「三高」夫がリストラに。その上、離婚を突きつけられて… - 離婚問題全般 - 専門家プロファイル

岡野あつこ
株式会社カラットクラブ 代表取締役
東京都
離婚アドバイザー

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阿部 マリ
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(行政書士・家族相談士)
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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「三高」夫がリストラに。その上、離婚を突きつけられて…

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中学受験を控えている子どもを持つ雅代さん(39歳)は、塾代がかさむので、子どもが学校に行っている間だけパートに出ています。夫の健三さん(41歳)の収入に不安はなかったのですが、ある日、突然のリストラにあってしまい、絶望感を感じてしまいました。


主人とは、今どき珍しいような世話焼きの知人の紹介で、お見合い結婚をしました。15年前のことです。主人は、幼いころから優秀だったそうで、紹介者も自慢のお見合い相手だったとか。確かに、国立大学を出て、一流企業に勤めている男性は、女性にとっては当時はやった「三高」の条件にぴったりで、友人にうらやましがられての結婚でした。

結婚してからも、主人はいわゆるエリートコースの人間でした。5年間の海外勤務を経て、2人の子供は幼くしてバイリンガル、私の人生は夢が叶ったと言ってもよかったと思います。

しかも、主人は夫としても父親としても、限りなく理想に近く、誰にでも自慢したいような気持で過ごしていました。(※1)

そのように、公私にわたって問題などひとつもない主人が、人生で失敗など一度もなかった主人が、突然に突きつけられたのがリストラという残酷なカードだったのです。

 「ただいま。雅代、雅代、おーい、雅代」

 「お帰りなさい。健三さん、どうしたの?顔色が悪いわ」

 「私はどうしたらいいんだ??雅代にも子どもたちにも会わせる顔がない。親戚にも会えなくなった」

 「どうしたの?何を言っているのかわからないわ」

 「来週から、もう出社できなくなったんだ」

 「なぜなの?また海外勤務っていうことなの?それならいいじゃないの!」

 「いや、違う。リストラだよ……うちの会社の大株主の息子が私のポストに入ってくるんだ」

 「健三さん、しっかりして!何かの間違いでしょ?」

 「間違いなんかじゃない。これが辞令だよ」

 「まあ……あら、でも、子会社の社長じゃないの。それなら何もそこまで言わなくても……」

 「雅代にはわからないんだ。その子会社は、来年にはつぶされることになっているんだ。整理をしに行くだけなんだよ。給料も半分以下になるんだ」

私はなかなか理解ができないでいました。と言うよりも、理解したくない言葉の連続でした。今までの順風満帆の人生から、どうやってそんな転落人生を受け入れたらいいのかわからず混乱しました。(※2)



子どもたちの未来や、私の生活はどうなってしまうのかと思うと、主人の気持ちを支えてあげる余裕はありませんでした。私のパート収入なんて、子ども一人の塾の一科目ぐらいにしかならないですし、主人の収入が半分以下になってしまったら、中学受験などしたところで、とても私立の学費など出せるはずもありません。

 「健三さん、あしたは会社を休んで、先のことを話し合いましょう」

 「そうはいかないよ。いくら辞める会社だと言っても、大事な引き継ぎやあいさつ回りが目白押しなんだから」

「そんなこと、あなたをリストラする会社のことなんか放っておいたっていいじゃないの」

 「わからないことを言わないでくれ。私も苦しんでいるんだから、少しは私の気持ちも理解して、協力する気にはなれないのか?」

 「何を無責任なこと言っているの?今、あなたの状況のために家族が全滅しそうになっているのよ」(※3)

 「大げさなことを言うなよ。こうなったら、こうなったで頑張るしかないと言ってほしかったな」

 「できないわ。だって、あなたと結婚すれば、こんな苦労だけはしないと信じて結婚したんですもの」

 「えっ! 君は私のことを愛していてくれたんじゃないのか?」

 「今、そんなことを言っている場合じゃないでしょ」

 「君は、自分と子どもたちがよければ、私などどうなってもいいってことだね?」

 「そんなこと言ってないわ。でも、自分だけよければいいと思っているのは、あなたの方じゃなくって?」

この晩、私たち夫婦は、初めて真剣に喧嘩をしました。(※4)私は、自分が悪いのに、怒り出した主人が許せませんでした。主人は主人で、私に慰めてほしかったみたいですが、そんな甘ったれたことを求められても困ります。



主人は、子会社に出社する前の週末、子どもたちも交えて話し合うことを提案しました。私は、まだ小学校6年生と4年生の子供たちに、うちの恥を教える必要はないと思ったので、断固拒否しました。なので、主人がまだ寝ているうちに、子どもたちを連れて外出し、そこから子どもたちを塾に行かせました。(※5)

日曜日の夜遅く、子どもたちを連れて帰宅した私に、主人はとんでもないことを言い放ちました。

「君がそんなに頭が悪くて、自分勝手な女だとは思わなかったよ」

「なんですって?あなたが悪いくせに、よくそんなことが言えるわね。家族を不幸にしていることがわからないの!」

「君がいつまでもそんなことを言うのなら、離婚した方がよさそうだな。君も望んでいるんだろう?」

離婚という言葉を聞いて、私は激しく動揺しました。離婚なんかしたら、それこそ友人にも親戚にも会わせる顔がなくなります。主人は最大の脅しをかけてきたのだと思いました。

そして、そんな卑怯な言い方をする主人をとことん軽べつしました。離婚すると言えば、私が黙ると思ったのでしょう。今、目の前に起きている問題は、そんなことでは変わらないのに。

「どうする?このまま生きていくことを一緒に考えていく気がないなら、私はもう別れてもかまわないんだ」

なおも離婚をちらつかせて、私に生活の一部を背負わせようとしている主人が許せません。だったら、自分の親に頭を下げて、お給料が下がった分を出してもらえばいいのです。そんな簡単なこともできないで、私に押しつけようとするなんて信じられません。(※6)


エリートの座も、高収入もなくなった主人に、さらに離婚という恥さらしまで強要されるなんて、こんな残酷な話があるでしょうか。私が主人の親に言いに行くしかないのかしら。それとも、私の親に頼んだ方がいいのかしら。これからは、毎日”作戦”を練らなくてはならなくなりました。


※1 理想や条件だけで結婚を決めると、夫婦の繋がりがもろいことが多いものです。
※2 ものの考えようによっては、そんなにひどい転落ではありません。夫婦で一緒に理解して軌道修正していきましょう。
※3 冷静な状況判断もせずに、全滅という過激な言葉を使うことは、相手を追いやっています。
※4 そもそも、これまで喧嘩もしたことがないこと自体がおかしいのです。それだけ他人のような夫婦だったのです。
※5 せっかくの話し合いのチャンスを捨てたのは、まずかったと思います。ただ、子どもも一緒というのは、うまくいけばいいですが、下手をすると子どもを深く傷つけますので要注意。
※6 押しつけられていると感じるのは、ただの被害妄想です。妻にとっても、家計のことは人ごとではありません。



【チェックポイント】
この夫婦は、お互いの常識をぶつけあっているようです。2人とも家族のあり方を真剣に考えて、話し合いをしていけば、離婚にはなりません。


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