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−知っておきたい特許の話−
河野特許事務所 執筆者:弁理士 河野登夫
1.知的財産って何だ
知的財産と言う言葉が関係者の間で多用されるようになってまだ10年ほどにしかならない。しかし、小泉前首相が2002年の施政方針演説で「知的財産立国」をぶちあげ、様々な施策が取られるようになるにつれて一般の人々の間でさえも使用頻度がぐ〜んと高くなった。
「知的財産立国」の狙いは、80年代にレーガン米大統領が取ったプロパテント(特許保護重視)政策と同様、不況脱出にあった。米国と同様に成功したかどうかの評価を下すのは未だ早い。いずれにせよ、「知的財産」は「知的」で「財産」があるイメージ故に、言葉として魅力的ではある。
さて、知的財産権(知的所有権と言うこともある)とは第1図にあるように、特許権及び著作権など、知的創造によって創作されたそれ自体は無形の財産である。知的財産権の内、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つの権利は、特許庁が所管し、産業財産権と総称される(工業所有権とも言われる)。
いずれの権利も法律で保護されるが、申請し、審査を経て登録されるもの(特許権など)と、申請不要のもの(著作権、営業秘密など)とがある。
知的創作物すべてが保護されるかというと、さにあらず。法律上の仕組みがないと保護されない。たとえば料理のレシピであるが、これ自体を直接的に保護する法律はない(厳密にいえば、特許法による保護の可能性が皆無という訳ではない)。
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