- 小坂 淳
- 株式会社環
- 東京都
- ウェブ解析士マスター
対象:Webマーケティング
- 森 美明
- (Webデザイナー)
- 和久井 海十
- (ITコンサルタント)
<電通2011年「日本の広告費」を見て:広告は代理するものから運用するものへ>
電通から毎年恒例の広告市場調査のデータが発表されました。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2012/pdf/2012017-0223.pdf
広告費全体では前年度比で下がる傾向が続いています。
東日本大震災があったことを考えると、やむ負えないと思いますが、
広告のあり方、広告を扱う企業のあり方が変わってきているように思います。
広告市場が減少傾向なのは、悪いことなのか、それとも「最適化」が進んだいいことなのか、
どっちなんでしょうね。
皆様、お世話になります。環の小坂です。
このようなデータは色々な見方がありますよね。
1.インターネット市場の動向
媒体別広告費を見ていると、インターネット広告の伸びが目立ちます。
これはここ数年の傾向ですが、少し変わった部分があります。
広告の場所代的な広告費用がここ数年伸びていました。
広告制作費が平成20年から22年にかけて5%も伸びなかったのに対して、
媒体費は10%以上伸びました。
ところが、23年は媒体費の伸びは鈍化し、ほぼ横ばいです。
それに対して、広告制作費はここ2年の鈍化から打って変って10%以上伸びています。
リスティング等が普及しましたが、広告媒体自体の普及は一段落し、
どう活かすかというところに移っているからでしょうか?
2.広告は代理や初期作成ではなく運用が大切な時代に
広告代理店という名前が示すように、昔は広告を取り扱うことだけでも
収益になっていたんじゃないかと思います。
つまり100万円の広告枠を販売すると、30万円マージンが入るみたいな。
しかし、ネットの普及も合わせて、広告枠を買うこと自体は誰でも出来るようになり、
広告代理自体の価値は大きく下がっています。
また、初期作成して終りではなく、広告を出してからの運用の重要性が高まっています。
そうなると、広告を出してからも改善施策を打てる、ウェブの広告制作が増えているんじゃないでしょうか?
ここ6年で新聞は半減近く下がり、雑誌やテレビも低落傾向ですが、
ネットはその改善の可能性が受けているんだと思います。
広告市場の規模自体は私が社会人になった1996年とほぼ同じ水準です。
GDPもそれほど変化ないです。
広告は多くの人に露出するものと、ターゲットを絞って目的まで導くものが連動して効果を発揮しやすいですが、
以前は前者に向いた媒体ばかりでした。
それが後者に向いた媒体が出てきたことで、広告の乗り換えが始まっているんじゃないかと思います。
3.収益源の変化
今後の予測として考えられるのが収益源の変化です。
私は広告全般に詳しいわけではないですが、広告は大きく分けて3つの収益源があったと思います。
1つは広告販売、二つ目は初期の設定(プランニングや広告の作成等)、三つ目は運用です。
1つ目は広告の仕入れの独占等企業の規模等が重要で、二つ目はプランニングから制作までのトータル力、
3つ目は運用能力です。
1つ目の収益源は新聞等従来型広告の減少の影響で大きく下がっているでしょうし、
二つ目も連動していると思いますが、三つ目の運用については収益源としては伸びが期待されます。
運営においては、仮説を立ててプランニングしたものが実際にどうなのか、
世の中の動向や競合の活動なども見ながら、広告の内容を変えたり、
クリエイティブを変えたり、ビジネス自体を変えたりしながら効果を高めていくことです。
今後はその能力や知識が重要になりますが、効果をどのように測定し、
KPIをどのように立案するかがどんどん重要になっていきます。
広告代理モデルではどの広告を販売しているかが差別化ポイントでした。
さらに、同じ広告枠の販売であれば価格がものを言います。
しかし、運用モデルでは、どれだけの効果を出せるかが差別化ポイントです。
100万円の広告枠の運用を20万円でやるけど、期待売上が300万円よりは
100万円の広告枠の運用で50万円もらうけど、期待売上が500万円の方が顧客に選ばれます。
ということは成果さえ出せば今までよりもマーケティングに関わる会社・個人の収益の拡大につながるということです。
そして、個人の能力も重要になります。
広告の仕入れは会社の力ですが、運用はある程度個人の能力も重要なので、
個人が強くなる(場合によっては今まで以上に指名が増える)時代です。
その裏付けとなるのが電通のデータにあります。
マスコミ四媒体の費用は減少しているのに、マスコミ四媒体の制作費用はほぼ横ばいで、
テレビに限定すると微増ですが、増えているらしいです。
これは「枠」自体の価値は下落しているものの、「ソフト」の価値は上昇しているということです。
4.ここ数年との比較
丁度2年前にも電通の発表を元にしたコラムを書きました。
「電通の発表:冷える広告市場の中で伸びているもの」
http://profile.ne.jp/w/c-36242/
そこでは「モバイル」「SNS」「リスティング」の上昇を予測していましたが、
モバイルは早くも減少に転じたそうです。
これはスマフォの普及ですね。
リスティングもおそらく頭打ちになり、その効果を高めるLPOを行う上での
クリエイティブの制作が重要になってきているんじゃないかと思います。
変化が激しいですね。
SNSは普及して、今後は広告媒体としての存在感も高まってくると思いますが、
広告の運用は素人でも出来るものですから、弊社も含めたウェブマーケティング会社が
どういうところで存在感を出すかは重要です。
5.今後必要となるウェブ解析
このように見ていくと、ウェブ解析の能力はますます重要になってきます。
メディアミックスを含め、ウェブの効果をどう測定し、どの指標をKPIにし、
どのように仮説検証・原因分析・課題解決していくは非常に大事です。
ハードからソフトに広告投資が遷移する中では、広告の運用が大切で、
そこでは欠かせないスキルです。
また商品のライフサイクルが短くなる中で、
ウェブは「顧客の声」を他の媒体よりも精度高く取得できる数少ない媒体です。
ウェブ解析を元に商品開発への反映も可能です。
6.というわけでウェブ解析士認定講座のご案内
ウェブ解析に興味のある方、さらに能力を高めたい方にお知らせです。
ウェブ解析士の資格を取りませんか?
講座もありますので、スキルアップと資格取得両方実現出来ます。
詳しくは
http://www.web-mining.jp/
をご覧ください。
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