貯蓄性の高い保険をご紹介しましたが、
このタイプの保険は、払込満了前に解約すると損になります。
支払いが困難になった場合の対応方法は、他にふたつあります。
①契約者貸付
自分の積立てた保険料から、お金を借りる方法です。
実質金利は1%程度になります。
ただ、貸付の金利としては、例として予定利回りが1.75%であれば、+1%の2.75%で返さなくてはいけません。
これがなぜ、実質金利1%として計算できるかというと、銀行と比べてみればよくわかります。
例えば、金利1%の時、銀行に1000万円積立していたとします。
ここから、100万円引き出して、銀行に900万円を残した場合、引き出した100万円には当然1%の金利はつきません。
保険に解約返戻金が1000万円貯まっていたとします。
予定利率は1.75%とします。
そこから、100万円引き出して、銀行に900万円を残した場合、引き出した100万円にも当然1.75%の金利がつきます。
-2.75%の金利で、100万円借りても、借りたはずの100万円が+1.75%の利回りを生んでいるのです。
つまり、
2.75%-1.75%=実質1%程度
程度、とにごしているのは、金利と予定利率の定義が、少し違うからです。
思ったよりも金利が低かったのではないでしょうか?
お子様の学費などで、一時的に費用が必要な時期とうことであれば、これで乗り越えてはいかがでしょうか?
②払い済み終身へ変更
例えば、40歳で60歳払込満了の1000万円の終身保険に加入し、50歳になったところで、支払いが困難になったとします。
20年払込満了中の10年は、払込を終えているわけですから、半分の500万円の死亡保険金部分のローンは完了しています。
払い済み保険に変更すると、死亡保険金は半分の500万円に減りますが、保険料はもう払わなくて大丈夫です。
しかも、払い済み保険に変更した途端、解約返戻金がぐんぐん増えますから、銀行に預けておくよりずっといいです。
今だけ、お金が一時的に必要であれば、①契約者貸付を検討しましょう。
保険料の支払いを0にするのであれば、②払い済み終身への変更でオッケーです。
今すぐ大きなお金が必要で、かつ今後、返すことができそうにない場合は、残念ながら解約しかありません。
ただし、支払った保険料総額より、かなり少ない金額しか戻って来ないと思います。
ついつい入り過ぎてしまう貯蓄性の高い保険ですが、あまり無理な額の加入は、お勧めできません。
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