金井 高志
カナイ タカシ印刷ミスによる保証金請求
法人・ビジネス 企業法務 2008/10/15 19:36A社が広告代理店Bに商品パンフレットを80万円で注文した。Bがデザイン制作し、
インターネットで検索し、見積価格が低価格だった印刷会社Cに20万円で印刷を注文した。
Cは印刷したものをAに納品した。
ところがAが商品パンフレット配布中に一部分が不良品であることが判明した。
不良品の内容から考えて、納品1000冊中10冊程度の確率と思われるが、配布終了していたため
実数は不明である。BはCにすぐ刷り直しの指示を出し、Cは自社の責任として刷り直しし、
Aに1000冊再納品した。
しかしその後BよりCに以下の連絡があった。
「今回の件でAから月300万円もらっていた広告がなくなったので、今回のパンフレット制作料金80万から20万の印刷料金を差し引いた60万を補填して欲しい。」
Cは保証するつもりはないが、初回の印刷代金の請求ができそうにない。あきらめるべきか?
yoshi2215さん ( 佐賀県 / 男性 / 45歳 )
印刷代金の請求は難しいかもしれません
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ご質問は、CがBに60万円の填補をする義務があるか、CはBに20万円の印刷代金の請求できるか、というものと思われます。
60万円の填補要求は、Cが製造を請け負って納品したパンフレットに不良品があったことを原因とする損害賠償請求です。Cにとって、パンフレットに不良品があった場合に、BがAとの広告の契約を打ち切られることが予測できた事情があれば、Cにはこれを支払う義務があります。ただ、このあたりの事情はCとしては、わからなかったのかもしれません。そのような事情をCが知ることができなかったような場合であれば、60万円の補填請求に応じることはないと思われます。
20万円の印刷代金は請負代金です。Cはパンフレットを完成させて納品していますので20万円を請求できるのが原則です。しかし、BがCに損害賠償請求ができると主張する限り(Cが60万円の損害賠償を支払う義務があるかどうかは裁判所でなければ確定されません)、Cが20万円を請求しても、支払いがなされることはないでしょう。
以上を前提とすると、本件のような場合、裁判で解決する事案ではありません。裁判所における調停手続で話し合いをして解決するべき事案であると思われます。
評価・お礼
yoshi2215 さん
さすが専門家で、わかりやすい説明です。
とりあえず請求書送付して、払わなければしょうがないという考えで現在はおります。