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心の病気・カウンセリング の専門家が生活やビジネスに役立つコラムを発信 (8ページ目)

心の病気・カウンセリング に関する コラム 一覧

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若手精神科医の勉強会

私を含む6〜7人の若手(といっても30才前後から40才台)精神科医では、新しい抗精神病薬の勉強会をほぼ三ヶ月に一回行っています。大学病院や総合病院の先生はほとんどいなく、当院のような精神科病院に勤務する医師たちです。 世代が近いせいか、本音で話し合える機会としては貴重な時間で、薬の使い方から治療に苦労した例まで、いろいろ意見を出し合って今後の治療に役立てることをしています。 もちろん、患者...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/11/12 21:31

摂食障害と診療

摂食障害は、私が1997年からメール相談を続けています。その中で最近多いのが、心療内科や精神科を受診したが、「うちでは摂食障害は診ていない」と言われたというものです。どうしてでしょう。 たしかに時間と労力が治療者に必要です。でも明らかな理由がなければ、医師は診療の要請を断ることができないと言うことは前回も書きました。(医師としての診察の応召の義務) では、うちでは専門でないので...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/11/11 21:46

デイケアと訪問看護

精神科の治療は、入院や外来治療は基本として、その後に社会復帰出来るまでをどうするかが一番大切です。 当院を含めた精神科病院、クリニックでは、デイケアと訪問看護を行なっています。 デイケアは、朝から夕方まで病院で過ごし、その間にスポーツや陶芸、工芸、カラオケ、散策などを集団で行なって、規則正しい生活と集団生活の訓練を行ないます。夕方から夜にかけて行なうものはナイトケアといいます。当院では、そ...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/31 09:17

少年事件の背景は何??

昨今の少年による凶悪犯罪の背景には、高度成長期に育ってきた保護者たちに何らかの関係があると思っている。もちろん、それがすべてではないにしろ、多くの場合に保護者のほうに改善すべき点があるのも事実。 本人の意思が大切といっては躾と放任を取り違えている親、子どもが何か事件を起しても周りが悪いという親、責任を学校側に求める親・・・・・。今は、躾も学校がすべきことと思っている親が多いようです。 家で...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/28 10:34

精神科の専門医とは

現在、私を含めて国の認定(厚生労働省)である精神保健指定医という資格が、精神科医として一般的です。 それを持っていないと、医療保護入院の手続きを行ったり措置入院のための鑑定も行うことができません。 ここ数年来、ほとんどの精神科医の所属する学会である日本精神神経学会で、認定精神科専門医という制度が進められてます。進められていますというのは、現在は新制度への移行時期にあたり、口答試験の合...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/23 21:48

認知療法(5)

認知療法(5) 以上、セルフ・モニタリング、コーピング、問題解決療法、認知療法について概説いたしました。 いずれも、ご自分の生活や行動・思考などを客観的に観察して、現実的に適応した対処・方法を模索する試みです。と言いましても、なかなか一人で行うのは困難でしょう。特に、不安感や抑うつ気分の強い時は、論理的・理性的な思考をしづらいものです。 銀座泰明クリニックでは、必要に応じ、これらの心理的な治療を皆様とご一緒に...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/23 00:00

認知療法(4)

認知療法(4) このような否定的な認知のゆがみを自覚して、適応的な思考へ至るために以下のような「コラム法」を用います。 それぞれのコラムにご自分の状況や思考の変化を書き込んでいくことで、より現実に適応した思考へ至ることができます。 状況 その場の状況 気分 その時の気分 自動思考 その瞬間に浮かんだ考え 根拠 自動思考を裏づける事実 反証 自動思考と矛盾する事実 適応的思考 視野を広げたバ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/22 00:00

日本摂食障害学会

10月19日、20日に京都で行われた、第3回日本摂食障害学会に参加してきました。 全国で、摂食障害、すなわち拒食症や過食症を治療している施設、病院の先生、看護師、心理士などが一同に会し、発表やシンポジウムがありました。 もともと当院は半年以上の長期入院が可能でしたが、学会でも長期入院の効果も演題として出されていました。 大学病院のような包括医療を実施しているところは平均在院日数の制限も...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/21 21:45

認知療法(3)

