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米国特許判例紹介: アップルとサムスンのタブレット端末訴訟 (第2回)
~意匠特許の非自明性判断~
河野特許事務所 2012年8月15日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Apple, Inc.,
Plaintiff-Appellant,
v.
Samsung Electronics Co., Ltd., et al.,
Defendants Appellees.
3.CAFCでの争点
争点:2つの引用文献の組み合わせにより自明といえるか
地裁は、889特許出願前に公知であった2つのタブレット端末を挙げ、組み合わせにより自明であると判断した。ミニマムデザインである889特許が自明か否かをどのように判断するかが争点となった。
4.CAFCの判断
結論: 889特許は自明でない。
(1)引用文献
地裁は主引例として1994年に公表されたFidlerタブレットを挙げた。参考図3はFidlerタブレットを示す写真である。
参考図3 Fidlerタブレット
Fidlerタブレットは、「フラットなガラス表面」を有していない。しかしながら、地裁は、全体的な視覚的印象が889特許と同一であると判断した。さらに、相違点であるフラットなガラス表面はHewlett-Packard Compaq Tablet TC1000(以下、TC1000という)に開示されていると判断した。参考図4はTC1000を示す写真である。
参考図4 TC1000
地裁はTC1000においてもフラットなガラス面が周辺までのびていることから、FidlerタブレットにTC1000を組み合わせることで、889特許は自明であると判断した。
(2)デザイン特許における非自明性の判断
CAFCは、最初にデザイン特許における非自明性の判断原則を述べた。自明か否かは以下の2つのステップにより判断される。
第1:主引用文献は、非自明性の判断をサポートすべく、デザイン特性が特許デザインと基本的に同一である「既存のもの“something in existence」でなければならない[1]。
第2:他の引用文献は、特許デザインと全体的に同じ外観を有するデザインを作り出すべく、主引用文献を変更して使用することができる。
ただし、第2の原則については、変更に関し一定の制限が課されている。すなわち、他の引用文献が、主引用文献への適用を示唆するほど主引用文献に関連している場合に限り、当該他の引用文献を組み合わせに用いることができる[2]。
[1] In re Rosen, 673 F.2d at 391
[2] In re Borden, 90 F.3d 1570, 1575 (Fed. Cir. 1996)
(第3回へ続く)
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