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心の病気・カウンセリング の専門家が生活やビジネスに役立つコラムを発信 (8ページ目)

心の病気・カウンセリング に関する コラム 一覧

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性格・気質、脳・神経、遺伝子(5)

Cloningerは更に上記のような気質の上位概念として性格次元も想定しました。この「性格」とは自己について洞察・学習することにより発達するもので、自己や社会の有効性に影響を与えるものと定義されています。以下の3つが挙げられます。 自己志向 Self Directedness 自己決定や意思の力Will power、もしくは選択に対して行動を調整する能力とされています。責任感、目標設定・遂行、動...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/12 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(4)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(4) Cloninger (1993) は Grey の気質理論を発展し、独自の気質と性格の理論を包括的に構築しました。Cloninger によると、先天的な気質と後天的な性格は相互に影響しながら発達します。この「気質」とは刺激に対する自動的な情動反応のことで、大脳辺縁系により調整され、遺伝的に規定されています。具体的な気質として以下の4つが挙げられます。 新奇性追求 Novelty Seeking ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/11 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(3)

Gray (1987)はEysenckの理論を批判的に継承し、いわゆるBig Threeモデルを脳内システムと関連させて提唱しました。 行動活性化システム Behavioral Activation System, BAS 報酬や罰から活性化し、目標達成のための接近行動が惹起されます。衝動性、衝動的な刺激探求性ともいえます。 中脳辺縁系のドーパミンが想定されています。 行動抑制システム Beh...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/10 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(2)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(2) 前記のように一つの性格分類に当てはめる類型論に対して、最近はいくつもの性格特性へ分析する特性論が提唱されています。歴史的には、Eysenck (1967)が3次元モデルとして外向性Extraversion, 神経質Neuroticism, 精神病質Psychoticismを提示しました。 外向性 Extraversion 衝動性、活動性、社交性、興奮しやすさを表します。 網様体賦活系による大脳皮...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/09 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(1)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(1) 前回はうつ病と病前性格の関連をご説明しました。うつ病と一言で言っても、最近は細分化され、それぞれに呼応した病前性格が想定されています。うつ病の治療・回復には、疾病自体もさることながら、この性格因子も念頭においた対処が必要とされます。特に慢性・難治性・治療抵抗性と言われるうつ病には性格因子の影響が少なくありません。 そこで今回は性格因子についてご説明を加えてまいりたいと思います。前回はうつ病の病前...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/08 21:25

うつ病と病前性格(6)

一方、躁うつ病、統合失調症の「前駆状態」として現れる抑うつ状態もあります。病前性格も、うつ病ではなく、躁うつ病や統合失調症の特徴を示します。従って、治療も典型的うつ病として抗うつ薬を服薬し、休養するばかりでなく、躁うつ病や統合失調症に進展しうる可能性に留意しながら、経過を観察し、適切な対処をしていく必要があるのです。 以上、「うつ病と病前性格」についてご説明してまいりました。メランコリー親和型性...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/22 00:00

うつ病と病前性格(5)

うつ病と病前性格(5) さて、うつ病の病前性格をご説明する際には「うつ状態の臨床分類」もご紹介しないわけにはいきません(画像をクリックすると拡大されます)。わが国の精神病理学の大家、笠原嘉、木村敏によるこの分類(1975、一部改変)は病前性格‐発病状況‐病像‐経過を一元的に説明し、躁うつ病や統合失調症の鑑別も網羅しており、DSMやICDといった操作的診断基準が主流となった現在においても、実際の臨床場面において大変、有用と...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/21 00:00

うつ病と病前性格(4)

従来のうつ病がメランコリー親和型をはじめ、執着性格や強迫性格といった、いわゆるうつ病の病前性格を呈するのに対し、その他のうつ病は様々な性格傾向を背景にしています。DSM-4 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, American Psychiatric Association)によると演技性や自己愛性の性格(Cluster ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/20 00:00

うつ病と病前性格(2)

改めてそれぞれの病態と性格をご説明いたしましょう(濱田秀伯、精神症候学、弘文堂、1994、他)。 うつ病(メランコリー、Melancholia) 抑うつ気分または興味・喜びの減退、精神運動抑制、早朝覚醒、体重減少、日内変動などを生じ、生活や仕事に著しい支障を生じる病態。従来型うつ病。 気分変調症(ディスチミア、Dysthymia) 抑うつ気分などが少なくとも2年間以上も続いているが、大うつ病ま...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/17 16:12

