」は「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のために忠実にその職務を行わなければならない」という規定です。職務怠慢や注意不十分によって会社に損害を与えた場合は、他の役員等と連帯して損害賠償等の責任を負うこととされています。主には次の様な場合があります。

a.違法配当 : 分配可能額を超えて剰余金の配当を行うような場合。
b.利益供与 : 株主の権利行使に関して、株主に対し金銭その他の財産を供与するような場合。
c.利益相反取引:取締役と会社の利益が相反する取引を行うような場合(原則取締役会決議必要)
d.法令・定款違反:法令や定款に違反するような行為を行うような場合。
a~cの行為は、原則過失責任となり、不注意ミスがない(無過失)場合は責任を負わなくなります。但し「不注意ミスがない(無過失)」の証明は、役員自らが行う必要があります。

補足

1.の部分ですが、補足説明を2点させて頂きます。1つは「法人格否認の法理」という考え方です。法人格が濫用されている場合は、その法人格を信義則上主張できないとして、取引の相手方は、A会社の債務であってもB会社に請求できるという考え方です。この考え方は、最高裁判所で認められています。
最高裁昭和四八年一〇月二六日判決では、「取引の相手方からの債務履行請求手続を誤らせ時間と費用とを浪費させる手段として、旧会社の営業財産をそのまま流用し、商号、代表取締役、営業目的、従業員などが旧会社のそれと同一の新会社を設立したような場合には、形式的には新会社の設立登記がなされていても、新旧両会社の実質は前後同一であり、新会社の設立は旧会社の債務の免脱を目的としてなされた会社制度の濫用であって、このような場合、会社は取引の相手方に対し、信義則上、新旧両会社が別人格であることを主張できず、相手方は新旧両会社のいずれに対しても債務についてその責任を追求することができる」としています。
今回の質問内容だけでは、会社設立の状況が分からないですが、この法理が適用されるかもしれません。

また次の様な場合は別会社とはいえB会社も倒産する場合もあります。
a.A会社との取引額が多い場合です。A会社が倒産すれば、A会社に対する債権は凍結されB社の資金繰りが厳しくなり連鎖倒産する可能性が高くなります。
b.A会社が倒産すれば、関連会社であるB会社の信用力も疑われる場合です。貸し倒れを恐れるあまり、取引先などから現金決済を求められ、資金繰りが悪化して倒産して、そのまま連鎖倒産する可能性が高くなります。

以上になります。pony77さんの今後ますますのご発展とご健勝を心よりお祈りいたします。

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