認知療法(3) 極端な一般化 少数の事実を取り上げ、全てのことが同様の結果になるだろうと結論づけること 自己関連づけ 何か悪いことが起こると、自分のせいで起こったのだと自分を責めてしまうこと 情緒的な理由づけ その時の自分の感情に基づいて、現実を判断してしまうこと 自分で実現してしまう予言 自分で否定的予測を立てて自分の行動を制限してしまい、自分の行動を制限するものだから、予測どおり失敗してしまう。...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/21 00:00

認知療法(2)

認知療法(2) (画像をクリックすると拡大されます) 根拠のない決めつけ 証拠が少ないままに思いつきを信じ込むこと 白黒思考 灰色(あいまいな状態)に耐えられず、ものごと全て白か黒かという、極端な考え方で割り切ろうとすること 部分的焦点づけ 自分が着目していることだけに目を向け、短絡的に結論づけること 過大評価・過小評価 自分が関心のあることは拡大して捉え、反対に自分の考えや予想に合わない部分はこと...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/20 00:00

認知療法(1)

認知療法(1) 残念ながら、問題解決が根本的に不可能な時には、現実に対する受け止め方を変えることが必要です。「認知療法」とは認知(物の見方や出来事の受け止め方)を改善することにより、不快な気分を和らげ、心身の健康を得るための治療法です。 気分は図のように認知・行動・身体と相互に影響しあいます(図はクリックすると拡大します)。辛くなった時に頭に浮かぶ考えやイメージ「自動思考」を現実に沿った柔軟な考え方に変えていき...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/19 00:00

問題解決療法(2)

問題解決療法(2) 3代替可能な解決策の産出 問題に対し、できるだけたくさんの選択肢を考え、より良い解決策を得ることを目指します。それには「拡散的思考」(Guilford)や、「ブレイン・ストーミング」(Osborn)を用います。これは「頭の中に嵐を巻き起こす」という名称の通り、固定観念にとらわれず、様々なアイデアをいくつも考え出すことです。この際、質よりも量が重要で、それらを分類したり、組み合わせたりすることによ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/17 00:00

いわゆる「薬漬け」に関して

よく多数の薬を出されることを「薬漬け」といいますが、その根拠、定義ははっきりしていません。 錠剤数?薬の種類?胃の薬や下剤はいらない?? 先日、私も肺炎の一歩手前まで行きましたが、咳止め2錠、去痰剤1錠、鎮痛薬1錠、抗生剤2錠、これだけでも1回計6錠、それに胃のムカムカがあり健胃剤1錠追加され、これで一回に計7錠です。服用後、次第に症状が良くなったのは言うまでもありませんが、この場合の薬の...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/13 22:59

問題解決療法(1)

問題解決療法(1) 最も積極的・効果的な対処方法は「問題解決」です。そこで、これを治療的に援用した「問題解決療法」をご紹介いたします。具体的に上記の手順に従って進めます。画像をクリックすると拡大されます。 1問題の提起 まず問題を知覚することからはじまります。これは「問題への感受性」とも言い、自分や周囲の問題を積極的に気づくことで得られます。その際は「自分だけの思い込み」といった認知のゆがみ(後述)を排除する必要も...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:53

ストレス・コーピング(5)

ストレス・コーピング(5) コーピングには上記のように(画像をクリックすると拡大されます)健康的なものもあれば、病的なものもあります。 病的なものとしては、過食・嘔吐、リストカット、大量服薬といった自傷行為、暴言・暴力といった他害行為などがあります。 病的な対処行動は避けるべきで、より健康的・成長的な対処・行動・思考を心がけましょう。(続く) 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:50

ストレス・コーピング(4)

ストレス・コーピング(4) 次に、記録から発見された問題と対処行動を列挙し、ご自分の「ストレス・コーピング(ストレスへの対処行動)」をチェックしましょう。 不安や抑うつは適切なコーピングにより改善することが認められています。特に不安に関しては以下のように説明されています。 不安=危険/対処+援助 この式のように、危険があっても、対処や援助が十分に備われば、不安は小さくなるわけです。(続く) 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:48

セルフ・モニタリング(3)

セルフ・モニタリング(3) 自分の生活や行動、そして思考・感情などを客観的に振り返ることが大事です。ともすると、日常の忙しさや慌ただしさに巻き込まれ、自分を見失い、結果、心身の不調や周囲とのトラブルを生じてから現実に直面しがちになります。従って、その前に、1日1回、週1回、そして年1回、冷静に自分を見直すことが必要です。 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:44