うつ病と病前性格(1)

うつ病と病前性格(1) 前回は最近のうつ病として「現代型うつ病」「未熟型うつ病」「ディスチミア(気分変調症)親和型うつ病」をご紹介いたしました。いずれも従来の「メランコリー親和型うつ病」に対して、若年期に生ずる性格因を伴ううつ病といえます。すなわち、人生における問題・葛藤に直面して、抑うつを自己の内界に保持せず、不安・焦燥を表出し、時に回避・依存も生ずる病態です。 「うつ病」と一言で言っても、ライフサイクルや性格傾向に...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/17 16:08

最近のうつ病(5)

最近のうつ病(5) さて、これらの病態に対する治療は、メランコリー親和型うつ病が休養と服薬のみでも自然軽快しやすいのに対し、それだけでは不十分で、より積極的な精神療法・心理療法を必要とします。具体的には不安や抑うつの背景にある職場や学校の問題を認識し、現実的な解決方法を探索してまいります(問題解決療法)。解決つかない時には、自分自身の考え方(認知)や振る舞い方(行動)を変えることが求められます(認知行動療法)。うつ病...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/06/01 14:40

最近のうつ病(3)

最近のうつ病(3) (画像をクリックすると拡大されます) ディスチミア親和型うつ病とメランコリー親和型うつ病とを対比させると表のようになります。 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/29 00:00

最近のうつ病(2)

最近のうつ病(2) 最近、非定型うつ病のように、メランコリー親和型うつ病とは異なったタイプのうつ病が増えていると言われています。具体的には「現代型うつ病」(松浪ら、1991)、「未熟型うつ病」(阿部、1995)、そして「ディスチミア(気分変調症)親和型うつ病」(樽味、2005)という、若い世代を中心とした、比較的、軽症で、身体症状や不安・焦燥を前景とするうつ病です。軽症ながら出勤困難となり、自宅で療養されることが少な...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/28 00:00

最近のうつ病(1)

最近のうつ病(1) 前回は非定型うつ病についてご説明いたしました。典型的なうつ病(メランコリー親和型うつ病)というのは真面目で几帳面な中高年の男性が長く続くストレスに耐え切れなくなり発病するといった病態でしたが、非定型うつ病とは敏感・繊細な若い女性が日常のストレスから発病されるといった病態です。銀座泰明クリニックには20-30代の会社員や大学生の方々が大勢受診され、非定型うつ病の方々も相当数いらっしゃいます。どなたも...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/27 17:36

非定型うつ病(3)

非定型うつ病(3) 治療は、そもそもこの病気がアメリカにてMAO阻害薬という薬の効果ある一群として定義されたため、MAO阻害薬が効果的なのですが、日本では使用できません。それに代り SSRI, Serotonin Selective Reuptake Inhibitor が効果的と言われています。また躁うつ病が合併している時は気分安定薬を、パニック障害が合併している時は抗不安薬を併用するのが適切です。従って、その時々...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/20 00:00

非定型うつ病(2)

非定型うつ病(2) といっても「非定型うつ病」が正式に「病気」として認められるようになったのは、ここ10年程のことでしかありません。それもうつ病のサブカテゴリーとしての扱いであり、明確な定義がなされているわけでもありません。双極2型障害や境界性人格障害との合併や関連も指摘されており、実際のところかなりオーバーラップして診断・治療されているのではないかと考えられます。また前回ご説明した Soft bipolar spe...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/19 00:00

非定型うつ病(1)

非定型うつ病(1) これまで「うつ病」や「躁うつ病」について繰り返しご説明してまいりました。これらは気分が落ち込んだり、高ぶったりする「病気」です。中にはもともとの「性格」といった方もいらっしゃり、10代の頃から悩んでいたのだけれども、就職して仕事に支障を生ずるようになり、ようやく受診したという方もいらっしゃいます。いずれにしても適切な治療により症状が緩和されますので、早めの受診をお勧め致します。 「うつ状態」と「...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/18 12:13

軽い躁うつ病(3)

軽い躁うつ病(3) 一方でこの軽い躁うつ病の方は人格障害と誤診されることもあります。特に境界性人格障害 Boderline Personality Disorder, BPD と呼ばれる、情緒不安定で、慢性的な空虚感を覚え、自傷行為や対人関係のトラブルを繰り返してしまう人格障害と誤診されることが少なくありません。人格障害の方へは薬物療法よりも心理療法が優先されがちなため、本来は必要な気分安定薬を処方されないまま、長期...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/29 00:00

