米国特許法改正規則ガイド (第3回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド (第3回)

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米国特許法改正規則ガイド (第3回)

 第1回

河野特許事務所 2012年4月20日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

4.発明者の宣誓または宣言(AIAセクション4)

(1)改正概要

 米国特許法第115条(発明者の宣誓または宣言)及び第118条(発明者以外の出願)の改正に伴い、宣誓書または宣言書の記載に関し以下の規則改正がなされる予定である。

 

 適宜重要なポイントを新旧対比表と共に解説する。

 

(2)「規則1.1 合衆国特許商標庁との商標以外に関する通信の宛先」、

「規則1.31 出願人は,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代理人とすることができる。」、

「規則1.32 委任状」及び、

「規則1.33  特許出願,再審査手続及びその他の手続に関する通信」についての規則改正。

 

(3)注意点

 規則1.31及び規則1.33(f)に規定されているとおり、法人は特許出願のプロセキューションを、特許有資格実務者(patent practitioner)を通じてのみ手続きできるようになった。法人はUSPTOに対する特許出願のプロセキューションを自ら行っているが、あまりにもミスが多く審査官の負担が大きいことから、特許有資格実務者による手続を必須としたものである。本規則改正を通じて、USPTOは審査のバックログの低減を図ることとしている。

 

改正前

改正後

規則1.1 合衆国特許商標庁との商標以外に関する通信の宛先

*****

(e) 特許存続期間の延長

合衆国特許商標庁に対する,35 U.S.C.第156条に基づく特許存続期間の延長申請書及びそれに関する通信の全ては,「Mail Stop Patent Ext.」と付記しなければならない。決定が既に行われており,適切な事情においては,特定の個人宛てとする表記もしなければならない。

 

規則1.1 合衆国特許商標庁との商標以外に関する通信の宛先

*****

(e) 特許存続期間の延長

合衆国特許商標庁に対する,35 U.S.C.第156条(特許存続期間の延長)に基づく特許存続期間の延長申請書及びそれに関する通信の全ては,「Mail Stop Hatch-Waxman PTE.」と付記しなければならない。決定が既に行われており,適切な事情においては,特定の個人宛てとする表記もしなければならない。

規則1.31 出願人は,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代理人とすることができる。

特許出願人は自らの事件を提出し,手続をすることができ,又は委任状を出し,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代表者とすることができる。合衆国特許商標庁は,特許有資格実務家の選択に関する援助をすることができない。

規則1.31 出願人は,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代理人とすることができる。

(a)特許出願人は自らの事件を提出し,手続をすることができ,又は委任状を出し,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代理人とすることができる。

ただし、法人(juristic entity)は特許有資格実務者を代理人としなければならない。法人による手続は、規則3.71(a)(譲受人による手続)に準拠し、譲受人によるアクションは、規則3.73(譲受人の権利確立)に準拠する。

(b)合衆国特許商標庁は,特許有資格実務家の選択に関する援助をすることができない。

規則1.32 委任状

* * * * *

規則1.32 委任状

* * * * *

(d)継続出願において米国特許法第120(継続出願),121条(分割出願)または365条(c)( 合衆国を指定国とする国際出願の継続出願)に基づく利益を主張する先の出願からの委任状は、

継続出願の発明者名(inventorship)が先の出願と同じである場合、または、先の出願の一または複数の発明者が継続出願において消去された場合であり、かつ、

先の出願の委任状の写しが継続出願において提出され場合、

継続出願において効力を有する。

(e)委任状が全ての発明者に認められているが譲受人には認められていない場合、規則1.48(再発行出願以外の特許出願における発明者名の訂正)に従って発明者を追加すると、規則1.48の請求が認められると同時に委任状を喪失することとなる。ただし、追加の発明者が、他の発明者らにより提供された委任状に一致する委任状を提供した場合はこの限りではない。この規定は、該当する場合、特許有資格実務家の規則1.34(代理能力による行為)に従う行動を妨げるものではない。