セルフ・モニタリング(2)

セルフ・モニタリング(2) 以下のチェックリストに従い、1週間の生活を振り返ってみましょう。 ・「早寝早起き」できましたか? ・睡眠は6時間以上取りましたか? ・食事は一日3回取りましたか? ・お酒や煙草は控えられましたか? ・満足なお仕事はできましたか? ・充実した余暇を過ごせましたか? ・何か問題は生じませんでしたか? ・効果的な対処はできましたか? (続く) 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:41

セルフ・モニタリング(1)

セルフ・モニタリング(1) これまでコラムやQ&Aにて話題にしてきました認知行動療法をシリーズにてご紹介いたします。具体的には、セルフモニタリング、ストレスコーピング、問題解決療法、認知療法、の順番にご説明いたします。 今回はセルフモニタリングです。まずはじめにご自分の生活や行動を「週間活動記録表」に記録して客観的に観察しましょう。活動内容と気分を点数化(0-100点)して記入します。これは「セルフ・モニタリング」と言われ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/10/07 16:34

相談者が多いから、連絡先を書かないというウソ

治療しているあるいは面接している者の本名や治療場所の住所、電話番号(特に固定電話)を、「今でも相談者が多いので、ネットなどで紹介したら相談者が殺到して業務ができなくなるので、はじめはメールで相談してほしい」という治療センターもどきのところが多くあります。 それはウソでしょう。 理由は簡単で相談者が殺到していると自ら書いている点、本名を書くと医師かどうか調べられる点、住所を書くと居場所がすぐ...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/05 21:36

クリニックと病院

本来クリニックはかかりつけ医として身近な存在と言うことになっています。たしかに早朝や深夜、あるいは土、日曜日に診療しているところも多くなってきました。 しかし、地方に行くと木曜休診とか、水曜休診とかもあり、夜間も診療は不可能なところが多いようです。クリニックに通っている患者さんの状態が悪くなった場合、夜間などは救急医療機関を受診したり、当院にもいきなり受診しに来たりします。 でも、初診であ...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/10/03 12:16

禁煙について考える

地元新聞に、公立病院の院長が敷地内禁煙になっているにもかかわらず、院長室で喫煙していたとの記事が載っていました。これにはびっくりですね。 公立病院ですよ。 職員の手前、謝罪するしかないのではないかと思いますが、今のところそういった追加記事はないようです。 当院のある宮城県も仙台は政令指定都市ですが、政令都市でも禁煙タクシーが設置されていないところは数少ないようです。 東北では福島が...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/09/30 10:39

精神科の将来

今日は民間の精神科病院がほとんど所属する、(社)日本精神科病院協会定期代議員会・総会に、代議員の一人として出席しました。 本年度予算から厚生労働省への要望事項、会員病院からの要望事項など、1日がかりで議論しました。 あえて言うと、病院運営にはきびしい環境であること。精神科への偏見はまだまだ続いているということを実感しました。皆さんは、眠れない、疲れきって仕事への意欲がないなど感じたことはな...(続きを読む

菅野 庸
菅野 庸
(院長・医師)
公開日時:2007/09/28 17:55

性格・気質、脳・神経、遺伝子(6)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(6) 以上、前回の病前性格から発展して、性格因子についてご説明いたしました。脳・神経について言及したところが少なくなく、解剖学や生化学の基礎知識も必要とされるため、抵抗を覚えられた方も少なくないのではと恐縮いたします。しかし、病気や性格に限らず、あらゆる精神活動は脳・神経の機能ですから、心や脳の問題についてご説明を深める上では避けられないところです。更に論を進めると、遺伝子・DNAについて言及することに...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/13 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(5)

Cloningerは更に上記のような気質の上位概念として性格次元も想定しました。この「性格」とは自己について洞察・学習することにより発達するもので、自己や社会の有効性に影響を与えるものと定義されています。以下の3つが挙げられます。 自己志向 Self Directedness 自己決定や意思の力Will power、もしくは選択に対して行動を調整する能力とされています。責任感、目標設定・遂行、動...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/12 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(4)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(4) Cloninger (1993) は Grey の気質理論を発展し、独自の気質と性格の理論を包括的に構築しました。Cloninger によると、先天的な気質と後天的な性格は相互に影響しながら発達します。この「気質」とは刺激に対する自動的な情動反応のことで、大脳辺縁系により調整され、遺伝的に規定されています。具体的な気質として以下の4つが挙げられます。 新奇性追求 Novelty Seeking ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/11 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(3)

