- 金井 高志
- フランテック法律事務所
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
ライフログの取扱いの問題
ライフログの意義は多様ですが、筆者として、既に、以下のように、ライフログの定義を一応提示しています。
①自然人(個人)の
②ネット内外(オフライン・オンラインを問わない)の行動(活動)について
③デジタルデバイス(スマートフォン・PC等)を通じて収集・蓄積(デジタル化されている情報となる)される
④特定の個人に関する個人情報(個人識別情報)であるか、特定の個人に関連する個人情報に該当しない情報(非個人識別情報)であるかを問わない情報
例えば、30代の男性が検索エンジンで「温泉」というワードを検索した場合の、年齢や性別や検索ワードもライフログと言えるものです。
しかし、これらの情報については、事業者に取得されていても、一般消費者として特に大きく嫌悪感を抱くことはあまりないものと思います。
これに対して、特定人の病院への通院歴や性生活のようなものは、その人の機微情報(センシティブ情報)といえ、通常は、他の者に知られることに対して不快な思いを抱くものであるはずです。
このように、ライフログと一言で言っても、ライフログを取られてしまう消費者の視点から見ると、事業者に取得されても問題のない情報から、不快な思いをする情報まで多くの情報があるのです。
特に、通院歴や性生活のような機微情報(センシティブ情報)については、基本的に事業者は取得しない方が良いと言われています。しかし、事業者としては、法的なルールの遵守という点からは、取得するのであれば、どのような情報をどのような目的で取得し、どのように取り扱うのかをプライバシーポリシーやライフログポリシーで明示すること重要になると思います。
ただ、それらを明示すればよいというものではなく、それだけではなく、実際に消費者がそれらの情報を取得されてしまうことに対して、どのような感情を抱くのか、消費者の視点に立ちかえって改めて検討する必要もあると思います。法的に合法であるということと、消費者からの企業に対するイメージの問題(広い意味では企業のレピュテーションの問題)は異なります。
ライフログを取得する企業は、デジタル社会においては極めて多くの企業があります。ライフログを取得するすべての企業につき、法的ルールを遵守し、かつ、消費者からのレピュテーションに配慮した対応をすることが期待されているものと思います。
このコラムの執筆専門家
- 金井 高志
- (弁護士)
- フランテック法律事務所
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