- 中西 優一郎
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
- 兵庫県
- 弁護士
-
06-6435-8309
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
正社員(期間の定めのない社員)が、突然メールで退職届を提出し、その後出社しなくなりました。連絡もとれません。
メールのような本人の署名・押印のない退職届が提出された場合でも、受理していいのでしょうか。
退職の意思の確認
退職申入れの様式に法律上の定めはありません。就業規則などにも規定がない場合、会社はメールによる退職届も受理してよいことになります。
正社員(期間の定めのない社員)の場合、解約の意思が明確になった後、就業規則の解約の予告期間の経過(もしその規定がなければ原則として2週間の経過)によって、解約の効力が発生します。
そこで、メールで退職届を提出した場合であっても、解約の意思が明確になったといえるかが問題となります。
本件の場合、メールによる退職届の提出とその後の無断欠勤、連絡不能の事実を総合的に考慮すれば、解約の意思があると判断できます。
もっとも、退職の意思がよく分からない場合には、退職の意思を直接確認するよう試みたほうが良いです。
以上から、本件は、メールを受信し無断欠勤が継続している期間において、会社が、社員の解約の意思が明確になったと判断することができ、当該時点から就業規則の予告期間の経過(もしその規定がなければ原則として2週間の経過)により、解約の効力(退職日)が発生します。
そして、退職日までは、無断欠勤ですので、賃金は発生せず、当該分は月給から控除されます。無断欠勤によって、会社が損害を被っていた場合には、損害賠償請求をすることも可能となります。
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このコラムの執筆専門家
- 中西 優一郎
- (兵庫県 / 弁護士)
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
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弁護士法人アルテ代表弁護士。東京大学法学部卒。企業法務に従事し、労働問題(会社側)に精通。著書「外国人雇用の実務」(同文舘出版)。ラジオ番組出演(FMあまがさき「中西優一郎のLaw and Order」)。商工会議所、大学、企業での講演・セミナー多数。
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企業内外において、人事・労務・労働問題に関する講演・セミナーも行っています。
尼崎で開業する前は、東京の外資系法律事務所、及び国内企業法務を取扱う法律事務所にて勤務し、労働問題、コーポレート/M&A、ファイナンス等の企業法務に従事していました。
英語を使用する業務(英文契約書の作成、外国人の方の雇用手続等)にも積極的に取り組んでいます。
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