- 真鍋 貴臣
- 香洋ファイナンシャル・プランニング事務所 代表者
- 香川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
日経電子版に、次のような記事が掲載されていました。
【抜粋開始】
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0803I_Z01C12A0EB2000/?dg=1
中国の建国記念日にあたる国慶節の大型連休中に、香港を訪れた中国本土の観光客の消費は低調だった。香港政府の旅遊発展局の田北俊主席は8日の記者会見で「観光客数は増えたが、消費の伸びは想定を下回った」と述べたうえで「中国の景気減速」の影響と説明した。
田主席によると、7日までの8連休の間に香港を訪れた中国本土客は約96万人。昨年の約78万人から2割以上増えたが、今年は休暇が1日長く、実質では10~15%増だったようだ。消費の伸びは5%程度と鈍かったことについて田主席は「従来は高額な買い物に偏っていたが、中ぐらいの価格帯の商品を買うようになってきた」と分析した。
宝石や時計など香港の消費関連業界は中国本土客の旺盛な買い物需要に支えられている。2003年に解禁された「自由行」と呼ぶ中国本土客による個人旅行の急増を原動力に、香港の小売売上高は11年に4057億香港ドル(約4兆1千億円)と、03年の2.3倍に達している。
(香港=川瀬憲司)
【抜粋終了】
現在、香港はアジアにおける金融センターとしての地位を確立していますが、その背景にあるのは中国という巨大市場へのインターフェースとしてのポジションです。
香港は、企業が上場するハードルが(中国本土に比べ)非常に低いので、結果として中国でのビジネス展開を考える企業は、まず香港での上場を考え、結果としてビジネスに必要な「ヒト」「モノ」「カネ」が集まってきます。
また、香港は為替制度が米ドルと連動している(これをドルペッグ制といいます)事から、現在の様に米ドルが弱い局面においては、中国本土の元との交換レートを考えた場合、相対的に買い物等でのメリットが出ます。
そして、各種税金が安い事と相まって、それらが消費の追い風となり、成長を促します。
実際、香港在住の方にお話を聞くと、年率数%のインフレを実感しているとおっしゃいます。
上記のとおり、その消費を下支えしていたのは「中国本土の富裕層」だったのですが、どうやら富裕層だけではなく中間層の訪問も増えているようで、それが「訪問者数は増えたけれど単価は落ちた」原因の様です。
ただ、文化が成熟してゆく過程においては、中間層の増加こそが全体のボトムアップにつながります。
先日「中国経済が失速」というニュースを解説したところですが、中国において中間層が拡大している事は間違いありません。
欧州危機に引きずられる形で弱さを露呈してしまいましたが、それを克服して世界経済を牽引する存在に返り咲くのか、あるいはそうではないのか、そのカギを握るのは中国が「世界標準」の常識に合わせられるかどうかだと思います。
真に円熟し、世界的見地から「常識的である」と認められたとき、再び中国を軸にした時代が来るかもしれません。
少なくとも、デモで他国の施設を破壊するような状況では、その時代はまだまだ遠いと言わざるを得ないのではないでしょうか。
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