本当の意味での健康住宅
住宅・不動産 住宅設計・構造 2005/11/22 08:08以前、ある建築専門家に下記のようなことを聞きました。
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今の住宅の特徴として、断熱材をふんだんに使い、夏は外からの熱を
防ぎ、冬は中からの熱の放出を防ぐなどの対策を施しています。
この特徴を究極まで続けると、カプセルに住むことになるということ
です。
そこで重要などが換気です。強制換気を天井から行っているものが
ありますが、汚い空気は下に溜まる傾向があり、ほとんど機能を
なしていない。窓を開けるのが一番換気によい。
私が最も勧めるのは土壁の在来工法。
自然にできる隙間のせいで夏は暑く、冬は寒いが、そこは人間として
我慢するべき。
夏は打ち水をしたり、冬は重ね着をして対策を施す。
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私の実家は、日本の伝統的な在来工法で、これからの季節は
非常に寒いです。マンションだと、実家ほど暖房しなくても温かい
です。
でも、この意見を聞いて、心底納得した覚えがあります。
大手住宅メーカーを否定するような意見なのですが、本当のところ
はどうなんでしょう?
好き嫌いや価値観ではなく、そういった点でのご意見を伺いたい
と思います。宜しくお願いします。
九左衛門さん ( 大阪府 / 男性 / 32歳 )
いいとこ取りも可能だと思います
- ( 4 .0)
ご回答ありがとうございます。
私は高機密、高断熱住宅そのもののリスクはあまり高くないと考えています。リスクがあるとしたら、それは暮らし方によるものだと思っています。
機密性や断熱性はもともと住宅に求められている性能です。すきま風のある伝統家屋でも、当然ある程度の気密性、断熱性をもっています。高機密、高断熱とは、そのもともとあった性能を高めただけです。だから、そこにもともとあったリスクが、性能を高めた分だけ増えるのではないかと思います。
例えば、外気より温熱環境が安定しているので害虫や雑菌などにとっても比較的繁殖しやすいこと。
また、季節や時間による温度差が少なくなるので、温度差に弱い体質になる可能性があること、など。
これらを回避するためには、きちんと掃除をするとか、必要のない時は空調を止めて外気を取り込む、といったことを習慣づけることが効果的だと思います。まさに暮らし方ですね。クールビズ・ウォームビズ的に言うとクールリブ・ウォームリブといったところでしょうか。そして、こうしたことは高機密、高断熱の住宅でなくても、健康や環境を守るために大切なことだといえるでしょう。ただ、高機密、高断熱の住宅ではより意識的にそうした暮らし方をする必要があるかもしれません。
住宅というのは、住宅そのものだけでは快適な暮らしを保証してくれません。どのように暮らすか、その暮らしをちゃんとサポートしてくれる計画になっているのかが、とても重要です。
高機密、高断熱というのは、そうした住宅の計画を成立させる要素の一つに過ぎない、と言えます。ですから計画が優れていれば、高機密、高断熱で快適さを得ていても、十分に健康的で自然とともにあるような暮らしが実現できるでしょう。
評価・お礼
九左衛門 さん
> どのように暮らすか、その暮らしをちゃんとサポートして
> くれる計画になっているのかが、とても重要です。
おっしゃるように、専門家の方はこの点を消費者の方に伝えて
いってもらえたらと思います。
ありがとうございました。