事業承継と会社法(総論) - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:事業再生と承継・M&A

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事業承継と会社法(総論)

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第3部 会社法

第1章 総論

 第2部 相続編 第4章 相続と事業承継でも指摘したように,円滑な事業承継を行うためには,次の2つの観点からの検討が必要になります。

(ⅰ)株式その他の事業用資産の後継者への集中

(ⅱ)後継者以外の相続人への配慮(遺留分減殺請求の問題)

 

 

 


 そして,(ⅰ)については,企業経営の観点からは,後継者及びその他の友好株主に2/3以上の株式を集中させることが望ましいことを述べました。第3部では,会社法の制度を利用して,後継者に株式を集中させる方法を中心に説明します。

また,会社法の制度の一つである種類株式(議決権制限株式)を利用すれば,遺留分減殺請求の問題を回避することが可能となります。

さらに,同じく種類株式のうちの拒否権付種類株式や役員選任権付種類株式または属人的種類株式を利用することで,会社をめぐる利害を調整することが可能です。

そこで,(ⅱ)後継者以外の相続人への配慮という観点からも会社法の制度を利用することが可能となりますから,この点についても,適宜,説明を行います。

【事例】

 創業から60年の社歴のあるA社は,従業員40名ほどの工作機械メーカーです。現在2代目である経営者甲(60歳)は,最近,体調を崩したことから,事業承継を考え始め,その長男である丙(30歳)を3代目となる後継者として想定しました。長男丙は,大手企業に勤めていましたが,この話を聞き,会社を辞めて妻とともに実家に戻り,家業を手伝ってくれています。次男丁(25歳)は家業には興味がなく,実家とは疎遠になっています。なお,甲の両親(創業者)は既に亡くなっています。

A社は,非公開会社であり,会社の発行済株式総数は1000株です。代表取締役は甲,取締役として妻乙(55歳)と甲の弟戊(54歳)がいます。株式の所有割合は,現在,調査中ですが,甲が半数近くを保有し,続いて甲の弟戊の所有割合が大きく,妻乙,長男丙,次男丁はそれぞれいくらかの株式を保有しています。

 甲は,A社の株式を長男丙に多く所有してもらい,安定して事業を継続してくれることを願っていますが,弟戊は長男丙を後継者にすることに必ずしも賛成してはいません。そして,甲自身も丙の経営能力に不安を感じており,当分の間は,自分がサポートする必要があると感じています。

このような状況の下,甲はどのような対策をとるべきなのでしょうか?

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