結婚式用? オマール・テルミドールの試作 - 料理教室 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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対象:料理・クッキング

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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結婚式用? オマール・テルミドールの試作

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オマール・テルミドールhomard thermidorの試作をしました。
日本の結婚式でよく見かける、豪華な海老料理です。

テルミドールとはフランス革命時の共和暦で「熱月」、つまり7月19日から8月17日をさすのだそう。
1894年パリのレストラン「メール」で、コメディ・フランセーズのこけら落とし公演の劇「テルミドール」にちなんで命名されたのだそうです。

はじめて学校で習った日、私はかなり感動しました。
「わぁぁ、結婚式、結婚式!」
日本の結婚式でよくお目にかかる、あの海老料理だと分かった瞬間に思ったのは、
「これってフランス料理だったのか!」
でした。よく考えたら、当たり前。

あれ以来十数年ぶりに作ってみました。この前の授業のときに、1尾余分に取り寄せておいたのです。もったいないと思いながらも、冷凍にしておきました。



まず半分にすぱっと切ります。

背中の辺りに「コライユcarail」があるのが見えます。濃い緑色の部分で、頭と尾の境目の腰(?)のあたり(写真は左半分のほうが分かりやすい)に。
コライユとは英語でいうところのコーラル、つまり珊瑚という意味です。
緑色なのに、コーラルって?

その理由は火を入れるとよく分かります。ぱっときれいな珊瑚色に発色するからです(今度は右のほうの腰のあたりが分かりやすい)。

コライユはソースの色味にも、旨味の上でも重要でありあり、料理をするときには大切に扱う部分なのです。

さて半割にして取り出した身を、またもとの殻に戻し、上にはマスタードを加えたクリームソースをかけます。はさみの身も取り出し、頭に詰め直します。
チーズを散らし、オーヴンで焦げ目をつけたら出来上がり!

じゅわっとジューシーにオマールの旨味がいっぱいのテルミドールができました。冷凍物なのに、なかなかです。活けオマールを使えばもっとおいしいハズ。
若干ぱさついた料理のようなイメージを持っていましたが、まったくそんなことはありません。オマールのおいしさを口いっぱいに堪能できる、幸せな味です。

作ってみて、日本の結婚式で頻繁に使われる理由がよくよく分かりました。分析してみると・・・

・日本では海老はとてもおめでたい食材(腰が曲がるまで長寿にいられるように)
・赤くて大きくて、ぱっと豪華で贅沢な印象を与えることができる
・仕込みができる。つまりソースをかけた状態まで仕込みをしておけば、あとはオーヴンで焼くだけ。たくさんの出席者の分を賄うには、仕込みができる料理であることは、宴会料理にとって必須条件です。
・かつ、じつは仕込みがけっこう早くて簡単。

なるほど、でした。
ただしいただけないことがただ一つ・・・。それはけっこう値の張る食材であるということ。
でもこれは「豪華な印象」に直結する事柄なので、致し方なし、です。

解凍したらぼろぼろと脚が取れてしまい、はさみの付け根の部分も身が残っていて、もったいない感じです。そこでこれらを集めてだしを取り、オマールのお味噌汁にしてみました。
びっくりすることに、オマールは意外にもけっこういけるのです(あんまり合わないと思っていました)。
カニのような強い風味はなく、あっさり上品に、でもしっかりとした旨味のだしがでて、クリアなおいしさのお味噌汁でした。

でもまあそんなことをわざわざする人はいないだろうなあ・・・。でも1匹丸ごとお味噌汁にしたら、どうなるのだろう? 気になります。

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