Gray (1987)はEysenckの理論を批判的に継承し、いわゆるBig Threeモデルを脳内システムと関連させて提唱しました。 行動活性化システム Behavioral Activation System, BAS 報酬や罰から活性化し、目標達成のための接近行動が惹起されます。衝動性、衝動的な刺激探求性ともいえます。 中脳辺縁系のドーパミンが想定されています。 行動抑制システム Beh...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/10 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(2)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(2) 前記のように一つの性格分類に当てはめる類型論に対して、最近はいくつもの性格特性へ分析する特性論が提唱されています。歴史的には、Eysenck (1967)が3次元モデルとして外向性Extraversion, 神経質Neuroticism, 精神病質Psychoticismを提示しました。 外向性 Extraversion 衝動性、活動性、社交性、興奮しやすさを表します。 網様体賦活系による大脳皮...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/09 00:00

性格・気質、脳・神経、遺伝子(1)

性格・気質、脳・神経、遺伝子(1) 前回はうつ病と病前性格の関連をご説明しました。うつ病と一言で言っても、最近は細分化され、それぞれに呼応した病前性格が想定されています。うつ病の治療・回復には、疾病自体もさることながら、この性格因子も念頭においた対処が必要とされます。特に慢性・難治性・治療抵抗性と言われるうつ病には性格因子の影響が少なくありません。 そこで今回は性格因子についてご説明を加えてまいりたいと思います。前回はうつ病の病前...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/08/08 21:25

うつ病と病前性格(6)

一方、躁うつ病、統合失調症の「前駆状態」として現れる抑うつ状態もあります。病前性格も、うつ病ではなく、躁うつ病や統合失調症の特徴を示します。従って、治療も典型的うつ病として抗うつ薬を服薬し、休養するばかりでなく、躁うつ病や統合失調症に進展しうる可能性に留意しながら、経過を観察し、適切な対処をしていく必要があるのです。 以上、「うつ病と病前性格」についてご説明してまいりました。メランコリー親和型性...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/22 00:00

うつ病と病前性格(5)

うつ病と病前性格(5) さて、うつ病の病前性格をご説明する際には「うつ状態の臨床分類」もご紹介しないわけにはいきません(画像をクリックすると拡大されます)。わが国の精神病理学の大家、笠原嘉、木村敏によるこの分類(1975、一部改変)は病前性格‐発病状況‐病像‐経過を一元的に説明し、躁うつ病や統合失調症の鑑別も網羅しており、DSMやICDといった操作的診断基準が主流となった現在においても、実際の臨床場面において大変、有用と...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/21 00:00

うつ病と病前性格(4)

従来のうつ病がメランコリー親和型をはじめ、執着性格や強迫性格といった、いわゆるうつ病の病前性格を呈するのに対し、その他のうつ病は様々な性格傾向を背景にしています。DSM-4 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, American Psychiatric Association)によると演技性や自己愛性の性格(Cluster ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/20 00:00

うつ病と病前性格(3)

執着性格 熱中性、徹底性、几帳面、正義感、一度生じた感情が冷めにくい持続性の性格(下田光造)。 メランコリー親和型性格 秩序志向が強く、自己の要求水準が高い、良心的で他人に尽くす性格 (Tellenbach)。 強迫性格 几帳面、倹約、潔癖、強情などの性格 (Freud)。 抑うつ型人格 重苦しい気分を抱き、人生を悩む人格 (Schneider)。 回避性格 社会的な制止、不適切感および否...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/19 00:00

うつ病と病前性格(2)

改めてそれぞれの病態と性格をご説明いたしましょう(濱田秀伯、精神症候学、弘文堂、1994、他)。 うつ病(メランコリー、Melancholia) 抑うつ気分または興味・喜びの減退、精神運動抑制、早朝覚醒、体重減少、日内変動などを生じ、生活や仕事に著しい支障を生じる病態。従来型うつ病。 気分変調症(ディスチミア、Dysthymia) 抑うつ気分などが少なくとも2年間以上も続いているが、大うつ病ま...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/17 16:12

うつ病と病前性格(1)

