司法書士の芦川京之助でございます。
税制上のメリットを受けるための居住用不動産の購入について説明いたします。
居住用の不動産を購入する場合の税制上のメリット、すなわち、税金の減税は次の3種類です。
1.登録免許税の減税
2.不動産取得税の減税
3.住宅ローンによる所得税の減税(住宅ローン減税)
登録免許税の減税
居住用不動産を購入した人(買主)名義に登記(所有権移転や所有権保存登記)をする際にかかる税金が、登録免許税(国税)です。
さらに、住宅ローンを利用して購入する場合は、金融機関の抵当権設定登記をしますが、この登記にも登録免許税がかかります。
この登録免許税が減税される居住用建物の条件は次のとおりです。
①居住用の建物であること
建物を取得した買主自らが、住居として使用すること
買主自ら住まないで、親族を住まわせたり、他に賃貸する場合は、減税を受けることができません。
②建物の建築年数が、木造であれば20年以内、マンションであれば25年以内であること
この築年数を超える場合は耐震基準適合証明書の提出があること
原則、この築年数を超える建物を購入する場合は、減税を受けることができません。
③建物の床面積が、登記上50㎡以上あること
登記上の床面積が50㎡未満の建物を購入する場合は、減税を受けることができません。
ワンルームマンション(例えば20㎡)を購入する場合、減税を受けられません。
販売床面積と登記上床面積は、通常、異なりますので、特に、マンションの場合は注意が必要です。
例えば、販売床面積が55㎡でも登記上床面積が49㎡であれば、減税を受けられません。
登録免許税の税率
建物について所有権移転登記をする場合の基本税率は、建物の固定資産税(市町村役場、都税事務所)の評価価格の2%です。
居住用建物が適用される場合の税率は、建物の固定資産税の評価価格の0・3%です。
建物について所有権保存登記をする場合の基本税率は、建物の登記所認定価格の0・4%です。
居住用建物が適用される場合の税率は、建物の登記所認定価格の0・15%です。
建物について登録免許税の減税が受けられる場合であっても、土地についての所有権移転登記の登録免許税については減税を受けられません。
金融機関の抵当権設定登記をする場合の基本税率は、債権額(通常は、住宅ローンの金額)の0・4%です。
居住用建物が適用される場合の税率は、債権額の0・1%です。
(以上、平成24年9月1日現在の税率)
不動産取得税の減税
居住用不動産を購入した人(買主)名義に登記すると、その情報は、各都道府県税事務所に通知されます。
売買などにより不動産を取得した場合にかかる税金が、不動産取得税(都道府県税)です。
この不動産取得税は、通常、登記したときから約3ヵ月後に、納税通知書が、都道府県税事務所から不動産を取得した人に郵送されます。
不動産取得税が減税される条件も、上記登録免許税が減税される条件①②③と同じです。
居住用不動産が適用されない場合の不動産取得税は、数十万円となります。
居住用不動産が適用される場合の不動産取得税は、数万円となります。
所得税の減税
住宅ローンを利用して居住用不動産を購入する場合、所得税(国税)の減税を受けることができます。
この所得税の減税は、不動産を購入し、登記した翌年の確定申告の時期に、所得税の減税について確定申告を住所地を管轄する税務署にします。
その翌年以降は、会社員の場合、年末調整の時期に、会社に税務署の減税証明書を提出して所得税の減税を受けることができます。
住宅ローンによる取得税が減税(住宅ローン減税)される条件も、上記登録免許税が減税される条件①②③と同じです。
土地を購入後、建物を新築する場合
土地のみを購入し、登記(所有権移転・抵当権設定登記)する場合は、基本税率の登録免許税がかかります。
不動産取得税については、建物を同時に購入しないで、土地のみを先に購入し登記する場合は、土地について基本税率の不動産取得税がかかります。
この場合の不動産取得税の納税方法は、次のとおりです。
①都道府県税事務所の通知書に記載された税額を納税します。
この場合の税率は、固定資産税の評価価格の2分の1の3%です。(平成24年9月1日現在の税率)
この場合は、建物が完成し登記した際に、土地についての不動産取得税の還付手続(減税手続)をします。
還付(減税)手続をすることにより、税金を返してくれます。
還付手続をしないと、税金は返されませんので、必ず、都道府県税事務所に還付手続をします。
②あらかじめ建物の建築計画があり、その建築計画書など書面を提出して、土地についての納税を猶予してもらう手続をします。
以上説明しましたとおり、不動産を購入される場合、税金上のメリットを重視するのであれば、建物の築年数を基準に選択するということもひとつの方法です。
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