清水 英子
シミズ エイコデキ婚
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この数年、私の周りで結婚の話題が出るうちの、約3割くらいは、
いわゆるデキ婚だったような気が…。
そのたびに、その当人のお母さんたちと、
「今の子達の付き合い方って、自分たちの頃とは、ずいぶん変わったよねえ」
「自分たちの頃は、親に内緒で、女友達のうちに、泊りに行ってくるとか、嘘を言ってでかけたもんだけど、
最近は、彼氏の家に泊まりに行くのも、堂々としてるもんねえ」
…というような話題が…。
うちの娘も、実は、休みになるたび、彼氏の家に、出かけて行ってたんだけどね
最初の頃は、
「そんな、毎週あっちの家に泊まりに行って、相手の親に、だらしないと思われるんじゃないんか??」
と心配して言ったこともあったんだけどさあ。
「お堅い家の子供たち」 まで、そういう付き合い方をしているなんて話を聞くと、
なんだか、安心しちゃってさあ、
まあ、未成年じゃないんだし、なんて思っていたんだよね
ところが、先月の終わりくらいに、なんだか、娘の様子がおかしくてねえ
すぐに、泣いたり、イライラしたり、まさに、不安のまっただ中って感じだったもんだから、
もしかしてと、頭をよぎったけれど、
ま、さ、か、うちの子に限って…
それが、そのまさかだったよ~
それから、まあ、激動の一週間
いやあ…久しぶりの衝撃だったよ
妊娠してるとわかった日…。
外から帰ってくると、あるはずのない娘の車…
家の中を探しても、気配がない。
ラインで、「あんた、早退したんかあ「」
「うん、Y子ちゃんの家におる」
寝不足だったことも、わかっていたし、
「具合悪いなら、早くかえっておいでや」
それから、数分後
家に着くなり、半泣きで、
「お母さん…、赤ちゃん出来とったあ」
へっ 「……。」
いやあ、衝撃だったねえ
お父さんに言うの恐い…と言って泣きだす始末
ま、お父さんが、ショックを受けるのは、簡単に想像がつくからねえ
「お母さんが、先に、うまく話すから」 と言ってやって、
また娘には、「あっちの親にも話をしておいで」、と指示をして…
とにかく、娘がいない間に、お父さんに話さなければっ
話した途端に、お父さんの顔から、血の気がひくのがわかったよ
第一声が、「そいつを、ここへ連れて来い 」
私が、思った以上に衝撃は大きかったようで、焦ったねえ
それから、三日間ほどは、家の中に、今までにない空気が漂っているというかんじだったね。
これじゃ、マズイ…
三日目…。帰ってきてすぐ
「お父さん、ちょっと…。」 と、声をかけ
「お父さん…、今さあ、子供出来て本人も、不安やろうし、新しいスタートするときなんやよ?
本人のために、何の障害もなく、流れるように送りだしてやろうよ、ね?」
と切り出すと、目を腕で押さえながら、「だって、寂しいもん」 と、泣いたよ
それから、数日、ソファに寝転んで、私にわからない様に、涙を拭いている姿も目にしたけれどさ、
気がつかないふりをしたよ
いやあ、男親なんて、どこも、こんなもんなのかもしれないね