対象:会社設立
当方、本職とは別収入で父親と共同名義の賃貸ビルを持っております。
この賃貸ビルの名義を法人会社に変えて運営して行きたいと思います。
理由は
1,賃貸収入が2人だけに入る形なので税金が大変
2,どちらかが死んだ場合の相続問題
などです。
一応、税理士にも相談したのですが、頂いたアドバイスは
会社設立→銀行からビル購入資金の借入→会社がビル名義人2人からビルを購入
と言う感じです。土地に関しては父親1人の名義なのですが後から同様な方法で会社名義に変えるとの事です。
この場合は銀行から購入資金を借りないと都合悪いのでしょうか?会社設立時に借入では無く自分を含め役員達の自己資金だけでビル購入が希望なのですが…
税務署などからの印象悪くなるでしょうか。
理由は
会社設立→自己資金でビル購入→結果、自己資金が売却利益として戻るです。
つまり自分の会社を作り、資本金などを個人の自己資金のみで出資し、会社の金となった資金で出資した役員の不動産を購入。
土地の売却で税金は掛かりますが確かに投資した自己資金は結果すぐ自分に戻って来ます。そしてビルの名義だけが変わる。この部分だけで言うと確かに聞こえが悪い気もするのですが…
如何なものでしょうか?また、他に良い方法があればぜひお願いします。
loco.Tさん ( 東京都 / 男性 / 43歳 )
回答:2件
回答致します。
こんにちは。
税理士さん等の立場ではなく恐縮ですが、何年か前に同様の案件で税理士さんからアドバイスを受けたことがあります。
借入が必要な理由は、法人として不動産を持つには「不動産所有法人」という形で会社を設立しなければならないとのことで、その要件として「法人名義で融資を受けなければならない」という決まりがあったと記憶しています。
それが不要な「不動産管理法人」という形態もあるようですが、それなりに規模にならないとメリットが出ないということでした。
節税や相続の対策は、王道はあれど、何がベストであるかはケースバイケースですので、参考までに。
回答専門家
- 田中 紳詞
- (東京都 / 経営コンサルタント/ITコンサルタント)
- 株式会社Exciter 代表取締役/主席コンサルタント
業務システムからモバイルまで、IT業界の無差別格闘家
専門はSAPなどの業務システムとコンサルティングですが、それに限らず企業にとって必要なITとその活用を考え、幅広い分野の経験を積んできたと自負しております。ITには多くの分野がありますが、一面ではなくトータルで勘案したプロの仕事をお届けします。
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不動産の法人成で購入資金に自己資金を利用することは可能です
loco.Tさん,こんにちは。ご質問は,法人を設立し所有不動産を法人名義にするにあたって,金融機関からの借り入れではなく自己資金だけでビル購入が可能かということですね。
1 個人所有の賃貸不動産を法人名義にする方法
会社を設立し,個人で所有する賃貸不動産を法人名義にするためには,当該不動産の現物出資,法人への贈与,法人への売買が考えられます。
(1)現物出資
会社設立時や増資時に金銭出資ではなく当該賃貸不動産を現物出資することが考えられます。
もっとも,現物出資は裁判所が選任した検査役の調査が必要になります。売買の場合と同様に譲渡所得税が問題になります。このように現物出資は手間とコストが発生します。また,賃貸不動産の現物出資によって会社の資本金が大きく増加しますが,資本金が1000万円を超えると消費税や住民税の均等割りの計算で不利になりますし,1億円を超えると法人税の優遇措置の適用を受けることができません。
(2)贈与
個人が所有する賃貸不動産を法人名義にするには,法人に無償で贈与することも考えられます。
もっとも,この場合,個人には賃貸不動産を時価で譲渡したものとして譲渡所得税が課税され,贈与を受けた法人には,賃貸不動産の時価相当額を受贈益として益金に参入された法人税が課税されます。
(3)売買
loco.Tさんがお考えになっているとおり,個人が所有する賃貸不動産を,設立した法人が買い取る方法も考えられます。賃貸不動産を譲渡する場合には譲渡所得税や不動産取得税の課税が発生します。
譲渡所得は,原則として実際に譲渡した金額で譲渡所得が算定されますが,時価の2分の1未満で譲渡した場合には時価で譲渡したこととみなして譲渡所得が算定されます(所得税法59条)。また,売買価額が不適切ですと税務署の調査が入る場合もあります。そのため,譲渡価額は適切に設定する必要があります。
[譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)](国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
2 購入資金
会社との間で売買契約を締結する場合,会社には購入資金が必要となります。
税理士のアドバイスどおり銀行から借入をするという方法もありますし,自己資金を利用することも可能です。
自己資金を利用する場合には,自己資金を会社設立時に出資することも考えられますが,会社の資本金が高額となるのであれば,現物出資の場合と同様の問題が生じます。そのため,個人から会社への貸し付けとするのが通常かと思われます。
個人が会社に貸し付けを行うと,その貸し付けた資金により会社から個人に売買代金が支払われることになりますが,会社に対する貸付債権が別途残ることになります。そのため,会社は個人に対して返済を続ける必要があります。また,個人について相続が発生した場合,会社に対する貸付金債権も相続財産になります。
銀行から借り入れする場合には,審査をクリアする必要があります。審査は会社の業績や担保状況,事業計画などを総合判断して判断されることになりますが,設立したばかりの会社は業績といえるものがないでしょうから,事業計画をしっかりと作成する必要があります。また,融資を受けるにあたって当該賃貸不動産を担保に入れることになるため賃貸不動産の担保価値が,loco.Tさんが代表者として連帯保証するのであればloco.Tさんの収入や資産が審査に影響することになります。銀行からの借り入れには利息も発生します。以上も考慮のうえ,自己資金で進めるか,銀行借入で進めるかについてご検討いただく必要があります。
3 土地を会社名義とすることについて
loco.Tさんは賃貸用建物のみならず土地についても会社名義にすることをお考えのようですが,賃貸建物は会社名義にしても土地については個人所有のままにしておくのが通常です。その理由は、土地の譲渡所得税が発生し,また土地の購入資金の準備も必要になりますし,賃貸建物は会社名義にしつつ土地は個人名義の場合,相続において土地は借地権価額を減額した価格とできるところ,土地も会社名義とした場合には土地売却代金がそのまま相続財産となるため,土地を個人名義にしている場合よりも相続税が増加するおそれがあるからです。賃貸用建物は会社名義にしつつ,土地は個人名義のままにする場合には,個人と会社で賃貸借契約を締結したうえで,権利金の認定課税を避けるため土地の無償返還に関する届出書を提出しておく必要があります。
[土地の無償返還に関する届出](国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_48.htm
4 賃貸不動産を会社名義にする場合には設立費用のみならず社会保険料や法人住民税も発生し,個人から法人へ賃貸不動産を譲渡することで譲渡所得税の課税なども問題となりますし,相続税対策として必ずプラスになるわけでもありません。また,銀行借入をする場合には銀行の審査や利息の発生,担保の提供が必要になるなど自己資金と異なる考慮が必要な点も生じます。いろいろな事情を考慮して進める必要があることから,まずは税理士とよく相談のうえ進めていただく必要があると思います。ご相談されている税理士に,銀行借入をせず自己資金のみで進めるのと銀行借入をすることのいずれが有利かを含め,詳細にご相談いただいたうえで進めてください。
loco.Tさんのさらなるご発展をご祈念いたします。
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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