軽い躁うつ病(2)

軽い躁うつ病(2) このように躁状態というのは予想以上に頻繁に生じるもので、注意深い観察が必要です。海外では当初うつ病と診断された方の3‐5割が実は躁うつ病、双極性障害だったという調査結果も出されています。このため国内の精神科医の間でもこの事実は最近よく話題になっており、軽い躁状態を見逃さないようにと注意が喚起されています。軽い躁うつ病、双極性障害は、Soft bipolar spectrum と呼ばれ、幅広い定義が...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/28 00:00

軽い躁うつ病(1)

軽い躁うつ病(1) 前回は躁うつ病(双極性障害)についてご紹介しました。抑うつ状態のみでなく、躁状態と言われる、元気の良い、調子の高い状態も生ずる病気でした。この状態は本人にとって心地よく、病気であるという自覚(「病識」と呼びます)を伴わないことが多いものです。周囲も元気ならば病気とは言えないのかと見過ごしてしまいます。しかしこの躁状態は時に攻撃的になったり、誇大的になったりして、トラブルを引き起こします。また気持ち...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/27 10:25

躁うつ病とは(4)

躁うつ病とは(4) 前回ご説明したとおり、躁うつ病の方の病前性格とは明るく楽しく、社会的に好ましい性格とも言えます。集団の中では一際、目立ち、皆の注目を浴びる存在であります。実際に実業家や政治家、芸能人といった世の中で成功されている方の中に、実は軽い躁うつ病であるという方がいらっしゃいます。普通の人よりも多くの仕事をしたり、目立った言動をしたりするためには、軽い躁状態でないとできないのかもしれません。しかし一方で、周...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/03 00:00

躁うつ病とは(3)

躁うつ病とは(3) このため躁うつ病の方の人生はしばしばドラマティックで、エピソードに事欠きません。度重なる結婚と離婚、転居や転職、失敗と成功など、目まぐるしく移り変わる人生は波乱万丈とも言えます。また、アルコールやギャンブル、そしてセックスといった物質や行為に依存しがちでもあります。そして躁うつ病に加え、アルコールや薬物の依存症、ギャンブルからの借金、浮気や不倫などの問題を抱え込みます。これらは激しい落ち込みを避け...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/02 00:00

躁うつ病とは(2)

躁うつ病とは(2) 躁うつ病はその名の通り「躁」と「鬱」とが繰り返す病気です。躁のみの「躁病」は数少なく、多くは躁の後に鬱を迎えます。動き回り喋りまくりエネルギーを枯渇して鬱になる場合もあれば、躁の時に大きな決断をして、後で悔み鬱になる場合もあります。いずれにしても、躁の時の言動が後に鬱を招くわけです。しかも「うつ病」の鬱と「躁うつ病」の鬱とでは、躁うつ病の時の鬱の方がその落差のため本人が感じる鬱は深いようです。いわ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/01 00:00

躁うつ病とは(1)

躁うつ病とは(1) 前回までは「うつ病」についてご説明いたしました。気分が沈み、何も面白くなく、意欲のなくなる病気でした。今回からご説明する「躁うつ病」の躁状態はその対極で、気分が高揚し、何でも楽しく、意欲の亢進する「病気」です。一見、楽しく幸せな状態と誤解されるかもしれませんが、度が過ぎると困ってしまいます。落ち着き無く、口数が多く、怒りっぽくなるからです。更にあれこれと手を出し、お金をたくさん使い、異性をいたずら...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/28 10:22

うつ病の分類(4)

それでは躁うつ病のうつ状態とうつ病のうつ状態を見分けるにはどうするのでしょうか。以下の大別が目安になります。             病前性格       体型  発病年齢 うつ病   :真面目(執着気質)  普通  中年期以降に多い 躁うつ病:社交的(循環気質)  肥満  思春期・青年期 うつ病の方は病前においても大人しく、真面目な公務員といった律儀な感じの方が多いですが、躁うつ病の方は賑や...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/23 00:00

うつ病の分類(3)

