前回、金融資産を運用する場合の一番大事なポイントとして、短期、中期で必要な資金は安全性と流動性を重視した運用をするようにお願いしました。安全性、流動性を重視すると、自ずと運用する金融商品は限定されます。収益性を重視した商品は、残念ながら安全性、流動性に問題があることはお分かりになるかと思います。短期は普通預金か短期公社債投信(MMF,MRF)、中期はネット銀行の定期預金か国債ぐらいしかないと思います。今の低金利だと年利1%を望むのは無理ではないかと考えますが、だからと言って、中期で必要な資金を普通預金のままにしておかないように。 0.01~0.03%と1%前後の金利差は侮れません。
さて、長期運用できる余裕資金については金融商品の選択肢が色々ありますので、個人のリスク許容度により、幅広く金融商品を選択できます。しかし、余程の金融資産を抱えていない限り、誰もハイリスク・ハイリターンな商品は望まず、リスクを出来るだけ抑えながら高いリターンを得られないかと考えていると思います。
リーマンショック以降市場は大きく変わり、一方的に価格が上昇する商品はなくなり、価格変動が激しくなっているのはご存知の通りです。このような時代に大事なことはいかにリスクを抑制できるかという事ではないでしょうか?
リスクを抑えるには分散投資という手法があります。分散投資には2種類あり、1つは商品(銘柄)への分散ともう1つは時間の分散だと思います。
今日は時間の分散について説明しましょう。
皆さん『ドルコスト平均法』という言葉を聞いたことがありますか?あるリスク資産(株・投信等)に一定の金額を毎月もしくは定期的に継続して投資する方法です。高値の時にはより少ないリスク資産を、安値の時にはより多くのリスク資産を購入することができ、長期的には平均取得価格を引き下げる効果があるというものです。今日のように価格の上下変動が激しい場合には、効果が出ることをご自分で仮定を作って計算すると分かります。しかし、価格変動パターンによっては一括購入が優位になることもあります。一方的に上昇相場であれば当然一括購入が優位であるし、一方的な下降相場であれば買わない方が良いのは明らかです。
しかし、いつが高値かいつが安値か、買ったり、売ったりするタイミングを計るのは至難の業であるとともに、それこそ値動きに対し毎日目を光らせてなければならないという事にもなりかねません。
『ドルコスト平均法』を利用すれば、現在のように市場の起伏が激しい時だけではなく、比較的安定期でもリスクを軽減するという観点からは、一括購入より間違いなく効果があるということは検証済です。今のような市場では仮に一括購入する資金がある場合でも『ドルコスト平均法』を利用するのは意味のあることだと思います。
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