- 西田 淑子
- サクセスインサイド・コミュニケーション 代表・コミュニケーショントレーナー
- 大阪府
- ビジネスコーチ
対象:コーチング
ダヴィンチが描いたモナリザ、その背景は青く描かれていたそうだ。ダヴィンチは「空気が青いのではない、空気中の水蒸気が青いのだ」と発見した。それで、遠景ほどより青く描いたのだそうだ。
なるほど、そういわれてみれば、水は青い。青空と白い雲を見ると、白い雲は水蒸気の集まり、だということは、そう習ったので分かる。青い空は、水蒸気が青くしている、なんてことを、白い雲と比較したら、どうしてそうだと考えるのだろうか。もしかしたら、ダヴィンチは、白い雲は水蒸気の集まり、だって事を知らなかったんだろうか、なんて考えてしまう。
まるで、空をものすごく性能のいい拡大鏡ででも見たような、ダヴィンチのコメントである。雲は光が乱反射しているために白く見える。青い空にある水蒸気の粒よりも、雲の水蒸気、もしかしたら水の粒といったほうがいいかもしれない、がもっと大きい。それで、雲は白く、空は青く見える。
大阪市長の橋下市長は、図書館を本の集まり、ではなく、字の集まり、と表現したそうだ。確かに、本は字の集まりだ。字が集まって言葉になり、言葉が集まって文章になり、文章が集まって本になる。
私たちは、物事を一般化できる才能を皆、持っている。字の集まりと認識せずに、本だと認識できる。水蒸気の集まりだと認識せずに、雲とか空と認識できる。当たり前のことだと思うけれど、すごい才能である。多くの情報をいちいち、細かく認識せずに、まとめて、一般化して認識したり、覚えたり出来るので、私たちは学習することができる。
しかし、厄介なこともある。一般化したことが、それが根本だと思い込んだら、選択肢がなくなる。ある1人の誰かに、嫌な思いをさせられたとする。そうすると、その誰かが男だったら、男はみんな嫌なやつ、となることがあるし、その状況が掃除の時間だったら、掃除はみな嫌なこと、になることがある。
学習することと、厄介な感情を持ち続けてしまうことは、結構、同じような作用なのである。事実を細かく見ていくことは、しかし、自由に生きるために必要な方法である。「空は何が集まって空になっているのか?」、「嫌な男は、誰が集まって嫌な男になっているのか?」、という質問に答えるだけでも、何か新しい発見があるはずだ。
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