一方で、内因性のうつ病には「躁うつ病」のうつ状態であることも少なくありません。躁うつ病というのは、躁状態といわれるうつ症状の対極の症状が現れる病気です。具体的には、気分の高揚、怒りっぽい、考えが次々と浮かぶ、口数が多い、気が散る、動き回る、暴飲暴食、アルコール・ギャンブル・セックスなどです。軽い躁状態ならば上機嫌であったり、仕事がよくできたり、自分も周囲もさほど困りませんが、著しくなると周囲に迷惑...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/22 00:00

うつ病の分類(1)

うつ病の分類(1) うつ病の経過・予後は病気の種類にもよると考えられていますので、今回はこれについてご説明いたします。まず伝統的には以下の3分類と言われています。 外因性:脳器質性(外傷、腫瘍、卒中など)       身体疾患、薬物などによる 内因性:脳の神経伝達、機能異常などによる 心因性:心理的な問題による 外因性の場合は総合病院や専門病院に通院・入院されていることがほとんどです。こちらのブログを読まれている...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/20 00:00

うつ病からの復職(4)

復職する職場自体も再考することが必要になることがあります。発病した誘因が職務内容や人間関係だった場合は、同じ職場に戻ることは再発を招きます。復職前に所属長や人事部の方々とよく相談しましょう。時には降格させられたり異動させられたりすることがあるかもしれません。しかし、病気のためには仕方ないと割り切る勇気も必要です。えてして脚光を浴びている部署や地位というのは長続きしないものです。長い人生ですから、地...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/19 00:00

うつ病からの復職(3)

復職当初は、これも治療の一環と捉えて出勤しましょう。いわば「慣らし勤務」または「リハビリ勤務」といった具合です。いきなり周りと同じペースで仕事をしてはいけません。まずは出勤練習、毎朝の通勤に慣れるくらいからはじめましょう。はじめは毎朝、早起きして電車に乗るだけでも疲れることと思います。仕事は責任のかかるものや、難しい内容のものは避け、簡単な作業程度に止めましょう。当然ながら残業や出張は禁止です。職...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/18 00:00

うつ病からの復職(2)

それには職場の方々の理解や協力が欠かせません。直属の上司や同僚をはじめ、大企業になると人事部や産業医も介入することになります。主治医の診断書をもとに、三者間で相談することもあります。この際、大事なことは、本人・主治医・会社の意見をできるだけ調整することです。ともすると、ご本人や会社は早く復職することを望まれるものですから、結果として時期尚早になり、再燃や増悪を来してしまいます。 復職の目安には、...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/17 00:00

うつ病の休職(8)

夜は早く寝る 朝早く起きるためにも、夜は早く寝ましょう。どの病院でも病棟では21〜22時に消灯します。夜更かしは昼夜逆転のはじまりですから、とにかく早く寝ましょう。眠れない時には睡眠薬を飲みましょう。睡眠薬を飲むと止められなくなる、頭がボケてしまうと心配し、できるだけ飲まないようにする方が少なくありません。現在、流通しているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は安全性が高いですから、安心して服用して下さい。...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/14 00:00

うつ病の休職(6)

「転地療養」は両刃となる可能性があるので、注意が必要です。よく行き慣れた別荘などへ行き、気が休まったという方もいれば、見ず知らずの観光地などへ連れて行かれ、むしろ気疲れしてしまった方もいらっしゃいます。具合が悪い時には遠方に車や電車で異動するだけでも疲れてしまうものです。 更に、親元を離れ、一人暮しをしている青年には、実家に帰省できる方と、親に心配かけたくない、何か言えない事情があると、内緒で休...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/12 00:00

うつ病の休職(5)

うつ病の休職(5) 特に何もしない うつ病の療養と言っても、特に何もすることはありません。むしろしてはいけないことの方が多くあるのかもしれません。回復期ならば良いですが、うつ病の極期というのは何かすると、疲れてしまうだけなのです。例えば、本を読んだり、テレビを見たり、ネットをしたりといった、視覚を使う行為はかなり脳・神経が疲れてしまいますので避けましょう。外出や運動も具合が悪い時は体力を消耗するばかりとなります。 ...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/11 00:00

うつ病の休職(4)

自分の部屋でゆっくり過ごす 誰でも自分の部屋が一番、落ち着く場所でしょう。家族に合わせて無理に居間で過ごすことはありません。ましてや、友人や同僚・上司との面会は避けましょう。うつ病になると人に会って話すことが億劫になります。親しい友人や家族でさえもです。このような時は自分の部屋でゆっくり過ごすことがお勧めです。それでいて何となく寂しくなり、誰かと話したくなったら、居間に行き家族と少し話しましょう。...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/10 00:00

