前回の説明で「ショートセール」とはどのようなものかおわかりいただけたでしょうか。
売主の視点に立つと、「ショートセール」を行うことで、相当時間の掛る抵当流れ(フォークロージャー)を起こさずローンを完済することができますし、「フォークロージャー」は信用履歴(クレジットヒストリー)に残るのに対して、「ショートセール」はこれが残らないので、3年から4年位で普通のレートでローンが組めるようになるというメリットがあります。
それでは買主の視点に立つとどのようなメリットがあるでしょうか。
一言でいえば、「市場価格以下で不動産が購入できるチャンスがある」ということです。
そんなことなら誰でも飛びつきたいところですが、おいしい話には代償も付きもので、ショートセールにも、当然、ディメリットがあります。
まず、売主側のディメリットは、レンダーと交渉するにあたってたくさんの書類を提出しなければならず、これに時間と手間が掛ります。それでもレンダー側から許可がおりるとは限りません。このプロセスには大体3ヵ月から10ヵ月位掛りますが、その間、不動産は凍結状態にあり、売主は自分の不動産を売却できません。
買主側のディメリットは、レンダーから売却の許可が出るのか出ないのか分からず、いつオファーを入れた不動産が自分のものになり登記できるのかはっきりわからないという点です。
不動産の売買は、一応売主(のエージェント)と買主(のエージェント)を通して行いますが、売主の後ろには取引を管理、許可するレンダーがしっかり控えていますから、取引相手は「一日も早く不動産を売却したい売主」ではなく、「いかに高く売れるかを考えているレンダー」ということです。
ご存じのように、レンダーというものは組織ですから、それぞれの役割分担がなされていて、こちらのリクエストや連絡が各担当者に届くのにやたらと時間が掛り、それでなくともレンダーはこのような不動産を山ほど抱えているためおのずと対応が遅くなるのです。
オファーを出してから返事がくるまで2~3ヶ月なんてこともあります。
また、極端に安い価格で売りに出している不動産には、いくつもオファーが入り、その審査で長々と待たされた挙句、買主間の「競り」状態になり、最終価格が当初見込んでいた価格よりずっと高くなっていたなどということもあります。
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