3回目は、鍼灸師・マッサージ師側から見た、保険の制度・理由の解釈について触れていきます。
何故、マッサージ・鍼灸について、接骨院のように気軽に受けられないのか。
前回触れましたように、二つの関門があり、また、その関門の突破が難しいから。これが、受ける側から見た受けるのが難しい理由です。
もう一つ、難しい理由があります。それが、今回の鍼灸師・マッサージ師から見た保険という内容になります。
世の中金じゃないと言っても現実は・・・
保険の制度について、鍼灸師・マッサージ師側から見ますと・・・
1.書類の手続きや様式が難しい。
2.医者が同意書を書いてくれるとは限らない。
3.単価が低くて儲からない。
4.提出しても、保険が通らなかったりして確実にお金が入ってくるとは限らない。
この辺りで二の足を踏む人が多いようです。
実際、筆者が独立した時同業の知人にもやってみないか? と、誘った際、以上の点を触れ、自費で勝負したい。筆者が成功したら考える。と、言われました。成功したかどうかは判りませんが、取り敢えず何とかやって行けています。
難しい。と、思っている人にとっては、難しい書類が不要だし、施術してすぐに収入になる自費施術が手っ取り早い。解りやすい。と、言う事なんですね。
※あくまでも、保険施術導入の是非という観点です。自費が悪いと言っている訳ではありません。実際、筆者も自費施術は行っております。念のため。
閑話休題。
保険施術を始めたいのに二の足を踏んでいる方のお話を聞いていると、売り上げという現実的な側面が見え隠れします。
見方を変えれば、前回の二つの関門に阻まれてしまって・・・。に、集約されます。
二つの関門ではなく、書類が難しい。で、躊躇っているのであれば、是非最寄りの保険者。組合や師会に入っている方でしたらそこに行って直接聞くと良いですよ。
お役所はこちらが根掘り葉掘り聞けば、その分だけちゃんと答えてくれます。逆に、聞かなきゃ全然応えてくれません。打った以上には響いてくれないので、そこは納得するまで聞けば大丈夫です。
結果、1の書類の難しいのはクリアできますし、事前にこの患者さんはどうですか? と、確認すれば条件を教えてくださいます。仮に返戻と言って提出書類に不備があって請求が返ってきたとしても、ちゃんとどこが不備だったかを確認すればほぼ全額支払われます。4もクリアできてしまいます。
誰が現場の患者さんの状態を判断する?
1.の、同意書について。
自費から保険施術に移行する施術者が躊躇うところに、同意の部分というのがあります。
保険施術・マッサージに於いては、施術は時間ではなく部位で決められています。
・体幹
・右上肢
・右下肢
・左上肢
・左下肢
この部位です。
鍼灸ですと、はりのみ きゅうのみ はりきゅう 電気はり 電気灸 +光線 と、設定されています。
施術を45分とか60分とか時間で設定して、自分の裁量で施術を行ってきた施術者から見ると、この部位を決められてしまう。と、いうのが自分の施術が思い通りに行えない縛りのように見えてしまうのです。
時には、医師が体幹と右手右足のみで、左手左足は不可という書類をよこす場合もあります。こうなると、もう何も出来ない! と、思い込んでしまう方もいます。
しかしながら、保険施術の対象者は、自分の脚だけで治療院に来られない方である。という大前提を忘れてはなりません。
何故、お医者さんはその部位の施術を認めなかったのか。そのお医者さんなりの判断・解釈があったからです。
筆者の患者さんで実際にいらっしゃる方で、医師から左上肢の施術のみ認められなかった方がいます。何故か?
実は、人工透析が受けられるようにと、左手には人工血管が埋められたばかりだったからです。
また、鍼灸施術を認めてもらえなかった方の場合、糖尿病から足の指を切断したばかりで、皮膚の状態が傷や熱刺激に対して不安定だから、鍼や灸は止めて欲しい。と、いう注釈が付きました。
見方を変えると、同意書に制限があったらあったからこそ、施術者からすれば見えなかった・見えにくい事故を起こすリスクが減らせるのです。
そうやってお医者さんの指示を仰ぎながら何人も施術をこなしていくうち、自ずとこの人はここまでやって良い。この人はここから先は危険だ。と、施術者としての診る目が養われていきます。
信頼が視覚化される
同意書とは、お医者さんが出してくれる鍼灸マッサージの処方箋です。お医者さんの指示の元で行う事で、事故を未然に防ぐことが出来るのです。その為にも、同意書をもらった後もお医者さんや担当のケアマネジャーさんと密に連絡を取り合う事は大切になりますね。
保険施術を行い出すと、お医者さんやケアマネさんとの連絡。保険者・役所とのやり取り。と、やたら書類が増えてきます。いわば、その書類の量が、保険施術を行う鍼灸師・マッサージ師の信頼の証とも言えますね。
次回は、施術の内容を、鍼灸師・マッサージ師からまた見ていきます。
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