うつ病と病前性格(1) 前回は最近のうつ病として「現代型うつ病」「未熟型うつ病」「ディスチミア(気分変調症)親和型うつ病」をご紹介いたしました。いずれも従来の「メランコリー親和型うつ病」に対して、若年期に生ずる性格因を伴ううつ病といえます。すなわち、人生における問題・葛藤に直面して、抑うつを自己の内界に保持せず、不安・焦燥を表出し、時に回避・依存も生ずる病態です。 「うつ病」と一言で言っても、ライフサイクルや性格傾向に...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/07/17 16:08

最近のうつ病(5)

最近のうつ病(5) さて、これらの病態に対する治療は、メランコリー親和型うつ病が休養と服薬のみでも自然軽快しやすいのに対し、それだけでは不十分で、より積極的な精神療法・心理療法を必要とします。具体的には不安や抑うつの背景にある職場や学校の問題を認識し、現実的な解決方法を探索してまいります(問題解決療法)。解決つかない時には、自分自身の考え方(認知)や振る舞い方(行動)を変えることが求められます(認知行動療法)。うつ病...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/06/01 14:40

最近のうつ病(4)

最近のうつ病(4) (画像をクリックすると拡大されます) このように、いわゆる恐怖症的な心性を有した神経症性のうつ病といってよいでしょう。この点においてかつての「逃避型抑うつ」(広瀬、1977)や「退却神経症」(笠原、1978)とも重複する病態と言えます。大学や会社へ入るまでは目立った葛藤や挫折がなかったものの、いざ現実的な問題や苦難に直面して処理しきれず、逃避や抑うつに陥ってしまう病態です。これらを更に、前回まで...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/30 00:00

最近のうつ病(3)

最近のうつ病(3) (画像をクリックすると拡大されます) ディスチミア親和型うつ病とメランコリー親和型うつ病とを対比させると表のようになります。 銀座泰明クリニック(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/29 00:00

最近のうつ病(2)

最近のうつ病(2) 最近、非定型うつ病のように、メランコリー親和型うつ病とは異なったタイプのうつ病が増えていると言われています。具体的には「現代型うつ病」(松浪ら、1991)、「未熟型うつ病」(阿部、1995)、そして「ディスチミア(気分変調症)親和型うつ病」(樽味、2005)という、若い世代を中心とした、比較的、軽症で、身体症状や不安・焦燥を前景とするうつ病です。軽症ながら出勤困難となり、自宅で療養されることが少な...(続きを読む

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/28 00:00

最近のうつ病(1)

最近のうつ病(1) 前回は非定型うつ病についてご説明いたしました。典型的なうつ病(メランコリー親和型うつ病)というのは真面目で几帳面な中高年の男性が長く続くストレスに耐え切れなくなり発病するといった病態でしたが、非定型うつ病とは敏感・繊細な若い女性が日常のストレスから発病されるといった病態です。銀座泰明クリニックには20-30代の会社員や大学生の方々が大勢受診され、非定型うつ病の方々も相当数いらっしゃいます。どなたも...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/05/27 17:36

非定型うつ病(3)

非定型うつ病(3) 治療は、そもそもこの病気がアメリカにてMAO阻害薬という薬の効果ある一群として定義されたため、MAO阻害薬が効果的なのですが、日本では使用できません。それに代り SSRI, Serotonin Selective Reuptake Inhibitor が効果的と言われています。また躁うつ病が合併している時は気分安定薬を、パニック障害が合併している時は抗不安薬を併用するのが適切です。従って、その時々...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/20 00:00

非定型うつ病(2)

非定型うつ病(2) といっても「非定型うつ病」が正式に「病気」として認められるようになったのは、ここ10年程のことでしかありません。それもうつ病のサブカテゴリーとしての扱いであり、明確な定義がなされているわけでもありません。双極2型障害や境界性人格障害との合併や関連も指摘されており、実際のところかなりオーバーラップして診断・治療されているのではないかと考えられます。また前回ご説明した Soft bipolar spe...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/19 00:00

非定型うつ病(1)

非定型うつ病(1) これまで「うつ病」や「躁うつ病」について繰り返しご説明してまいりました。これらは気分が落ち込んだり、高ぶったりする「病気」です。中にはもともとの「性格」といった方もいらっしゃり、10代の頃から悩んでいたのだけれども、就職して仕事に支障を生ずるようになり、ようやく受診したという方もいらっしゃいます。いずれにしても適切な治療により症状が緩和されますので、早めの受診をお勧め致します。 「うつ状態」と「...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/04/18 12:13