うつ病の休職(3)

昼寝は15〜30分以内 昼食後、しばらく経つと眠くなります。これは胃に血液が集まり、副交感神経が優位になるためで、健康時でもあることです。昼寝、午睡は自然現象であり、有用です。しかし時間は30分以内にとどめましょう。それ以上、眠ると睡眠が深くなり、2-3時間は眠ってしまいます。そして夜に眠れなくなり、夜更かしして、結果、翌朝、起きられなくなるという悪循環に陥ります。うつ病で自宅療養していると、何も...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/09 00:00

うつ病の休職(2)

食事を規則正しく摂る これも具合が悪い時はなかなかできることではありませんね。特に朝食は食べられない方がほとんではないでしょうか。にもかかわらず、朝食後の薬が用意されていて、結局、飲めないまま、スキップしてしまうこともあるようです。朝食はしっかり摂るに越したことありませんが、どうしても食べられない時は、甘口のコーヒー牛乳などがお勧めです。糖分で血糖が上昇し、ミルクが胃壁を守り、少量のカフェインが目...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/08 00:00

うつ病の休職(1)

うつ病の休職(1) 前回までは、うつ病の経過と回復の過程をご説明いたしました。とにかく焦らないでゆっくり休むことが第一です。うつ病の療養は特に何かをしたら直ぐ治るというものではありません。それまでのストレスフルな仕事や生活から離れ、心穏やかに過ごすことが大事なのです。と言われても、具体的にどうしたら良いのか困ってしまう方もいらっしゃることでしょう。そこで、今回はうつ病の療養の仕方について詳しくご説明したいと思います。...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/07 00:00

うつ病からの回復(3)

うつ病の治療に必要なものは「お薬」と「休む」ことです。過労性、軽症の場合は休むだけで良くなることもあります。休むには「時間」が必要です。これまで毎日、忙しく働いてきた方は「特別休暇」をもらったと思い、心置きなく休まれるのが良いでしょう。うつ病になられる方の中には、もう何年間もまとまった休暇なく働かれてきた方もいらっしゃいます。そして、ある程度、回復したら、これまでの人生を振り返り、今後どう生きてい...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/06 00:00

うつ病からの回復(2)

うつ病からの回復をうまく形容した言葉に「三寒四温」があります。これは冬から春にかけて徐々に暖かくなる天候を表した言葉で、3日寒くても4日暖かくなり、そしていつしか春になるという意味です。冬の寒さをうつ病の症状に例え、じっと寒さを堪え、日々を過ごす、日が経つにつれ暖かくなる、時に寒い日へ戻っても、長い目で見れば確実に暖かくなり、春を迎えるということです。''「冬来たらば春遠からじ」''とも言いますね...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/05 00:00

うつ病からの回復(1)

前回は「うつ病の経過」について概略をご説明いたしました。最近でこそ「心の風邪」と呼ばれ、気軽に捉えられるようになってきましたが、実際には時間がかかることも少なくなく、治るには数週間、時には数ヶ月間、長い方は数年間かかることもあります。このため「心の風邪」ではなく、「心の肺炎」と呼んだ方が良い場合もあるのです。 そこで「直ぐ治そう」「治さなければ」とは考えずに、治るのを「ゆっくり待つ」ことが必要で...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/04 00:00

うつ病の経過(2)

一般的に、うつ病が「軽快」するためには少なくとも1−3ヶ月間を要します。この「軽快」は「治癒」と異なり、お薬やカウンセリングなどによって表面的な症状が取り除かれている状態を言います。いわば「薬を飲んでいるから具合良くしていられる状態(寛解)」とも言えます。従って、この時期に決して無理をするようなことはなく、安静・療養を継続していただけるよう宜しくお願い致します。 軽快が暫く続き、復学・復職をはじ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/02 00:00

うつ病の経過(1)

これまで当院を受診された患者様の半数以上が「うつ病・うつ状態」の診断に相当されました。特に働き盛りである20・30・40代のビジネスマンやOLの方々が中心となります。症状は軽い方からやや重い方まで幅広くいらっしゃり、わずか1・2回の受診で治るごく軽症の方から、数ヶ月間、通院されている中等症の方もいらっしゃいます。更には、他院から転院され、数年以上、通院されている方もいらっしゃいます。 通院・治療...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/01 00:00

