「相続税務・遺産分割の実務」の研修を受講しました - 遺産相続全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:遺産相続

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「相続税務・遺産分割の実務」の研修を受講しました

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相続

 講座名    「相続税務・遺産分割の実務」

 研修実施日  2010年12月15日開催

 実施団体名  日弁連      

 

 [講師]
1、相続税務の実務 

講師 城所弘明氏(税理士・公認会計士)

Ⅰ 相続税務の経緯と概要

Ⅱ 生前対策としての贈与税

Ⅲ 暦年課税制度の贈与

Ⅳ 相続時精算課税制度の贈与

Ⅴ 相続税の実務知識

Ⅵ 弁護士との連携


 税務の本には書いておらず、税理士的な実務センスによる実務処理(株式会社を用いた生前の相続財産の事実上の分配、配偶者による二次相続対策など)についは、講師の本音トークの中でかいまみられたようで、有益であった。

 

2、遺産分割事件と弁護士の実務 

講師 赤沼康弘弁護士(東京弁護士会)

        (1)受任の留意点(利益相反、委任者の意思能力)

        (2)相続人の範囲(知れていない法定相続人、廃除、相続欠格(遺言書の隠匿など))

        講師は、「相続させる」旨の遺言がある場合は遺贈と同じ扱いになると説明されておられたが、誤解である。最高裁は、同遺言の法的性質を、(相続分の指定を含む)遺産分割の方法を指定するものと解している(最高裁判所平成21年3月24日民集63巻3号427頁など)。

           補足として、最判平成23年2月22日民集65巻2号699頁は、「 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない。」と判示している。

          

          

         

(3)相続財産の範囲、遺産に帰属する紛争(訴訟事項)

講師は、生命保険金受取請求権が相続財産に属するものではなく、指定受取人の固有財産である(この点は最高裁判例で確定している。最判昭和40年2月2日民集19巻1号1頁、最判平成14年11月5日民集56巻8号2069頁最高裁判平成16年10月29日民集58巻7号1979頁)ことを理由に、相続放棄をしていても、指定受取人の指定がない場合で、相続放棄をしても、保険金を受け取ることができると解説されておられたが、疑問である。

相続放棄をすると、相続開始時にさかのぼって相続人にならなかったとみなされるので、保険約款上の「相続人」に該当しないから、私見では、反対に解する。

{参考判例}最判平成4年3月13日民集46巻3号188頁

普通保険約款において、生命保険の保険金受取人の死亡時以後保険金の支払理由が発生するまでに保険金受取人が変更されていないときは保険金受取人は死亡した保険金受取人の死亡時の法定相続人に変更されたものとする旨定められているときは、右条項の趣旨は、死亡した保険金受取人の法定相続人又は順次の法定相続人で保険金の支払理由が発生した当時において生存する者を保険金受取人とすることにあると解すべきである。

 

(4)遺産未分割で相続税の申告をした場合には、遺産分割協議成立後4か月以内に更正の請求をして、配偶者控除、小規模宅地等の特例を使って、いったん納付した相続税の還付申請をする。ただし、相続税の申告後3年以内。遺産分割協議成立が3年をこえる場合には、税務署長に嘆願を申請して、更正の請求ができる余地を残しておく。

                                         

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