- 山本 俊樹
- インテグリティ株式会社
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
先月はまだ105円台で推移していたドル円も3月に入ってドル下落の速度が一気に増し、108円から13日には99円77銭と、1995年10月以来、12年5ヶ月ぶりの円高水準をつけた。
一方、ユーロドルも13日に1ユーロ=1.56ドルと新高値を更新し続けている。
サブプライム問題に端を発し、昨年夏以降、ドル資産離れが起こってきたが、ここ1ヶ月の間にサブプライム問題が更に深みに嵌り、ドルの急落と共に、ドルから回避した資金が原油をはじめとするコモディティ市場や金市場に流れ込み、原油は111ドル台、金は1000ドル台と大台を突破してきている。
ドル急落の原因は、言うまでもなく米国のサブプライム問題による米国経済のリセッション入りであるが、更にはベアースターンズの経営破たんやヘッジファンドン破綻、また、米生命保険会社の破綻まで、マーケットには次々と悪い噂が毎日流されるようになった。
また、円高についてはよく円キャリートレードの解消が要因などと書いている新聞があるが(ほとんどがそうであるが)、シカゴの為替先物市場のドル円の持ち高を見ても完全にドル売り円買いのポジションが積み上がってきている状態であり、そもそも円キャリートレードのポジションが積み上がっているとは思えない。為替のマーケットにもかなり投機的な仕掛けの資金が入ってきたためにパニック状態が起こっている。そして、過去最高水準の80円割れまで予想するような記事も散見されるようになった。過去の経験則からすれば、一方方向に予想が傾き、マスコミが騒ぎ始めたらそろそろ終息に向う証でもある。特に、ユーロに関しては、昨年から一本調子に上がってきているだけに、また、直近でのユーロ圏の輸出にも陰りが見え始めているだけに、そろそろ各国が協調してマーケットを沈める口先介入が行われると思われる。更なるドルの暴落があるようであれば、実際の介入もありうるのではないかと考える。