株主代表訴訟防衛策 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:事業再生と承継・M&A

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第3 株主代表訴訟防衛策

1 公開会社における株式保有期間の制限

 非公開会社においては,株式保有期間の要件がありませんが(会社法847条2項),公開会社においては,株主代表訴訟を提起するためには,株主は6ヶ月前から引き続き株式を保有していることが必要です(会社法847条1項)。そこで,公開会社となれば,被告役員側は株式保有期間の要件を争うことができます。

 

2 単元株制度の導入

 会社が,単元株制度を導入し,単元未満株主について,定款で定めることにより,株主代表訴訟の提起権限がなくなります(会社法189条2項,847条1項括弧書)。

 

3 内部統制システムの構築

 大会社である取締役設置会社においては,取締役会は,「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(会社法施行規則100条)で定める体制の整備」を決定しなければなりません(会社法362条5項)。

 違法行為を未然に防止するための法令遵守体制は,整備されていなかったとまでいえないから,被告取締役らの善管注意義務違反は認められないとした裁判例があります(東京地判平成16・5・20判時1871号125頁【三菱商事事件】,東京地判平成16・12・16判時1888号3頁【ヤクルト本社事件】,東京地判平成17・2・10判時1887号135頁【雪印食品事件】など)。

大企業においては,取締役の職務分担と内部統制システム構築により,担当以外の取締役が免責される場合があります(東京高判平成20・5・21判タ1281号274頁【ヤクルト株主代表訴訟事件】など)。

 もっとも,食品衛生法という法令遵守体制は整備されていなかったとはいえないとしながらも,違反の事実を認識した後の対応につき取締役らの善管注意義務違反が認められた裁判例として大阪高判平成18・6・9判タ1214号115頁【ダスキン株主代表訴訟事件】があります。

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