軽い躁うつ病(3)

軽い躁うつ病(3) 一方でこの軽い躁うつ病の方は人格障害と誤診されることもあります。特に境界性人格障害 Boderline Personality Disorder, BPD と呼ばれる、情緒不安定で、慢性的な空虚感を覚え、自傷行為や対人関係のトラブルを繰り返してしまう人格障害と誤診されることが少なくありません。人格障害の方へは薬物療法よりも心理療法が優先されがちなため、本来は必要な気分安定薬を処方されないまま、長期...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/29 00:00

軽い躁うつ病(2)

軽い躁うつ病(2) このように躁状態というのは予想以上に頻繁に生じるもので、注意深い観察が必要です。海外では当初うつ病と診断された方の3‐5割が実は躁うつ病、双極性障害だったという調査結果も出されています。このため国内の精神科医の間でもこの事実は最近よく話題になっており、軽い躁状態を見逃さないようにと注意が喚起されています。軽い躁うつ病、双極性障害は、Soft bipolar spectrum と呼ばれ、幅広い定義が...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/28 00:00

軽い躁うつ病(1)

軽い躁うつ病(1) 前回は躁うつ病(双極性障害)についてご紹介しました。抑うつ状態のみでなく、躁状態と言われる、元気の良い、調子の高い状態も生ずる病気でした。この状態は本人にとって心地よく、病気であるという自覚(「病識」と呼びます)を伴わないことが多いものです。周囲も元気ならば病気とは言えないのかと見過ごしてしまいます。しかしこの躁状態は時に攻撃的になったり、誇大的になったりして、トラブルを引き起こします。また気持ち...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/27 10:25

躁うつ病とは(4)

躁うつ病とは(4) 前回ご説明したとおり、躁うつ病の方の病前性格とは明るく楽しく、社会的に好ましい性格とも言えます。集団の中では一際、目立ち、皆の注目を浴びる存在であります。実際に実業家や政治家、芸能人といった世の中で成功されている方の中に、実は軽い躁うつ病であるという方がいらっしゃいます。普通の人よりも多くの仕事をしたり、目立った言動をしたりするためには、軽い躁状態でないとできないのかもしれません。しかし一方で、周...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/03 00:00

躁うつ病とは(3)

躁うつ病とは(3) このため躁うつ病の方の人生はしばしばドラマティックで、エピソードに事欠きません。度重なる結婚と離婚、転居や転職、失敗と成功など、目まぐるしく移り変わる人生は波乱万丈とも言えます。また、アルコールやギャンブル、そしてセックスといった物質や行為に依存しがちでもあります。そして躁うつ病に加え、アルコールや薬物の依存症、ギャンブルからの借金、浮気や不倫などの問題を抱え込みます。これらは激しい落ち込みを避け...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/02 00:00

躁うつ病とは(2)

躁うつ病とは(2) 躁うつ病はその名の通り「躁」と「鬱」とが繰り返す病気です。躁のみの「躁病」は数少なく、多くは躁の後に鬱を迎えます。動き回り喋りまくりエネルギーを枯渇して鬱になる場合もあれば、躁の時に大きな決断をして、後で悔み鬱になる場合もあります。いずれにしても、躁の時の言動が後に鬱を招くわけです。しかも「うつ病」の鬱と「躁うつ病」の鬱とでは、躁うつ病の時の鬱の方がその落差のため本人が感じる鬱は深いようです。いわ...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/03/01 00:00

躁うつ病とは(1)

躁うつ病とは(1) 前回までは「うつ病」についてご説明いたしました。気分が沈み、何も面白くなく、意欲のなくなる病気でした。今回からご説明する「躁うつ病」の躁状態はその対極で、気分が高揚し、何でも楽しく、意欲の亢進する「病気」です。一見、楽しく幸せな状態と誤解されるかもしれませんが、度が過ぎると困ってしまいます。落ち着き無く、口数が多く、怒りっぽくなるからです。更にあれこれと手を出し、お金をたくさん使い、異性をいたずら...(続きを読む

茅野 分
茅野 分
(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
公開日時:2007/02/28 10:22

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