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対象:特許・商標・著作権
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米国特許法改正規則ガイド (第5回)
第2回
河野特許事務所 2012年6月4日 執筆者:弁理士 河野 英仁
5.PGR及びIPRのレビュー手続概要
以下にIPR及びPGRにおけるレビュー手続の流れを説明する。参考図1はレビュー手続を時系列で示す説明図である。
凡例 特:特許権者側の行為 申:申立人側の行為 DP:ディスカバリ期間
参考図1 レビュー手続を時系列で示す説明図 |
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(1)特許権者の予備反論 申し立てがあった日から2月以内に、IPR、PGRまたはCBM(covered business method patents)を申し立てられた特許権者は申し立てに対する予備反論を行うことができる。なお、特許権者はレビュー開始前に応答しないことを選択する陳述を行っても良い。
(2)審判部の開始決定 審判部はレビューを開始すべきか否かを、特許権者の予備反論提出後または期間経過後から3月以内に決定する。
(3)1年のスケジュール決定 審判部はレビューを開始すると決定した場合、当該決定日から原則として1年以内に決定がなされるようスケジューリング命令、すなわち各種手続の期限日を決定する。
(4)特許権者のディスカバリ期間 例えばIPRの場合、レビュー開始決定の日から4月を期限として、特許権者に反論及びクレーム補正が認められる。また特許権者には4月のディスカバリ期間が認められる。
(5)申立人のディスカバリ期間 特許権者の反論及びクレーム補正が提出された場合、申立人には2月を期限として特許権者の反論に対する反論、及び、補正に対する異議が認められる。また申立人には2月のディスカバリ期間が認められる。
(6)2回目の特許権者のディスカバリ期間 次いで、特許権者には補正異議に対する応答期間及びディスカバリ期間として1月が付与される。
(7)ディスカバリの手順 ディスカバリは原則として以下の手順に従う。 特許権者はレビューが開始された後、申立人側供述人に対し証言を録ることができる。特許権者が反論及びクレーム補正を行った場合、逆に申立人は特許権者側供述人に対し証言を録ることができる。 さらに、申立人が応答または補正に対し異議を唱えた場合、特許権者は申立人側供述人に対し証言を録ることができる。また特許権者は当該クレーム補正がサポートされていることを示す反論を提出することができる。 特許権者が当該補正のサポートにおいて新たな宣言証拠に依拠する場合、申立人は、供述人に証言を録ることを許可され、デポジションの見解を提出することができる。トライアルにおけるディスカバリ期間が終了した場合、当事者は許容されるべきでないと考える証拠の排除申請を行うことができる。許容され得る証拠は一般に連邦証拠規則により律則される。
(8)口頭審理 ディスカバリ期間の後、当事者には口頭審理の機会が付与される。口頭審理期日は通常スケジューリング命令にて設定されるが、ケースバイケースで変更される。 口頭審理においては、既に提出済みの証拠及び書面に記載した議論にのみ依拠することができ、新たな証拠及び議論の主張は認められない。また口頭審理においてライブ証言は認められない。
(9)最終決定 IPR、PGR及びCBMに関し、審判部はトライアルが開始された日から1年以内に、書面による最終決定を下す。ただし、当該期間は正当な理由がある場合、6月を限度として延長される。 なお、由来手続の審理期間については、法律により規定されていないが同様に1年以内とされる。
(10)リヒアリング請求 審判部の決定に不服のある当事者はリヒアリング請求を提出することができる(規則42.71)。 以上
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