病院や医者の選び方(4)

病院や医者の選び方(4) 次は精神科医に関して、防衛医大・精神科の野村総一郎教授が「精神医学」(医学書院)の巻頭言で書かれていた「精神科医のタイプ分け」をご紹介いたします。 1. 激務充実(粗雑)タイプ     総合病院、臨床中心、経験主義 2. 先端医学(業績至上)タイプ     大学病院、研究中心、海外志向 3. じっくり(趣味の世界)タイプ     単科病院、読書中心、質を重視 これも面白く説明されていますが、...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/31 00:00

病院や医者の選び方(3)

本当に信頼できる医者にかかりたいものですが、それにはその医者がどのような性格の人物なのか把握する必要があります。そこで、私がかつて勤務していた長野県・佐久総合病院の内科医で、芥川賞作家でもある、南木佳士先生がご自身の著書「医者という仕事」朝日文芸文庫、29項、に書かれていた医者の分類をご紹介いたしましょう。 1. 医学の進歩を無邪気に信じ、進歩することは良いことだと信じきって感傷を廃し、研究論...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/30 00:00

病院や医者の選び方(2)

次に医者についてお話いたします。医者の世界はドラマや小説でよくご存知でしょうが、内容によっては全くのフィクションであったり、デフォルメであったりもしますから、実際の医者の意見をご紹介いたしましょう。まずは前回ご紹介した「ドクハラ」の提唱者、元癌研究会付属病院の医師だった土屋繁裕先生が「ドクハラ医師を見抜くチェックポイント」について述べられています。 #あいさつをするか #威張らないか #患者から...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/29 00:00

病院や医者の選び方(1)

とかく医者との関係は難しいものです。そもそも、病院や診療所は都会でこそようやく増えてきましたが、地方に行くと、町や村に一つか二つというところもあります。従って、どうしても選択の余地は少なく、不満足ながら通院しなければならないこともあるでしょう。また病院や医者の質も分からなく、最近でこそランキング表やお勧めの病院案内なども登場してきましたが、果たして本当に良いのかどうか分からないというのが実情と思い...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/28 00:00

医者からの嫌がらせ〜ドクハラ(3)

これに対して最近ようやく高まっている概念がインフォームド・コンセント、説明と同意です。そもそも1957年のアメリカにおける医療訴訟を契機に生じてきたものですが、昨今、訴訟の相次ぐ日本においても広く認知されてまいりました。「患者さんに対して病状を十分に説明し、同意を得た上で治療を行う」ことで、基本には医者と患者さんとが目線の高さを等しくすることが求められます。一般社会においては当たり前のような話です...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/26 00:00

医者からの嫌がらせ〜ドクハラ(2)

これまでの医者‐患者関係を説明するにあたり、パターナリズム、家父長主義と言われる概念があります。これは医療現場における医者と患者の力関係を家庭における父親と子供の関係になぞらえて説明したものです。すなわち、知識と経験がある医者を父親に、それの少ない患者さんを子供に見立てたものです。患者さんには失礼な話ですし、現代の都市部においては既に通用しないことと思いますが、実際のところ医師数の限られていた20...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/25 00:00

医者からの嫌がらせ〜ドクハラ(1)

今回は「嫌がらせ・ハラスメント」シリーズの第三回、「医者からの嫌がらせ〜ドクハラ」と致しました。このテーマは私としましても我が身を振り返る話であり、患者さんの立場、心情を思えば避けて通れないことですので、真摯にお話させていただきたいと思います。 ドクハラ、ドクターハラスメントとは「医師および医療従事者から患者さんに対して行われる不適切な言葉・行動・その他、全てを含む」と言われています。その提唱者...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/24 00:00

異性からの嫌がらせ〜セクハラ(2)

異性からの嫌がらせ〜セクハラ(2) 驚くべきことは、セクハラ事件が身近な普通の職場をはじめ、世間で言われる有名企業や有名大学でも生じていたことです。被害者は女子社員や女子学生であり、加害者は幹部社員や指導教授でした。加害者には有能な人物も少なくなく、仕事や研究において誇り高い業績を挙げていたにもかかわらず、裏側では猥褻な言動を繰り返していました。事例化する前には注意や警告があったにもかかわらず繰り返していました。これは男性の性衝動と...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/01/22 00:00

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