外壁タイルはいずれ落ちる−1 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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外壁タイルはいずれ落ちる−1

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家の話あれこれ
日本人は、タイル貼りの家が好きです。
タイル貼りが高級な仕上と思っている人、あるいはできればタイル貼りの家に住みたい、と思っている人が多いように思います。

特にマンションは、圧倒的にタイル貼りが多く、ある程度以上のグレードでは、タイル仕上以外のマンションを探すのに苦労します。
それ程多くの人がタイル好きなのかは良くわからないのですが、少なくともディベロッパーはそう思っているようです。


タイルの外壁は、他の材料に比べメンテナンスフリー(手入れ不要)であるとのコピーを見かけることがありますが、実はそうでもないのです。

外壁は、地域によりますが、とても過酷な環境にさらされています。
風雨の他、冬は0℃程度から真夏日射の方向によっては60℃位になることもあります。
表面が熱せられ、あるいは冷やされるので、熱膨張により躯体コンクリートと歪みが生まれます。
それらを毎年繰り返すと、タイルの裏側に浮きを生じ、やがて落下します。

タイル落下事故は、数え切れません。
どの建物でもタイルがいずれ落下する可能性があることは、古くから知られていました。タイル貼り工法も改良が加えられ、いくつも考えられましたが、どの工法もタイル剥離を防ぐことはできませんでした。

鉄筋コンクリートの躯体に現場でタイルを貼る工法では防げないため、外壁の型枠に大型のタイルを固定し、直接コンクリートを打設する、打ち込みタイルという工法が考えられました。
日本の草分け的建築家の前川國男は、この工法で名作をいくつも残しています。

<続く>