規則1.33 特許出願,再審査手続及びその他の手続に関する通信

(a) 通信宛先及び昼間電話番号

出願をするときは,通信宛先が,出願データシート(§1.76)に,又は出願に際して提出される書類の中の何れかの個所に,明確に確認することができる方式で記載されなければならない。通信宛先が指定されていない場合は,特許商標庁は,最初に記名されている発明者(発明者が記名されている場合に限る。§1.76(b)(1)及び§1.63(c)(2)参照)の郵便宛先を出願に係る通信宛先として取り扱うことができる。特許商標庁は,出願に関する全ての通知,公式書信及びその他の通信を,通信宛先に関連している者に名宛するか,又はそれ以外の方法で,当該人が入手することができるようにする。ただし,特許商標庁の電子出願制度を使用して提出された通信に関しては,庁は,電子受領確認を送信者に送付する。長官によって必要と判断される場合を除き,庁は通常,1の出願人及び1の特許有資格実務家,又は2以上の特許有資格実務家を相手とする重複通信は行わない。1の書類に関して2以上の通信宛先が指定されている場合は,特許商標庁は,その内の1を通信宛先に定めるものとし,顧客番号に関連している宛先が与えられている場合は,その宛先を印刷されている通信宛先に優先して使用する。通信宛先となる当事者に関しては,明確に確認することができる方式で昼間電話番号を提供しなければならず,また,通信宛先を変更することができる当事者は,その電話番号を変更することができる。通信宛先は,次のとおりに変更することができる。

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    (b) * * *

    (3) §3.71(b)に規定されている譲受人,又は

* * * * *

 

規則1.33  特許出願,再審査手続及びその他の手続に関する通信

(a)出願をするときは,通信宛先が,出願データシート(§1.76)に,又は出願に際して提出される書類の中の何れかの個所に,明確に確認することができる方式で記載されなければならない。通信宛先が指定されていない場合は,特許商標庁は,最初に記名されている発明者(発明者が記名されている場合に限る。§1.76(b)(1)及び§1.63(c)(2)参照)の郵便宛先を出願に係る通信宛先として取り扱うことができる。

特許商標庁は,出願に関する全ての通知,公式書信及びその他の通信を,通信宛先に関連している者に名宛するか,又はそれ以外の方法で,当該人が入手することができるようにする。ただし,特許商標庁の電子出願制度を使用して提出された通信に関しては,庁は,電子受領確認を送信者に送付する。

長官によって必要と判断される場合を除き,庁は通常,1の出願人及び1の特許有資格実務家,又は2以上の特許有資格実務家を相手とする重複通信は行わない。

1の書類または同日に提出された複数の書類に関して2以上の通信宛先が指定されている場合は,特許商標庁は,その内の1を通信宛先に定めるものとし,顧客番号に関連している宛先が与えられている場合は,その宛先を印刷されている通信宛先に優先して使用してもよい。

通信宛先となる当事者に関しては,明確に確認することができる方式で昼間電話番号を提供しなければならず,また,通信宛先を変更する権限が与えられている当事者は,その電話番号を変更することができる。通信宛先は,次のとおりに変更することができる。

* * * * *

    (b) * * *

    (3) [削除]

 

* * * * *

(f)譲受人は本章の規則1.31(出願人は,1又は2以上の特許有資格実務家又は共同発明者を代表者とすることができる)及び規則3.71(譲受人による遂行)に従って、出願の遂行を行うことができるにすぎない。特に規定されていない限り、法人の代理として提出する全ての書類には特許有資格実務者による署名が必要である。

(g)先の出願からの出願書類が継続出願において使用され、通信宛先が先の出願の遂行中に変更された場合、継続出願に使用される更新通信宛先を特定する出願データシートまたは別の書類を提出しなければならない。それがなかった場合は,USPTOは,先の出願の手続遂行中における通信宛先の変更を承認できない可能性がある。

(h)通信宛先が出願レコードの通信宛先である代理権を有する特許有資格実務者は、特許が発行された後に、通信宛先を変更することができる。ただし、通信宛先の変更は、特許権者または特許所有者に通知されたことを示す声明を伴うことを条件とする。

 

(第4回へ続く)

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