- 野崎 一文
- バータージャパン株式会社 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
企業間バーター取引とは、バータークラブ会員間でのみ流通する法定通貨以外の「貨幣」(ポイント)を使用したものです。
現在、世界中では100以上の企業間バーター取引運営グループがあります。
基本原理は多角間の物々交換
企業間バーター取引の基本原理は、多角間バーター取引です。
要するに、物々交換の発展形です。
代表的なのは、1960年米国カリフォルニア州にマービン・J・マッコネル氏がを設立した「ビジネス・エクスチェンジ社」。後にナスダック証券取引所に上場。
このシステムの最大の特徴は、どんなに取引が活発化しても、全体の貸し借りの総和は常にプラスマイナスゼロになること。
何故なら、このシステムにおいては、利子は付かないし、その為、物財と貨幣の量は常に対称性を保っているからです。
また、クレジット(与信枠)という概念の導入です。入会したばかりの会員の(バーター)口座は当然ながら「0」です。それでは、誰も「買う事」が出来ません。そこでクレジットを貸与して、枠内であれば「買う事」からでも始められる様にしました。
歴史
企業間バーター取引の歴史は少なくともイギリスのオーエンの労働証明書やフランスのプルードンの交換銀行にまでさかのぼります。
一般の人々の関心を集めるようになったのは、世界大恐慌後の1930年代です。
当時、景気対策の一環として、ドイツやオーストリアの一部で企業間バーター取引が導入されたのを皮切りに、やがてアメリカやカナダなどにも導入されるようになりました。
それらの試みは、一定の成果を上げたものの、直後に台頭した国家社会主義的な風潮を背景にその多くが中央政府によって禁止されてしまいました。
現代の「バーター」
第一次産業にもかつて「barter」と呼ばれる企業間バーター取引に似た仕組みがあった。
「barter」は農繁期における相互扶助の仕組みとして発達したシステムであり、戦前まで全国各地の農村で普通にみられるものでした。
一方、現在はIT技術の進歩を背景にワークスタイルが大きく変化してきました。
象徴的なのは、大企業における巨大組織の歯車として働くのではなく、小規模な事業所で身の丈に合った働き方を模索する人が増えていることです。
だが、こうした小規模事業者にももちろん弱点はあます。
なかでも最大のそれは組織力の弱さです。すなわち、それぞれが独立した存在であるため協業(コラボレーション)が困難であること。
その為みすみす目の前のビジネスチャンスを逃してしまうことです。
ここに企業間バーター取引のもうひとつの意義があるのです。
それは、企業間バーター取引が小規模事業者同士の協業を促進する手段として有効だということです。
その意味で、企業間バーター取引はいわばIT時代の「barter」、現代版「barter」といえます。
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