- 日色 雄一
- 傳統醫學硏究所 日色鍼灸院 院長 医学博士 世界医学気功学会理事
- 神奈川県
- 鍼灸師
武術、藝術、医術など様々な流派において、「秘伝」と呼ばれる思想や技能があります。
私の専門である鍼灸、気功においても師匠から教わる時に門外の者には伝えない「秘伝」がありました。
しかし、「秘伝」にはいくつかの意味があるようです。
「秘伝」を掲げて、自分の流派をより格調高く印象付けるためにこれを利用しています。私が見る限り、この手の人が最も多いようです。ある学校の学生さんから聞いた話です。その先生は授業中に有名な先生から秘伝を沢山習ったが、これは秘伝なので皆さんには伝えない、と言っていたそうです。そんなに大切なものならば、わざわざ授業でその存在を自慢する必要はないでしょう。この手の先生が教育を担っているようでは学生は途方に暮れるばかりです。…
次に、いわゆる「ご飯の種」という意味で、他の人には伝えない「秘伝」です。2007年に日本伝統鍼灸学会にて特別講演をさせて頂いた際、座長を務めてくださった兵頭明先生から聞いた話です。兵頭先生が80年代に北京に留学していた時は中国政府の国策として、外国人に老中医の実技を公開することが禁じられていたそうです。現在は研修会に中国の先生を招聘して、実技を中心とした講義をしてもらうことは普通の出来事です。本当に幸せな時代と言えるでしょう。自分の立場が危うくなる、というのはいつの時代でもあることです。
最後の「秘伝」は、その人があるレベルに至っているかが重要になります。大学院生の授業を幼稚園児が聞いても全く理解できない状況を想像していただければいいでしょう。つまり、「秘伝を公開しても理解できないので意味がないから伝えない」というのが実情のようです。
しかし、現在は情報公開の時代。学びたい人が学べばいい、という時代です。以前ならばその存在さえ知られることのない流派が門戸を開いて学ぶことができるのが今です。武術も医術も同じですね。本当にありがたいです!
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